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1面読み比べ

参議院の選挙制度をめぐり定数を6増やすことになる改正公職選挙法がきのう成立したこと、演出家の浅利慶太氏が死去したことを5紙すべてが1面で報じています。
読売新聞と産経新聞は、受動喫煙の対策を強化する改正健康増進法がきのう成立したこと、2020年の東京五輪の協議日程案が国際オリンピック委員会に承認されたことを伝えています。
日経新聞は、アメリカのトランプ政権がイランへの経済制裁の一環でイランの原油の輸入停止を求めていることを受けて、日本企業がイランからの原油輸入の停止にむけて調整に入ることがわかった、と1面トップで報じています。
朝日新聞は、野田総務大臣の事務所がことし1月、無登録での仮想通貨交換業の疑いで金融庁から調査を受けていた企業の関係者を同席させた上で金融庁の担当者を呼んで説明させていた、と報じています。

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

  • 五輪競技 暑さ配慮 IOC屋外種目 早朝開始も
  • 参院6増 来夏適用へ 「一票の格差」是正 改正公選法成立
  • 職場・飲食店 原則禁煙 五輪前に 受動喫煙防止法が成立
  • 浅利慶太さん死去 85歳 劇団四季創設「キャッツ」
  • 5年ぶり40度超 岐阜2地点

ピックアップニュース

参議院「定数6増」の改正公職選挙法が成立

参議院の選挙制度をめぐっては、「1票の格差」を是正するために2015年の公職選挙法改正で「合区」が導入され、鳥取県と島根県、徳島県と高知県がそれぞれ1つの選挙区となりました。
自民党は、憲法を改正して「合区」を解消することを目指しましたが、来年の参院選挙までの実現が困難な中、参議院議員の定数を6増やすことになる公職選挙法改正案をまとめました。
この案では、議員1人あたりの有権者数が最も多い埼玉県の定数を2増やして1票の格差を3倍未満に抑えます。
また、比例代表の定数を4増やした上で、政党があらかじめ決めた順位に従って当選者が決まる「拘束名簿式」を一部選択できる「特定枠」を設けます。「特定枠」を使うかどうかは各党が自由に決められます。自民党はこの「特定枠」を用いて、「合区」のために選挙区に候補者を擁立できない県から確実に議員を出す考えです。
法案はきのう、衆議院本会議で自民・公明両党の賛成多数で可決、成立しました。参議院の定数は、2019年の参議院選挙と2022年の選挙で3ずつ増え、選挙区が148、比例代表が100の合わせて248になります。参議院の定数が増えるのは沖縄県が本土復帰した時以来のことです。
野党は、議員定数を増やすことや「特定枠」導入について「党利党略でご都合主義だ」などと批判しています。
このニュースを各紙が大きく報じています。特に読売新聞は「基礎からわかる参院6増」という特集記事を掲載しています。新たな制度の内容や課題などをまとめ、

政党が比例選の特定枠を設定した場合、候補者名簿に非拘束名簿式と拘束名簿式が混在することになる。政党が特定枠を設定しないこともできるため、有権者が投票する場面や選挙管理委員会の開票作業で混乱が生じる可能性もある

などと指摘しています。

「改正公職選挙法」に対する各紙の評価

この法案に対しては、主要5紙すべてが社説で反対してきました
今日は日経新聞だけが「この参院選改革はごまかしだ」というタイトルで社説を掲載し、

理念なき法改正は自らの都合を押し通す与党の傲慢さと、それをただせない野党の弱さを浮き彫りにした

選挙制度は民主主義の土台だ。中途半端な案をごり押しした自民党の責任は極めて重い。他党も今回の定数増を受けて、議席の上積みに期待する空気がある。「良識の府」の看板が泣いている

と厳しく批判しています。

受動喫煙対策を強化する「改正健康増進法」が成立

「改正健康増進法」は、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙を防ぐために対策を強化するもので、学校や病院、行政機関などは屋内を完全に禁煙とします。飲食店も喫煙室以外では禁煙としますが、客席面積が100平方メートル以下の規模の小さな店は、店先などに表示すれば喫煙が可能となります。
きのう参議院本会議で法案の採決が行われ、自民・公明両党と国民民主党などの賛成多数で可決、成立しました。学校や病院、行政機関などでは2019年夏ごろから原則禁煙に、飲食店は2020年4月から規制が始まります。
受動喫煙対策をめぐっては、今回成立した国の法律よりも規制が厳しい条例が東京都議会で先月成立しています。この条例では、従業員を雇う飲食店では店の面積や経営規模にかかわらず屋内は原則禁煙になります。東京都は条例を段階的に施行し、2020年の4月に全面的に施行する方針です。
このニュースを各紙が取り上げています。読売新聞の記事「[スキャナー]飲食店禁煙 甘い規制…受動喫煙対策法」では、諸外国の禁煙の取り組みを一覧で紹介。

WHOが、公共の場所を分類して国別に禁煙化の実現状況を4段階でランク付けしたところ、日本は最低ランクだった。改正法が施行されても下から2番目に上がるだけだ

として、今回の法改正でも国際水準で見れば受動喫煙対策が不十分であることを指摘しています。なお、NHKの記事によると、東京都の条例についてもWHOの評価は同じで、下から2番目にとどまるということです。

「改正健康増進法」に対する各紙の評価

朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の3紙が今日の社説で取り上げています。
朝日新聞は「たばこ対策 小さな一歩から前へ」というタイトルの社説で、受動喫煙対策への取り組みが不十分との認識を示した上で、

それでも、今よりは公共施設の環境は改善される。小さな一歩ではあるが、これを足場に次のステップに進むしかない(略)「屋内全面禁煙」という世界標準に近づくための、継続的なとり組みが求められる

と指摘しています。
毎日新聞も社説「受動喫煙対策法が成立 健康被害の防止に万全を」で、

法規制の甘さは否定できないだろう(略)国の規制は最低限に過ぎない

と指摘しています。
読売新聞は社説「受動喫煙 東京五輪へ防止策を着実に」で、罰則付きの受動喫煙防止策を導入する意義は大きいと評価しつつも、

国際標準から見れば、改正法の内容は見劣りする(略)健康被害防止への理解を広めつつ、段階的に屋内全面禁煙の範囲を拡大したい

と主張。3紙とも、今回の法改正は受動喫煙対策として不十分だが一歩前進といった評価です。

今日の社説

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

社説読み比べ

日米原子力協定の自動延長にあたり核燃料サイクル政策の是非について、今月15日の朝日新聞、17日の読売新聞に続いて、今日は日経新聞が社説「プルトニウム削減を透明性高めて着実に」を掲載しました。

エネルギー自給率が先進国では最低水準の日本にとって核燃料サイクル政策は重要な選択肢であり、いま放棄することはできない。その前提になる日米協定が延長されたことは歓迎すべきだ

として、核燃料サイクルに賛成の立場を明らかにしています。その上で、

既存の原発でプルトニウムを燃やすプルサーマルを着実に進める必要がある

と主張。

これから再稼働する原発で導入できるよう、政府が前に出て地元の理解を得るべきだ。原発を再稼働済みの電力会社が未稼働の電力会社のプルトニウムを引き受けるなど、各社間の協力も要る

と指摘しています。
核燃料サイクル政策をめぐって、朝日は撤退を主張し、読売と日経は賛成の立場から、プルトニウムを原発で使用するプルサーマル発電を推進すべきだと訴えています。