もくじ

賛否両論

自衛隊の「空母」保有をめぐる賛否それぞれの立場からの主な主張は以下の通りです。

主な反対意見

  • 憲法上「攻撃型空母」は保有できないと説明してきた
  • 自衛隊が掲げる「専守防衛」に反する
  • 自衛隊と米軍の「盾と矛」の関係を逸脱する

主な賛成意見

  • 憲法が保有を禁じる「攻撃型空母」には当たらない
  • 軍事大国化する中国の脅威に備えるべき
  • 日米同盟の連携強化につながる
日本政府は去年12月、海上自衛隊の保有する最大の護衛艦「いずも」と「かが」を改修して、戦闘機が離着艦する事実上の「空母」にする方針を示したニャ。
詳しくは、こちらの解説記事を参照してほしいニャ!

  • 【ニュース用語解説】「ヘリ空母」を「事実上の空母」にするって?
  • 自衛隊の「空母」保有について、新聞5紙の賛否は以下の通りだニャ。

    主要5紙のスタンス

    朝日新聞反対

    朝日新聞は2018年12月19日の社説『安保法後の防衛大綱 軍事への傾斜、一線越えた』の中で、

    憲法9条のもと、日本は専守防衛を原則としている。他国から攻撃を受けた場合、自衛隊が「盾」となって防御し、「矛」の役割を担う米軍が反撃するのが役割分担だ。
    より多くを日本に求める米国の意向を受け、自衛隊の攻撃的な能力は少しずつ整備されてきたが、今回は一線を越えたと言わざるをえない。「空母」の導入だ

    政府はかねて、自衛のための必要最小限度を超える攻撃型空母は憲法上保有できないとしてきた。改修後のいずもは戦闘機を常時艦載しないので、「空母」に当たらないと説明するが、詭弁(きべん)というほかない

    と、「空母」導入を厳しく批判しています!

    毎日新聞やや反対

    毎日新聞は2018年12月19日の社説『安倍政権2度目の防衛大綱 巨額の装備購入ありきか』の中で、

    新たに導入される装備には専守防衛との整合性が問われるものが少なくない。ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型の事実上の空母化がその一例だ

    普段は対潜水艦哨戒ヘリを搭載し、戦闘機は必要な場合だけの運用だから攻撃型空母ではないという政府の説明はごまかしに等しい

    などとと指摘しているわ。
    政府の説明ぶりを批判しつつも、「空母」導入そのものについては「専守防衛との整合性が問われる」と指摘しつつも反対を明言はしていないから、「やや反対」といったところかしら。

    日経新聞中立

    日経新聞は2018年12月19日の社説『防衛力整備は予算の重点化とセットで 』の中で、

    「いずも」型をヘリコプター搭載護衛艦に区分する方針は変えないが、事実上「空母」としての運用が可能となる。これまで政府は憲法9条によって「我が国は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離爆撃機、攻撃型空母は保有できない」と説明してきた

    政府は専守防衛の基本原則との兼ね合いについて丁寧に説明していく責任がある

    と指摘しているヨ。政府に説明を求めつつも、賛否は特にしめしていないネ。

    読売新聞賛成

    読売新聞は2018年12月14日の社説『離島防衛 「いずも」改修で抑止力高めよ』の中で、

    日本の防衛にあたる米軍機が着艦し、いずもが燃料を補給することもあり得る。安全保障関連法で可能となった自衛隊と米軍の一体運用を進め、同盟の実効性を高める意義は大きい

    と評価しておる。また、

    政府は従来、壊滅的破壊をもたらす「攻撃型空母」は保有できない、としてきた。過去の見解との整合性ばかりにとらわれるのは、有益とは言えない。有事にどう備えるか。政府は、改修の意義を丁寧に説明することが大切だ

    として、これまでの説明との整合性を指摘する反対論をけん制しておる。
    また、2018年12月19日の社説『新防衛大綱 サイバー攻撃への態勢整えよ』では、

    政府は、いずもに戦闘機を常時艦載はせず、警戒監視や輸送を主要な任務とする方針だ。これで、海上に戦闘機の拠点を設け、緊急時の機動力を確保する、という本来の目的は果たせるのか。
    「攻撃型空母は保有できない」という過去の見解に必要以上にとらわれるのは、生産的とは言えない。政府は、いずもの柔軟な運用を検討すべきだろう

    と指摘しておる。

    産経新聞賛成

    産経新聞は2018年12月19日の社説『新防衛大綱 いずも空母化を評価する 抑止力向上へ必要な予算を』の中で、

    いずも型の空母改修が専守防衛に触れるとの反対論は誤りだ。国民を守る上で有益か、費用を負担できるかという有用性の論理に立って判断すべきで、その観点から改修は妥当である
    反対論は、政府が保有できないとしてきた「攻撃型空母」の概念を理由に持ち出すが、いずも型の改修には当てはまらない。何十年も昔の冷戦期に生まれた議論であり、百害あって一利なしだ

    として、「空母」保有を評価した上で反対論を批判しとるで!
    また、

    中国の脅威への対処を見据えなければならない。中国は空母を何隻も揃(そろ)えようとしている。海空軍は太平洋へも進出しているが日本の飛行場は少ない。改修したいずも型の出番である。緊急時に、米軍のF35Bが利用することも可能で、同盟の運用力が高まる

    と意義を強調しとる。
    さらに、

    公明党の要求で、改修したいずも型にF35Bの常時配備はせず、空母とも呼ばないことになった。当面は運用の習熟をはかる期間で常時配備は不要だろうが、なぜ与党が自衛隊の運用上の柔軟性を損なうのか。空母の機能をもつ艦船を護衛艦と呼び続けるのもおかしい

    と指摘して、はっきり「空母」と呼ぶように求めとるで!

    【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

    朝日新聞

    毎日新聞

    日経新聞

    読売新聞

    産経新聞

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