もくじ

きょうも引き続き、7月3日の「日本記者クラブ」主催の党首討論の内容をご紹介します。
きょうは、主催者「日本記者クラブ」企画委員からの質問の続きで、テーマは「経済」だニャ。

自民・安倍総裁「安倍政権では消費税率10%まで」

安倍総裁への質問

経済の問題に移りたいと思います。
まず安倍さんにお伺いしたいんですが、2000万円の年金報告書問題などが、受け取った受け取らないといったことが話題になってますが、本質的な問題は、これは少子高齢化が進む中で、社会保障や財政の健全性について国民の間に不安があるということだと思います。
その意味で7年前にですね、「3党合意」で消費税率を2段階で10%に上げるということを決めて、ようやく今回、消費税率10%上げを抱えて自民党は選挙に臨みます。
ただ、これで終わりかどうかということについては、国民や専門家も、やはりその先、高齢者への負担増、あるいはさらなる消費税率引き上げも必要ではないかという意見もあります。
ただ、選挙公約を見ますとそういったことは一切書かれていません。
そこで安倍さんにお伺いしたいのは、もうこれ以上消費税率は10%で終わりなのか、あるいはさらにその先もきちっと議論するのか、そこをお伺いしたいと思います。

ことし10月に消費税率を10%に引き上げる方針の安倍総理に対して、消費税率のさらなる引き上げについても考えていくのかを問いました。
高齢化が進んでいけば、社会保障にはさらに予算が必要になるのは確実だわ。

安倍総裁の回答

安倍政権においてですね消費税をこれ以上引き上げることは全く考えておりません
税収について見てみましょう。税収、今年度予算の税収が過去最高になると、こう言われておりましたが、実は昨年度もですね、税収が過去最高となりましたよね。つまり、もうすでに昨年度、あのバブル期を超えて税収があった。そして、当然今年度もそれを超えていく税収になっていきます。この税収は、例えば年金を支えていく大切な財源ですね。
同時に、6年連続、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが続いたことによって、今年、年金、実額を増やすことができた。つまり経済政策によって年金を増やすことができるということを証明させていただいたと思っておりますし、大切な積立金、これ株価が上がったことによってですね7000円ちょっとから現在の株価になったことによって、今、積立金は44兆円増えました。民主党政権時代の10倍ですね。こういうことをしっかりとやっていくことによってですね、財源を厚いものにしていきたいとこう思っておりますし、社会保障についても先ほど申し上げましたように、年金の払い込み期間、25年を10年に短くするための財源が必要だったんですが、これアベノミクスの果実を活かして1年間前倒しすることができたということでありますから、これからも経済政策をしっかりと前に進めていく中において、税収を増やし、また支え手も400万人増えましたから、年金のね。ですから、そういうこともやりながら、年金の保険料の収入もふやしながら、確かなものとしていきたいと思っています。

安倍政権の中ではさらに消費税を引き上げることは考えていない、というのが回答じゃ。
安倍総理の、自民党総裁としての任期は2021年9月末までや。少なくとも、それまでの間に増税は予定してないっていうことやな。
アベノミクスの成果も強調したネ。だけど、長い目でみたら消費増税の議論は避けて通れない気もするヨ。

立憲・枝野代表「消費税ではなく法人税を上げる」

枝野代表への質問

枝野さんは、旧民主党時代に「3党合意」に加えられていたと思いますが、その後は選挙のたびに消費税率引き上げに反対されて、今回も増税凍結ということで主張されております。
その一方で、家計への支援ということでいろいろ政策を出されております。先ほど財源として法人税やあるいは金融所得課税ということを打ち出されましたが、これで本当に十分なのか、消費増税は必要ないのか、あるいはやるとしたらいつなのか、お伺いしたいと思います。

消費税率を10%に段階的に引き上げる「3党合意」の当事者である枝野代表は、今は消費増税に反対しておる。
そんな枝野代表に対して、消費増税しなくても財源は足りるのか、増税するならいつか、を問いただしたで。

