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読み比べ

きょうの朝刊は、大相撲名古屋場所で御嶽海が初優勝したことを朝日、読売、産経が1面で伝えていますが、それ以外は各紙がそれぞれ異なるニュースを1面で取り上げています。
毎日新聞は、人口減少で議員のなり手不足に悩む高知県大川村が検討している「町村総会」をめぐって、総務省が毎日新聞の情報公開請求に対して「ない」と回答した総務省の研究会の議事録が、実際には作成されていたことが明らかになった、と報じています。
読売新聞は、文科省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部が東京医科大学のパソコンなどを解析した結果、ことし2月に行われた入試で複数の受験生の試験結果のデータが改ざんされていたことがわかった、と報じています。
日経新聞は、2020年の東京五輪ではAIやドローンを用いた警備やロボット通訳が活用されるなど、東京の「未来予想図」を取り上げています。
朝日新聞は、東京電力・福島第一原発事故によって働く場を失った障害者のために、福島県の福祉事業所が企業やNGOなどと連携して約200人の仕事を生み出したことを「SDGsの取り組みとして注目されている」と1面トップで伝えています。

朝日新聞 1面記事一覧

(2030 SDGsで変える)障害者が働く福島へ、13事業所一丸

夏100回、甲子園一番乗り 旭川大高 高校野球

戦争が奪った球音、復興の光に イオン創業者・岡田卓也さん

御嶽海が初優勝 大相撲名古屋場所

毎日新聞 1面記事一覧

総務省研究会、議事録「ない」実は存在 高知・大川村「町村総会」官誘導隠す?

西日本豪雨 9割、自宅で犠牲 高齢、2階上がれず 岡山・倉敷の真備

ストーリー 広島・被爆者の遺骨捜し(その1) 遺族の元に戻したい

日経新聞 1面記事一覧

五輪が変える日本
開幕まで2年 生産性・グローバル化磨く

住宅専用地にコンビニ 国交省、規制緩和 高齢者暮らしやすく

公務員と再就職先 仲介 政府がサイト 天下りあっせん防ぐ

KADOKAWA、直接取引を3300書店に拡大 「取次」介さず翌日配達も

読売新聞 1面記事一覧

文科省汚職 医大、複数受験生に加点…東京地検解析 前局長息子分も

西日本豪雨 災害ごみ 処理量超過…浸水被災地 国、自治体連携急ぐ

[地球を読む]米の関税戦争 戦後貿易秩序 自ら破壊…伊藤元重 学習院大学教授

御嶽海 初V…長野出身初

産経新聞 1面記事一覧

EU 米IT流に不信 グーグルに巨額制裁金

豪雨 24日に激甚指定 首相、補助対象の拡大言及

G20開幕 貿易摩擦で応酬

あめりかノート トランプは2人いる

相馬の海水浴場 8年ぶりの笑顔

御嶽海 初V 長野出身初

ピックアップニュース

タイでの発電所建設事業めぐる贈賄事件に「司法取引」初めて適用

タイで受注した発電所の建設事業に関連して現地の公務員に約3900万円の賄賂を渡したとして、東京地検特捜部は今月20日、大手発電機メーカー「三菱日立パワーシステムズ」の元取締役ら3人を、不正競争防止法違反の罪で在宅起訴しました。東京地検と会社は「司法取引」で合意し、捜査協力への見返りに法人としての会社の起訴を見送られました。
ことし6月に導入された「司法取引」を適用するのは今回が初めてです。「司法取引」は、犯罪の容疑者や被告が捜査に協力する見返りに検察が起訴を見送ったり求刑を軽くしたりする制度です。
対象となるのは、薬物や銃器が関わる事件や、脱税や談合、贈収賄といった経済事件などで、司法取引が成立するには、弁護人の立ち会いのもと協議し合意する必要があります。
犯罪の全容を解明する新たな捜査手法としての期待がある一方で、容疑者や被告が自身の処分を軽くするためにうその供述をして、えん罪を生み出すおそれも指摘されています。

読売新聞がきょう掲載した解説記事「初の「司法取引」意義と課題」の中で、弁護士の国広正氏は、今回のような海外における贈賄事件が、企業にとっては監視の目が行き届かない現地の独断で行われることが多いことから、司法取引の「主戦場」になると指摘。

