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オウム真理教の一連の事件で死刑が確定した13人の死刑囚のうち、今月6日に死刑が執行された7人に続き、残る6人の死刑が執行されたことを5紙ともに1面で伝えています。
きのう東京都多摩市で発生したオフィスビルの建設現場での火災で5人が死亡したことを、日経を除く4紙が1面で報じています。
また、JAXA(=宇宙航空研究開発機構)に出向中にコンサルティング業者から繰り返し接待を受けた疑いで文部科学省の幹部が収賄の疑いで逮捕されたことを、毎日と日経を除く3紙が1面で伝えています。

朝日新聞 1面記事一覧

オウム13死刑囚、全員執行 7人に続き6人 異例、20日間

ビル建設、火災5人死亡 ウレタン引火か 多摩

文科省統括官を逮捕 JAXA出向中、接待容疑 東京地検

毎日新聞 1面記事一覧

オウム真理教 死刑囚、刑執行終える 異例の同月内13人

東京・多摩の建設現場火災 5人死亡 作業員40人けが

日経新聞 1面記事一覧

貿易戦争、米企業業績に打撃 GM・GEの利益圧迫

米クアルコム、蘭社の買収断念

日航、中国東方航空と包括提携 連合の枠超えダイヤ調整

オウム事件、刑事手続き終結 死刑囚13人全員の刑執行

世界景気 持続成長を問う(3) 通貨安・インフレ懸念 新興国、アジアは堅調

読売新聞 1面記事一覧

オウム全13人 死刑終える…元幹部6人の刑執行

建設中ビル火災 5人死亡…東京・多摩 40人負傷、地下火元

収賄容疑の文科省幹部 宇宙飛行士講演で便宜か…東京医大に派遣

産経新聞 1面記事一覧

オウム13人全員死刑執行 残る6確定囚執行 教団事件 法手続き全て終結

文科省統括官収賄疑い 東京地検逮捕 JAXA出向中に接待

建設現場火災5人死亡 多摩40人搬送 20人超重症

ピックアップニュース

オウム真理教、残る死刑囚6人の死刑執行

オウム真理教の一連の事件で死刑が確定した13人の死刑囚のうち、今月6日に死刑が執行された7人に続いて、岡崎一明死刑囚(57)、横山真人死刑囚(54)、端本悟死刑囚(51)、林泰男死刑囚(60)、豊田亨死刑囚(50)、広瀬健一死刑囚(54)の6人への死刑が執行されました。
上川法務大臣は記者会見で、オウム真理教による一連の事件の凶悪さを強調した上で、

命を奪われた被害者や遺族らが受けた恐怖や苦しみ、悲しみは想像を絶するものがある。慎重にも慎重な検討を重ねたうえで、執行を命令した

などと述べました。

これに対して、死刑制度に反対している国際的人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、

信者たちが、なぜカリスマ教祖に命じられるままに犯行に及んだのか。報復で彼らの命を奪っても、真相解明にはつながらないし、日本社会が安全になるわけでもない。日本の当局は今こそ、死刑の執行を全面的に停止し、死刑の廃止に向けて、十分な情報にもとづく国内議論を進めるべきである

などと、日本政府を非難する声明を出しました。
また、日弁連(=日本弁護士連合会)は、

死刑は憲法上保障された生命権に対する人権侵害を行う刑罰であり、国際法上の問題であることに政府は目を向ける必要がある。当連合会は、本日の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑を廃止するまで全ての死刑執行を直ちに停止した上で、2020年までに死刑制度を廃止するよう求める

とする会長の声明を出しました。

一方、犯罪被害者を支援する弁護士で作る団体「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は、

全員死刑にしてしまえば、だれも事件の真相を語れなくなるという批判もあります。しかし、こういう批判をする人達に逆にお聞きしたい。いつまで死刑執行を引き延ばせば、真相が解明されるのでしょうか。自ら真相を語る機会は公判廷においても、また確定後においても十分にあり、執行を引き延ばせば真相が解明されるというのは幻想でしかありません

などと、今回の死刑執行を支持する声明を出しました。

死刑囚13人に対する死刑執行が、今月6日ときのうの2回に分けられた背景について、産経新聞の1面記事「オウム13人全員死刑執行 残る6確定囚執行 教団事件 法手続き全て終結」は、

同一事件の共犯者は同時執行が慣例だが、13人を同時に執行するのは拘置所の施設設備などの関係上、不可能だったことに加え、大量執行は「ジェノサイド(大量殺戮))」などと国際的な批判を招く懸念もあり、7人と6人の2回に分けざるを得なかった

と解説しています。執行の間隔が20日間だったことについて、朝日新聞の1面記事「オウム13死刑囚、全員執行 7人に続き6人 異例、20日間」は、

松本元死刑囚らが執行されてから今回の執行までの期間は20日間。98年11月以降、これまで最も間隔が短かったのは47日間だったといい、その半分以下だった。13人の執行を2回に分けた理由や執行間隔の短さなどについて、上川氏は「個々の死刑執行の判断に関わるので答えは差し控える」と説明を避けた

と指摘しています。
上川法務大臣がこうした点について説明を避けたことに対して、毎日新聞は1面に掲載した解説記事「オウム死刑囚、刑執行終える 究極の権力行使、説明を」のなかで、

制度運用のあり方を含めた議論を深めるためにも、情報の公開範囲を再考すべきではないか

と死刑執行に関する情報をもっと公開すべきと主張しています。
読売新聞は「[スキャナー]限られた執行時期…オウム死刑」の中で、13人の死刑執行がすべて7月に実施された「異例の決断」の理由について、

未曽有の被害をもたらしたオウム事件は、平成元年(1989年)から始まった。ある同省幹部は「平成の犯罪を象徴する事件は平成のうちに決着をつけるという強い意志が省内で共有されていた」と明かす

執行の時期を決めるに際して、8月は広島と長崎の原爆忌、終戦記念日など死者を悼む行事が続き、避けるべきだとの意見が強い。また、9月の自民党総裁選後に死刑に消極的な法相が就任すれば、その後の執行の見通しが立たなくなることも考えられた。同省にとって、7月以外の選択肢は事実上なかったと言える

と解説しています。

死刑制度をめぐっては、朝日新聞は反対。読売新聞と産経新聞は賛成で、毎日新聞・日経新聞は中立のスタンスです。

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