枝野代表の回答

6年前、結果的にあの判断(3党合意)は間違っていたと思っています。それは、一つには消費不況の中で消費税を上げる。5(%)までのところではそれが世界の例から見ても、中期的に見れば消費税の税率が上がることが消費に直接影響を与えないと言われてきたんですが、8(%)に上げた悪い影響はその後継続していると。状況が全く違う中で、消費不況が続いている間は上げられない、経済的に上げられない
二つ目は、ますますその消費税がちゃんと社会保障に使われているのかということに対する国民の不安・不満が、不信が高まっているという状況では、これは国民の理解を得られない
三つ目は、今のお話の通り、直関比率が逆にゆがんでしまっていると。消費税収が増えていくのに逆比例するような形で、法人税収などが下がってきたと。これは国民的な理解が得られないと。
私は、もうけにかける法人税ですから、法人税率を上げたとしても、それは日本の経済に影響を与えることはない。むしろここでしっかりと払ってもらうことで、当面はやっていくというふうに考えています。

消費不況、社会保障への不安、法人税収の低迷などを理由に挙げて、消費増税への反対を改めて主張したネ。
野党が主張する法人税率の引き上げに対しては、与党側は経済への悪影響という問題点を指摘しているけど、枝野代表は問題ないという考えを示したわ。
一方で、将来的な消費増税の可能性については言及しませんでした。

国民・玉木代表「法人税を上げ、国債も発行する」

玉木代表への質問

玉木さんは先日の日本記者クラブの記者会見で、社会保障改革についても語られて、自助から公助の社会像、あるいは需給と負担のバランスで将来的に4%分の消費税率引き上げが必要というような話をされてたと思うんですが、これは参院選公約には入っていないんですが、なぜ入ってないんでしょうか。

ことし10月の消費増税には反対の立場の玉木代表も、将来的な消費増税の必要性には言及しているんじゃな。
せやけど、今回の選挙公約にそれが記載されていないのはなぜか、という質問やで。

玉木代表の回答

いいわゆる高齢者向けのベーシックインカムのような、最低限生きていくのに必要な額、例えば月7万円を補償するような年金制度あるいは給付制度にしようとすればですね、消費税に換算して4%から場合によっては6%ぐらい必要になります。これは国民的な議論が必要だと思いますし、全てをまず消費税で賄うのかということについても議論があると思います。
私は今、先ほど申し上げたように、現在の経済状況を考えればですね、とにかく今は家計を温めるときだと思っていますので、消費税は増税すべきではないと思っています。むしろ内部留保が非常に高いと言われる中でですね、国際的に法人税をしっかり上げていくということが税収の確保としては必要ではないかなと思っています。
加えて申し上げると、私は将来の投資に関わるもの。教育・子育て・科学技術、こういったものはですね、財政法の公債発行対象経費を見直して、むしろ「こども国債」あるいは「未来投資国債」ということで、しっかり国債を発行してでも速やかに拡充すべきだと。年間5兆円ぐらいですね、増やして20年間ぐらいやるというような、新しい未来をつくる投資も必要ではないかなと考えてます。

将来的には消費増税の可能性は否定しなかったけど、その議論への立ち位置は避けたネ。
立憲民主党の枝野代表と同じように、いまは家計を温めるべで、法人税の引き上げを主張しました。
さらに、国債を発行する基準を緩和して、教育や子育てにあてる予算を国債発行で確保することを訴えたわ。

