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1面読み比べ

自民党の岸田政調会長が、ことし9月の自民党総裁選挙への出馬を見送ることをきのう明らかにしたことを5紙すべて1面で伝えています。総裁選は安倍首相と石破氏の一騎打ちとなる可能性が高くなり、安倍首相の再選がほぼ確実です。
その他、ヤマトホールディングスの子会社が法人向けの引越し代金を過大請求していたことを、毎日、日経、読売が1面で取り上げています。
また、文科省の前局長の起訴を読売と産経が、最低賃金について朝日と読売が報じています。
きょうの5紙の1面掲載記事は以下の通りです。

朝日新聞 1面記事一覧

野田氏側へ文書、金融庁漏出 情報開示決定前「閣僚なので共有」

暑すぎる夏、世界で 北極圏33度・熱波カナダ数十人死亡

輝け、2年後の祭典 東京スカイツリーがライトアップ

最低賃金、3年連続3%増 平均874円、26円上げ 厚労省小委

岸田氏、総裁選不出馬 安倍氏を支持

毎日新聞 1面記事一覧

ヤマトHD 過大請求4万8000件 法人引っ越し、総額17億円

東日本大震災 福島第1原発事故 デブリ回収、2号機から 接触調査で状態確認

第89回都市対抗野球 大阪市、初V

自民党総裁選 岸田氏、立候補せず 「首相を支持」

松下康雄氏 92歳=元日銀総裁

日経新聞 1面記事一覧

介護人材1万人受け入れ ベトナムと合意 政府20年目標、インドネシアにも打診

入管局、「庁」に昇格へ 外国人の就労拡大に備え

安倍氏、総裁3選有力 岸田氏は出馬せず

信越化学、米に塩ビ工場 1600億円、割安なシェールガス活用

ヤマト、過大請求4万8000件 過去2年 法人引っ越し受注中止

読売新聞 1面記事一覧

岸田氏 総裁選不出馬…自民 首相 議員票で優位

ヤマト17億円過大請求…引っ越し料 法人向け、4万8000件

文科省前局長を起訴 東京医大前理事長は在宅…東京地検

最低賃金26円上げ…最大幅 全国平均874円に

松下康雄元日銀総裁死去

産経新聞 1面記事一覧

教科書検定基準に新規定 文科省方針「歴史」偏向を防止

安倍氏の総裁3選濃厚 自民 岸田氏が不出馬表明

文科汚職前局長ら起訴 受託収賄 東京医大側も在宅で

皇位継承式典へ 事務局 来月設置 トップに総務省・山崎氏

ピックアップニュース

来年4月から外国人材の受け入れ拡大

政府はことし6月に閣議決定した「骨太の方針」の中で、深刻化する人手不足の克服のため「外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある」として、最長で5年の在留を可能とする「就労を目的とした新たな在留資格」を創設することを盛り込みました。
政府はきのう関係閣僚会議を開き、安倍首相は、「新制度による外国人材の受け入れは来年4月を目指して準備を進めていきたい」とした上で、新たな在留資格を創設するための入国管理法の改正案や、受け入れた外国人との共生を図る総合的な対策を取りまとめるよう指示しました。

これについて日経新聞の1面記事「入管局、「庁」に昇格へ 外国人の就労拡大に備え」では、

政府は2019年4月に始める外国人労働者の受け入れ拡大に備え、法務省の入国管理局を外局となる庁へ格上げする方針だ。定員を大幅に増やし、外国人労働者の受け入れを一元的に担う司令塔に位置付ける

と報じています。
外国人材を受け入れる対象となる業種については、読売新聞の記事「外国労働者 人不足に光…在留資格 対象拡大へ」は、これまで検討してきた5つの分野(農業・介護・建設・造船・宿泊)に加えて、

金属プレスを含む製造業の一部や外食産業、水産、物流などを想定している。これらの業種は、他業種に比べて人材不足が深刻だ。18年5月の有効求人倍率は、金属材料製造が2・74倍、接客・給仕が3・88倍、水産加工など製品製造・加工処理が1・89倍で、いずれも平均(1・33倍)を大きく上回る

と伝えています。

今日の社説

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

社説読み比べ(LGBTめぐる自民党議員の月刊誌寄稿)

自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が、月刊誌「新潮45」2018年8月号に寄稿した文章の中で「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」などと持論を展開したことを、朝日新聞と毎日新聞が社説で取り上げ、厳しく批判しています。

朝日新聞

朝日新聞は「LGBT 自民の認識が問われる」というタイトルで社説を掲載し、

性的少数者をあからさまに差別し、多様な性のあり方を認めていこうという社会の流れに逆行する。見過ごせない見解だ

異性のカップルであっても、子どもを産むか産まないかは、個人の選択である。それを「生産性」という観点で評価する感覚にぞっとする。歴史的に少数者を排除してきた優生思想の差別的考えとどこが違うのか

などと厳しく批判。また、自民党の二階幹事長が杉田氏の見解を問題視しない考えを示したことなどを紹介した上で、

杉田氏はSNSで自身への批判が広がった後、ツイッターで「大臣クラス」の先輩議員らから「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと声をかけられたとつぶやいた。こちらが自民党の地金ではないかと疑う。少数者も受け入れ、多様な社会を実現する気が本当にあるのか。問われているのは、一所属議員だけでなく、自民党全体の認識である

と自民党全体の問題だと指摘しています。

毎日新聞

毎日新聞は「杉田水脈議員の差別思考 国民の代表とは呼べない」というタイトルで社説を掲載し、

特定の少数者や弱者の人権を侵害するヘイトスピーチの類いであり、ナチスの優生思想にもつながりかねない。明らかに公序良俗に反する。国民の代表として立法権を行使し、税金の使い道を決める国会議員には不適格だと言わざるを得ない

などと厳しく批判しています。
また、杉田氏のこれまでの他の言動に対する批判に加えて、

「安倍1強」の長期政権下、社会で通用しない発言が自民党議員の中から後を絶たない。「育児はママがいいに決まっている」「がん患者は働かなくていい」など、その無軌道ぶりは共通している

と他の自民党議員の言動を振り返りつつ、

杉田氏の言動を放置してきた自民党の責任は重い

と自民党を批判しています。

社説読み比べ(貿易摩擦問題)

22日に閉幕したG20(=主要20か国)の財務相・中央銀行総裁会議で、貿易摩擦に対する具体策が示されなかったことについて、きのう社説を掲載した4紙に続いてきょうは産経が社説「G20と保護主義 対米摩擦の打開諦めるな」を掲載し、

協調どころか、歩み寄りの気配すら見えない現状に、枠組み自体の無力感も漂う。それでも対米摩擦の打開を諦めるわけにはいかない

特に日本は来年のG20議長国である。欧州などとも連携し、米国が孤立主義から脱するよう重層的に働きかける必要がある。トランプ氏との関係が良好な安倍晋三首相は説得の先頭に立つべきだ

と訴えています。
トランプ政権に方針転換を促すために、

米国の産業界や議会などを巻き込んで敵対的な通商外交を改めるよう促す。世界貿易機関(WTO)提訴などで各国と共同歩調を取ることも喫緊の課題だ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や日欧経済連携協定(EPA)で成果を重ね、孤立主義の弊害を米国に示すことにも意味がある

などと指摘しています。
貿易摩擦問題について、5紙ともにトランプ政権の保護主義を問題視する姿勢で一致しています。