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1面読み比べ

カジノを含むIR(=統合型リゾート)整備法案がきょう、参院本会議で成立する見通しであることを、日経新聞を除く4紙が1面で伝えています。

朝日新聞

カジノ法も与党押し切る 参院委可決 きょう成立、残る課題

山沿いに宅地、被害集中 死者、広島が7割 西日本豪雨の土砂災害

関与の芸能人は「友人」 仮想通貨業者問題、野田氏が説明 圧力は否定

きのう朝日が1面で報じた、野田総務大臣の事務所がことし1月、無登録での仮想通貨交換業の疑いで金融庁から調査を受けていた企業の関係者を同席させた上で金融庁の担当者を呼んで説明させていた件について、野田大臣が自らの関与や金融庁への圧力を否定したことを伝えています。

毎日新聞

カジノ法案 きょうにも成立 参院委で可決 野党徹底抗戦

児童虐待 安否強制調査へ 面会不可、48時間経過で

東京都目黒区で5歳の女の子が虐待死した事件を受けて、政府の緊急対策の概要が判明した、と報じています。児童相談所の職員による面会ができなかった場合に強制力のある立ち入り調査を行うことをルール化する、としています。

児相の在り方、来月から議論 厚労相方針

西日本豪雨 2週間 不明13人、捜索続く 避難者4581人

西日本豪雨 全国のため池、緊急点検指示 首相

財務省 次官に岡本氏内定 国税庁長官は藤井氏

日経新聞

富士通など、使用電力を再生エネに 10~30年で全量

事業に使用する電力を再生可能エネルギーで賄う動きが日本企業の間で広がってきているという記事を1面トップに掲載しています。

データの世紀「私」が奪われる(5) 飛び交うフェイク 情報汚染、代償は重く

外国人就労、製造業も 金属プレスや鋳造、新資格の対象拡大

政府は、来年4月の創設を目指す外国人労働者の新たな就労資格の対象に、金属プレスや鋳造などの一部の製造業を加える方針である、と報じています。

トヨタ、静岡生産終了 20年度にも、東北に移管

読売新聞

日本貨物航空 記録改ざん…機体整備 事故報告漏れも

国交省が「日本貨物航空」に対し、航空機の整備記録を改ざんしていたとして事業改善命令を出す方針を固めたと報じています。

カジノ法案きょう成立 国会会期末…与野党 攻防激化

[検証 西日本豪雨]<1>「今までと同じ」避難せず

熱中症10人死亡

産経新聞

IR法案 きょう成立 野党、内閣不信任案提出へ

TPP拡大 来年にも 首席会合 発効直後、日本主導で

きのう開かれたTPPに参加する11カ国の協議で、年明けに見込まれる協定の発行後すみやかに加盟国を拡大する手続きに入ることを確認した、と伝えています。

メガ経済圏 米国第一を牽制 加盟国増 経済効果さらに

豪雨 住宅被害3万8000棟 発生2週間 7割が岡山・広島・愛媛

東京五輪 競泳決勝は午前 国際水連同意 米テレビ局の意向

ピックアップニュース

IR整備法案が参院内閣委員会で可決。きょう成立の見通し

IR(=統合型リゾート施設)とは、カジノや会議場、ホテル、商業施設などが一体的に整備された区域のことです。政府は、ギャンブル依存症への対策を講じた上で、IRの整備によって観光振興を目指す方針です。法案の主な内容は以下の通りです。

  • IRの整備区域は全国で当面3か所(7年後に見直す)
  • カジノ面積は、IR全体の延べ床面積の3%以下
  • 事業者は、カジノの収益の30%を国に納付する
  • 日本人利用客のカジノの入場料は6000円
  • 入場回数は1週間で最大3回、4週間で10回までに制限

IR整備法案は、きのう参議院の内閣委員会で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。委員会ではまた、IRの整備区域数の見直しは経済効果や治安などの負の影響を検証して慎重に検討することや、ギャンブル依存症対策の実効性を検証し必要な措置を講じることなど、31の項目を盛り込んだ付帯決議も採択されました。法案はきょうの参議院本会議で可決・成立する見通しです。
この法案に対しては、賭博を観光の目玉にすることへの批判や、ギャンブル依存症を増やしかねないことへの懸念の声が上がっています。また、野党側は「西日本豪雨災害への対策を優先すべきだ」などとして法案の審議を進める政府を批判しています。

IR整備法案に対する各紙の評価

この法案に対しては、主要5紙すべてが否定的なスタンスです
今日は毎日新聞だけが「カジノ法案が成立へ 賭博に頼る発想の貧しさ」というタイトルで社説を掲載し、災害対応に集中すべき時に法案の審議を進めた政府与党の対応を疑問視。

この法案のそもそもの問題点は、地域の振興のためには、カジノ、つまり賭博を解禁することが必要だと考える発想の貧困さにある

と指摘。日本には食や自然などの観光資源があるとして、

カジノに地域おこしを委ねようというのではあまりに安直すぎる

と批判しています。

韓国などの例を見ても、カジノが設置された町は、借金で自殺者が増加するなどしてすさんでいる。地域に与える負の影響の方がはるかに懸念される。地域振興策として、効果を上げるとは思えない

と訴え、法案に否定的なスタンスです。自治体による今後のIR誘致に向けては、

カジノ設置のメリットだけに目を向けるのではなく、デメリットについても改めて冷静に判断するよう自治体には求める。誘致に反対する住民も少なくないはずだ。そうした声にも耳を傾ける必要がある

と主張しています。
なお、毎日と同様に朝日新聞も7月14日の社説「カジノ法案 非常時に審議強行の愚」で、災害対応を専念すべきだとして法案の審議を進める政府与党の対応を批判しています。
日経・読売・産経の3紙は、この点についてはこれまで社説で言及していません。

今日の社説

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

社説読み比べ

日米原子力協定の自動延長にあたり核燃料サイクル政策の是非について、朝日(反対)、読売(賛成)、日経(賛成)に続いて今日は産経新聞が社説「日米原子力協定 プルサーマル発電が要だ」を掲載しています。

エネルギー資源を欠く日本は、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使う「プルサーマル発電」を柱とする核燃料サイクルの確立を目指している。日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要な協定である

として、核燃料サイクル政策を支持する立場です。
原発でプルトニウムを燃やすプルサーマル発電については、

そもそも一般の原発でも運転中にプルトニウムが生じて燃えている。プルサーマル発電にも技術上の問題はない。政府は人々の心配を取り除く説明に努め、拡大を図るべきだ。プルトニウムの消費増大に貢献する大間原発(青森県)の早期完成も望まれる

として、プルサーマルの推進を主張しています。
また、日本が大量のプルトニウムを保有していることが核不拡散の観点から懸念されていることについては、

国際原子力機関(IAEA)は日本に厳格な査察をしている。また、成分が異なる発電用プルトニウムでの核武装があり得ないのは、世界の専門家の常識だ

と指摘しています。