維新・松井代表「行政改革で財源を生み出す」

松井代表への質問

松井さん「身を切る改革」「行革」ということを主張されてますが、今後増税なしで、消費増税なしで、日本の社会保障財政は維持できるとお考えでしょうか

維新は消費増税に反対で、行政改革による財源捻出を主張しておる。
消費増税なしで社会保障制度を維持できると考えているのか問われたで。

松井代表の回答

社会保障制度は抜本的に見直すべきだと思います。ただ、見直すに当たっては、今も社会保障の制度で給付を受けてられる方、支えていただいてる方、支えられてる方もいらっしゃるわけですから、まずは税金で生活する側、役所のお金の使い方、行革をするのは当然だと思ってますので。
これは我々は言い続けてるんですけど、なぜこれ言い続けられるかと言いますと、僕は知事を7年4ヶ月、市長いま務めています。3期務めてるわけです、知事と首長で。これは大阪府と大阪市を合わせれば8兆円の予算を編成しておりまして、その中で行革をすることによって、教育無償化の財源を生み出したからです。事実としてこれ現実できましたんで、これを全国に広げれ、今の時点で消費増税を10%にする必要はないということを申し上げているんです。
これ大阪府っていうのは、日本の中でも2番目の都市ですから、その大きな都市の中で行革やれば財源出てきたんですね。10年前は47都道府県の中でワーストですよ、財政状況。今はもうだいぶ上がりましたから、黒字です。これをぜひ日本国中でやりたいんで、日本維新の会で国政に挑戦しているということです。

松井代表は、府知事や市長としてこれまで大阪で行ってきた行政改革によって、教育無償化の財源を生み出した実績をアピールしたヨ。
同じことを全国に広げれば、財源は確保できると訴えたわ。
一定の説得力はありますけど、どんどん増えて行く社会保障の費用を、本当に行政改革だけでまかなえるのんでしょうか。

共産・志位委員長「大企業と富裕層への増税で財源確保」

志位委員長への質問

志位さん、共産党は消費税はやめて、大企業・富裕層から増税しろという主張ですが、これで本当に日本経済の国際競争力が保てるのでしょうか

大企業・富裕層への増税を訴えている共産党に対して、日本経済への影響についてどう考えているのかを問うたのう。
世界的に法人税率が下げられている中、企業が日本から海外へ拠点を移してしまわないか、は気になるで。

志位委員長の回答

私達は優遇税制を正そうということを言っております。
法人税について言いますと、中小企業が払っている実質負担率はですね、18%なんですよ。大企業の場合、研究開発減税など特別の優遇税制制度があるために、10%しか払っていない。せめて中小企業並みに払ってもらおうじゃないかと。だいたいこれで4兆円を考えてます。
それから所得税について言いますと、所得1億円超えますとね、大金持ちになればなるほど税負担率が下がる。株の儲けにかかる税が軽いからです。せめてこれをですね、世間並み、国際標準に払ってもらおうじゃないかと。これ経済同友会も5%上げろと言ってます。OECDも上げろと言っている。当たり前の要求です。
私達そういう二つの改革をやることで、だいたい7兆円ぐらいの財源を作れる
それに加えてですね、米軍への思いやり予算はやめる。辺野古の美しい海を埋め立てる米軍再編経費はやめる、等々ですね、7.5兆円の財源を作って、それを例えば最賃の引き上げ、国保の引き下げ、あるいは学費の値下げ、これらに使っていこうというものでありまして、十分これに合理性があると考えております。

大企業や富裕層を優遇する現状を当然のレベルにするんだ、という共産党の主張を強調しました。
だけど、質問された日本経済への影響については真正面から答えていないネ。
その他、在日アメリカ軍の駐留経費や、辺野古移設などにかかる費用について、日本の負担を減らして他の予算にあてる考えも訴えたわ。

自民・安倍総裁「今後10年は消費税率を上げる必要ない」

続いて、7党すべての代表者に対して、消費増税についての質問が投げかけられたニャ。
将来にわたって、消費税率を10%以上に上げなくていいと考える人は?という問いに対して、共産党の志位委員長と、社民党の吉川幹事長の2人だけが手を挙げたニャ。
この質問に対する安倍総理のコメントと、それをきっかけに発生したやりとりについて、一気にご紹介します。