日本の捜査機関が海外での贈賄事件を起訴した例は今回を含めて5件しかなく、国際社会から「取り組みが不十分だ」と非難されてきた。特捜部は今後、司法取引による摘発を強化していくだろう

という見通しを示しています。

司法取引の初適用について各紙の社説

日経新聞はきょう掲載した社説「腑に落ちぬ初適用の司法取引」の中で、

そもそも日本版司法取引は、企業犯罪や組織犯罪の捜査で、末端の実行犯だけが処罰される「しっぽ切り」に終わらせないために導入された。首謀者や組織の責任を追及することが期待され、法務・検察当局もそう説明してきた

と指摘した上で、今回の司法取引の結果、会社が訴追を免れて個人だけが刑事責任を負うことになったことから「腑に落ちない」としています。
産経新聞も、7月18日の社説「司法取引 社会が受容できる制度に」の中で、

巨悪を眠らせぬためにこそ、新制度は効力を発揮すると期待した。企業が訴追を免れて現場の社員だけが刑事責任を負えば、トカゲの尻尾切りとみられかねない

本音をいえば、首謀者や黒幕の摘発につながる運用実績を重ねてほしい。それでこそ新制度は、真の意味で社会に受け入れられる

と指摘しています。

今日の社説

読売新聞はきょうの社説「カジノ実施法 拙速な開業で禍根を残すな」の中で、カジノを含むIR整備法案が成立したことについて、

依存症の増大や反社会的勢力の浸透など、不安要素は数多い。拙速は避けねばならない

懸念するのは、事業者に顧客への金銭の貸し付けを認めることだ。一定の金額を預託した人が対象とはいえ、借金漬けにしかねない。融資を認めるなら、要件を厳格化する必要がある

などと指摘しています。

今後、政令や省令などで定める項目は331にも上る。カジノの面積の上限などが含まれる。周到な準備と、国民への丁寧な説明が求められる。開業ありきで、将来に禍根を残してはならない

と主張。誘致を目指す自治体に対しては、

カジノの負の側面も直視し、慎重に検討すべきだ

とクギを刺しています。

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

社説読み比べ

事実上閉会した国会について、朝日新聞と産経新聞が論評しています。
朝日新聞は「言論の府の惨状も極まった」、産経新聞は「非生産的な姿を改めて目の当たりにした印象だ」と、国会の現状を問題視している点では共通しています。ただ、その原因のとらえ方は対照的です。
朝日新聞は、

巨大与党を従えた長期政権の弊害が、国の統治を根腐れさせようとしている現状を、これ以上見過ごせない。行政府を監視し、熟議を通じて、より幅広い国民の理解を得ながら法律をつくる――。そうした国会の機能をこれほど形骸化させた第一の責任は、安倍首相にある

と主張。森友学園・加計学園をめぐる問題について、

いずれも、衆参両院の予算委員会や党首討論で再三取り上げられたが、解明にはほど遠い。正面から疑問に答えようとしない首相らの不誠実な姿勢こそが、政策論争に割くべき貴重な時間を空費させた

と安倍首相の答弁の姿勢を問題視しています。これに対して産経新聞は、

主たる要因は、野党側が延々と「森友・加計」学園問題を取り上げたことだ。政府に行為の違法性や致命的欠陥を突き付け、政策決定を撤回させる成果を挙げることはないままに終わった。野党の無策ぶりは批判されよう

として、野党を批判しています。
このように見解が真っ向から対立する朝日と産経ですが、財務省の文書改ざん問題をめぐる問題意識は共通しています。
朝日新聞は

本来なら、与野党の区別なく、立法府一体となって、行政府をたださねばならないというのに、与党がその責任を果たしたとは言い難い

行政府をチェックする国会の機能強化と、行政府と立法府の間のルールの整備が必要だろう

と訴え、産経新聞も、

さすがに自民党からも「財務省は許せない」「徹底解明を」と一時は声が上がった。だが結局、この事態を検証する機関が国会に設けられることはなかった。安倍晋三首相は「行政のトップ」の責任を繰り返したが、議会人としてどう考えるのか。大島理森衆院議長は、立法府として体面を失った問題を「時効」とはせず、引き続き検証方法を模索してもらいたい

と主張。ともに、国会の政府に対するチェック機能の強化を求めています。