IMG_7878

読み比べ

カジノを含むIR(=統合型リゾート)整備法が成立し、国会が事実上閉会したことを5紙全てが1面で報じています。また、安倍首相が記者会見で、9月の自民党総裁選で憲法改正が「大きな争点になる」と述べたことを各紙が伝えています。

朝日新聞 1面記事一覧

政権答えず、国会閉幕 カジノ法強引成立/森友・加計解明せず

公開請求、開示前に伝わる 野田氏「話題のひとつ」「よくある」 第三者にも内容話す

首相、来月3選出馬表明へ 石破氏も準備 自民総裁選

毎日新聞 1面記事一覧

カジノ法 成立 通常国会が事実上閉会

自民党総裁選 首相会見「改憲争点」 出馬表明、来月下旬以降

公文書管理 PC情報共有先送り 政府方針

政府の児童虐待緊急対策 福祉司1.6倍 2000人増

日経新聞 1面記事一覧

日本勢、国際M&Aの主役 1~6月、過去最高 シェア欧州超え 問われる巧拙

首相、来月出馬表明へ 自民総裁選 国会が事実上閉幕、カジノ法成立

初の司法取引、法人不起訴 三菱日立パワー贈賄、元役員ら在宅起訴

財務次官に岡本主計局長 政府最終調整、国税庁長官は藤井氏

読売新聞 1面記事一覧

カジノ法 成立 23年にも国内開業

海外贈賄 3人在宅起訴 法人起訴猶予 初の司法取引

日本貨物航空に改善命令 国交省 整備記録改ざん・隠蔽

五輪チケット 最高30万円 来春から販売 半数以上は8000円以下

産経新聞 1面記事一覧

IR実施法 成立 不信任案否決 国会、事実上閉会 カジノ 2020年代半ば最大3カ所

首相 政権続投に意欲 改憲「総裁選の争点」

五輪チケット2500円から 価格決定 最高は開会式30万円 来春 公式サイトで販売 ID登録、抽選

生徒・先生に役立つ紙面とは 産経新聞の教育面を検証

ピックアップニュース

IR整備法が成立。国会が事実上閉会

IR(=統合型リゾート施設)とは、カジノや会議場、ホテル、商業施設などが一体的に整備された区域のことで、政府はIRの整備により観光振興を目指す方針です。
政府がまとめたIR整備法案はきのう参議院本会議で自民・公明両党や日本維新の会、希望の党などの賛成多数で可決、成立しました。立憲民主党や国民民主党などは、ギャンブル依存症患者の増加につながりかねない、などとして反対しました。
IRを整備する区域の選定方法やカジノで認められるゲームの種類などはIR整備法に明記されておらず、今後政令などで定めることになります。
通常国会はあすの会期末を前に事実上閉会しました。今国会では、政府が提出した65本の法案のうち60本が成立しました。
IRの誘致をめぐっては、産経新聞の記事「IR開業、第1弾は2020年代半ば 誘致自治体の関心は基本方針」では

IRの誘致には大阪、和歌山、長崎の3府県が積極的に取り組んでいるほか、北海道や愛知県が誘致に関心を示し、千葉市や東京都、横浜市が誘致による影響を調査している

とし、誘致を目指す自治体にとって、IR整備法の公布から2年以内に国交相が公表する「基本方針」が最大の関心だとしています。また、

自治体からは、IRに含まれる国際展示場などの施設要件や整備計画の申請期間、カジノの床面積の上限など今後、政令などで決める内容が331項目にも上る点を不安視する声も出ている

と報じています。
カジノ開業の時期については、読売新聞の特集記事「基礎からわかるIR実施法」は

カジノ開業までには、国や地元自治体、IR事業者がそれぞれ所定の段取りを踏む必要がある。順調に進んでも、カジノ開業は2023年以降となる見通しだ

と報じています。この記事ではまた、

競馬やパチンコと異なり、カジノは事業者が一定要件を満たす利用客に賭け金を貸し付けることができる。「ギャンブル依存症に直結する」との懸念はくすぶったままだ

「反社会的勢力を完全に排除することはできない」(日本弁護士連合会)との主張には、一定の説得力がある

などの課題も指摘しています。

IR整備法の成立にあたり各紙の主張

IR整備法案に対しては5紙すべてが否定的なスタンスで報じてきました
法案の成立にあたって、朝日新聞はきょうの社説「カジノ法成立 賭博大国への危うい道」の中で、

国のあり方に深く関わる法案なのに、十分な審議をせず、数の力で押し切る。そんな光景がまたも繰り返された

全国にはパチンコ店や競輪、競馬などの公営競技場が数多く存在する。さらにカジノも加われば「賭博大国」の名がふさわしい

などと、と法案の成立を批判しています。
毎日新聞はきょうの社説通常国会が事実上閉会 骨太の議論は乏しかったの中で、

統合型リゾート(IR)実施法を拙速な審議で成立させる必要があったのか。カジノ解禁という賛否の分かれる論点が含まれるだけに、国民の理解を得る熟議がなされなかったことは残念でならない

と批判しています。
産経新聞はきょうの社説「IR法成立 不安払拭し地域に貢献を」の中で、
ギャンブル依存症患者の増加や反社会勢力の介入への懸念を「もっともな声」として、

依存症対策だけでなく、防犯や周辺地域の治安も含めた万全の対策が立てられなければならないことは、言うまでもない

と政府に万全の対策を求めています。その一方で、

IRは外国人をさらに日本に呼び込む有効な施設となる

大局的な視点でIRを経済活性化に生かす方法を考えたい

と主張しています。
産経は3月5日の社説では

訪日客に向けて、地方がアピールする観光振興の手段が、本当にカジノであるべきなのか。日本に求められる姿を、常に考えていくことが重要である

として法案に否定的でしたが、批判がややトーンダウンしています。

今日の社説

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