全員への質問

それでは最後に「消費税率を未来永劫10%より上には上げなくていい」というふうにお考えの方は手を挙げていただきたいんですが、皆さん。10%以上に上げなくていいとお考えの方。安倍政権とは関係なく。
(→共産党・志位委員長と社民党・吉川幹事長のみ挙手をする)

安倍総裁のコメント

私責任持てるのは安倍政権なんですが、いわば、予見できるですね、例えば今後10年間ぐらいの間は、私は上げる必要はないと私は思っています
「未来永劫」というのは、それはいくらなんでも、私も無責任なことは言えませんから。

安倍総裁への質問

安倍さんに伺います。「10年は10%以上必要ない」ということですけれども、それで社会保障の経費は賄えるんですか?

安倍総裁の回答

先ほど申し上げました社会保障の経費とは何かということなんですが、例えば、65歳以上の方々の年金であります。では、年金を見ていきましょう。

安倍総裁への質問

年金だけではなくて医療、介護。

安倍総裁の回答

医療、介護それぞれ申し上げます。
まず年金について見ていきますと、今、70歳を超えてもなお働きたい方がですね、年金を並行して受け取るのをどうしていこうかということをですね、在職老齢年金のあり方の見直しも行っています。それを行えばですね、年金的には中立なんですが、支え手としては残っていくということになります。つまり、支え手を増やしていくことが大切であって、財政検証を行いますが、いい数字としては400万人支え手が増えました。

安倍総裁への質問

すみません、今年度予算でも、国債を発行して将来の世代へのツケを回すっていうのをまだ続けるわけですよね

安倍総裁の回答

ちょっとすみません、今発言中なんで。あの500万人ですね、生産年齢人口が減っていくと言われていましたから、おそらく支え手はそれくらい減るんではないかと言われていましたが、この5年間で実は支え手が400万人増えた。
だから「マクロ経済スライド」がですね、0. 9から0. 2に縮んだんですね、マイナス分が縮んだ。ですから、どんどんどんどん悪くなるかといえば必ずしもそうではないわけでありまして、経済状況をしっかりとデフレから脱却をして経済を成長させていくことによってですね、ちゃんと支え手を増やすことができたというのは、いわばまさに、年金のですね、財政的基盤を厚くすることができたわけでありますし、先ほど申し上げましたように、年金の運用だって、民主党政権時代の10倍、44兆円増やすことができたんですよ。これ相当の私は、いわば年金の財政を厚くすることができたんだろうと思います。
ですから、どんどんそれが悪くなるんだという前提条件自体がですね、前提条件で話すことではなくて、ちゃんと一つ一つ見ていくことが大切なんだろうなと思います。

安倍総裁への指摘

安倍さん、公平を期すために、できるだけ時間の範囲内でお答え、難しいでしょうけどもお願いします。

安倍総裁のコメント

具体的な政策を聞かれたものですから、たいへん重要なことだったものですから。

安倍総理から「今後10年くらいは消費税率を上げる必要がない」という重要な発言が飛び出したで!
そりゃ、10月に消費税率が10%に引き上げられるのを前にして、今後10年は引き上げないと言われればホッとはするけど・・
そんな大事な話、簡単に約束しちゃっていいのかナ。社会保障費は本当にまかなえるのかナ。
さっそく会場からは、社会保障の経費をまかなえるのか、安倍総理に対する追加質問が飛びました!
安倍総理は、年金財政が改善した成果を強調したのう。じゃが、本当に今後10年間もさらなる消費増税は必要ないのか、丁寧に議論していくことが必要だと思うがのう。

立憲・枝野代表「『3党合意』は守られなかった」

安倍総裁・枝野代表への質問

やはり選挙となりますと、与党も野党もですね、やっぱり有権者の耳に響きがいいようなことしかおっしゃらないじゃないかというふうに思うんですけれども、ここでこういう負担も伴うような長期的な財政、それから社会保障はやはり与野党を越えてですね、新しい枠組みを作ってじっくり話し合う、そういう枠組みを作って一緒にやるという、そういうことについてはいかがでしょうかそのやる用意準備はございますか。安倍さんと枝野さんに伺います。

社会保障をめぐって、与野党の対立を超えた議論の枠組みを作るつもりがないのか、が議題になったニャ。
与党のリーダーである安倍総理と、野党第1党のリーダーである枝野代表に質問が投げかけられたニャ。

安倍総裁の回答

いわばその思いでですね、われわれ野党時代に「税と社会保障の一体改革」ということで(民主党と公明党を含む3党で)合意をいたしました。それは消費税を10%に引き上げていくということ。その際ですね「総合合算制度」「給付つき税額控除」あるいは「軽減税率」等の中から、選択肢を持ちながら対応していこうということが決まった。でも残念ながら、経済状況において我々は(消費増税を)2回延期をしてきたのは事実でございますが、消費が堅調の中、我々はこれは(ことし10月に10%へと)引き上げさせていただきたいと考えているんですが、他の党は残念ながらこれ反対をしておられる。そのとき(3党合意のとき)に与党だった方々が反対をしているという状況は大変残念です。私はできればですね、まさに、この税と社会保障については大きな基盤をつくることが大切だと思ってますから、話し合いにはいつでも応じたいと思ってます

安倍総理は、かつての3党合意は生きていて、それに沿って消費税率を引き上げると説明したで。
野党との話し合いにはいつでも応じる、という姿勢も示したのう。

枝野代表総裁の回答

あるべき論としてはこれは党派を超えて国民的な議論をした上で進めていく必要があるというふうに思っております。
ただ、これは多分自民党から異論あるか思いますが、我々の立場からは、残念ながら3党合意は遵守されなかったというふうに認識をしていますので、党派を超えて与野党で一致して進める場合には、どうしたらそれを担保するのかということを、先に何らかの形を作っていかなければならないというふうに思っています。
それからもう一つは、ご指摘の通り中長期的な年金などの安定ということもちろん大変重要なことなんですが、これはやはり5年10年単位で物事が進んでいく決めていくし、決まった場合でも、それを実際に変えていくためには時間がかかる問題です。
一方でいま現に、低年金高齢者などですね、今目の前の生活困っている人たちがたくさんいる。いま政治が最優先で取り組まなければならないのは、いま現に低年金で生活が成り立たないと思っている高齢者の皆さん、あるいはこのままではそうなってしまうという不安の中にいる皆さん。こうした皆さんに対する手当をどうしていくのかの方が、私は当面数年の間は優先事項だというふうに思っています

一方の枝野代表は、3党合意は守られなかったという認識を述べたわ。見解が一致しないわ。
だから、与野党で一致して議論するには、約束をどう担保するかをまず決めるべきだと主張したヨ。
その上で、やっぱり今は低年金高齢者への手当などを優先すべきだとして、消費税引き上げに反対の立場を改めて強調した形です。

自民・安倍総裁「異次元緩和は失敗ではない」

「経済」テーマについての最後の質問は、アベノミクスについてだニャ。当初掲げた「2年で2%の物価上昇」目標は達成の見通しが立っていないニャ。
こうした中、安倍総理に対して、アベノミクス「異次元の金融緩和」は失敗だったのかを問いたニャ。質疑応答やりとりは、以下の通りだニャ。

安倍総裁への質問

次にアベノミクスについて伺います。これはアベノミクスですので安倍総裁に伺います。6年半前安倍政権が誕生したとき、政権交代があったとき一番強調されていたのは、デフレからの脱却でした。物価上昇目標2%に、これは日銀法改正まで言及されてこだわられ、その後日銀との間で共同声明も発表されました。それから6年以上たっているわけですけれども2%はまだ視界にも入っておりません。これはアベノミクス第1の矢ということで、日銀がやりますがアベノミクスの一番大事な第1の矢として位置づけられておりました。この異次元緩和は失敗でしたか

安倍総裁の回答

失敗ではありません。説明をさせていただきますと、まずですね、3本の矢の政策を進めていった。日本銀行は思い切った異次元の金融緩和を行った。そして、それは物価安定目標として政府と日本銀行で2%という合意をしました。
これはしかし、目標ではあるんですが、これだけを、これを達成するんではないんです。大切なことは何か、実体経済をよくすることですから、実体経済を良くするってことは雇用なんです。金融政策が雇用に働きかけを行うということであります。デフレではないという状況をつくるということについては、デフレではないという状況を作ることはできました
デフレではないという状況を作ったんで、いわばデフレスライド、年金デフレスライドをしないで済むようになりました。
そして雇用についてはですね、380万人新しい雇用が生まれて、正規雇用の有効求人倍率、史上初めて1倍を超えました。ですからその意味において、私は、日本銀行がとってきた政策においてこれは間違っていないと思いますが、引き続きですね、2%の物価目標を続けてもらいたいと思ってます。
同時に、同時にですね、しかしそれは無理やりということではなくて、安定的にその物価安定目標に進んでいってもらいたいと思いますが、政府が納得しているのは、いわば雇用がちゃんと、その本当の目標である雇用が確保されている。これは世界的な標準なんですが、金融政策によって雇用が作られたということをもって了としている
あと、デフレではないという状況は極めて短い間で達成することはできたと思ってます。

安倍総裁への質問

成果が上がったというふうな評価だと思うんですけれども、ならばもう6年以上やっているわけで、この異次元緩和、たくさん弊害も指摘されております。そろそろ縮小に向かうということも選択肢としてあるのではないでしょうか。あるいはもし縮小に向かったら失速するぐらいの弱いアベノミクスのでしょうか。

安倍総裁の回答

このアベノミクスを進める前ですね、いまよりも失業者100万人多かったんですよ。100万人も多かった。今年春、高校・大学を卒業した若い皆さんの就職率、過去最高水準になっていて、地方と中央の格差、47全ての都道府県で(有効求人倍率)1倍を史上初めて超えたということがあります。やらなかったら当然そういうことができていない。就職氷河期が再現されていたかもしれない。ここにしっかりと着目をしてまいりたいと思います。
そして、こうした金融政策については、中央銀行が適切に判断をしながら、これはいわば、テーパリング(金融緩和の縮小)等々を行っていくわけでありますが、これはまさに専門家の世界でありますから、政府が何か恣意的なことを言うべきではなくて、私は黒田総裁を信頼しておりますので、日本銀行に適切に判断してもらいたいと思っています
当然、現在の足元の市場の状況、経済の状況を見ながら、マクロ経済運営を慎重に進めていってもらいたいと思います。

安倍総理は「デフレではない状況を作ることができた」と述べて、アベノミクスの成果を強調したで。
日銀には2%物価目標に引き続き取り組んでもらいたいと述べる一方で、大事なのは雇用であって、成果は出ていると訴えたヨ。
たしかに有効求人倍率は改善しましたけど、背景には人口減少の中での人手不足や、雇用のミスマッチも指摘されています。課題も山積しているのが実態じゃないですか!
金融緩和による弊害も指摘されているわ。日銀が事実上、政府が発行する国債を買い支えている状況がマーケットに問題視されたら、金利の急上昇を招くおそれもあるわ。
いずれは金融緩和の縮小に取り組まない日が来るんじゃが、安倍総理は、日銀に適切に判断してもらう、と述べるにとどめたのう。
以上が「経済」をテーマに行われた質疑でした。次のテーマ「外交・安全保障」については、あす以降ご紹介します。

【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

※お断り
ここで紹介しているのは、東京都内で販売されている各新聞社の朝刊に基づいて、各社がウェブサイトに掲載している記事へのリンク集です。記事の見出しや本文は、朝刊と異なる場合があります。朝刊と同じ記事がウェブサイトに見つからない場合は朝刊の見出しを記載しています。
なお、コラムやイベントの宣伝記事などは割愛しています。