IMG_7825

1面読み比べ

西日本の豪雨被害の続報、参議院の選挙制度改革、アメリカと中国の貿易摩擦問題について大きく報じられています。

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

  • 西日本豪雨 断水24万戸 影響長期化 死者174人、不明60人超
  • 高松宮殿下記念 第30回世界文化賞に5氏 カトリーヌ・ドヌーヴ氏ら
  • NHK同時配信容認へ 総務省 受信料引き下げ課題に
  • 米、対中追加関税6031品目 22兆円分9月にも発動

ピックアップニュース

参院選挙制度、定数6増の自民党案が参院通過

参議院の選挙制度をめぐっては、「1票の格差」を是正するために2015年の公職選挙法改正で「合区」が導入され、鳥取県と島根県、徳島県と高知県がそれぞれ1つの選挙区となりました。
自民党は、憲法を改正して「合区」を解消することを目指しましたが、来年の参院選挙までの実現が困難な中、参議院議員の定数を6増やすことになる公職選挙法改正案をまとめました。
この案では、議員1人あたりの有権者数が最も多い埼玉県の定数を2増やして1票の格差を3倍未満に抑えます。
また、比例代表の定数を4増やした上で、政党があらかじめ決めた順位に従って当選者が決まる「拘束名簿式」を一部選択できる「特定枠」を設けます。この「特定枠」は、「合区」のために選挙区に候補者を擁立できない県から確実に議員を出せるようにするための救済措置です。
自民党案に対しては、議員定数を増やすことへの批判や、「特定枠」導入について「党利党略でご都合主義だ」などの批判があります。
公明党や野党は対案を出しましたが、自民党案がきのう参議院本会議で可決され、法案は衆議院に送られ、今国会で成立する見通しとなっています。

読み比べ

このニュースについて、今日の社説で取り上げたのは朝日新聞と毎日新聞で、ともに自民党を批判しています。
朝日新聞『参院選挙制度 自民の横暴、極まれり』では、

選挙制度は民主主義の根幹にかかわる。それを委員会での審議わずか6時間ほどで、政権党が独断で変えてしまう。まごうことなき暴挙であり、民主主義の破壊である

と厳しく批判。比例区に設ける「特定枠」については、「合区」対象県の議員の救済策だと指摘し、

あまりのご都合主義に、あぜんとする

とコメント。他党も対案を提出し、選挙制度の「抜本改革の芽はあった」と指摘した上で、

それらを自民党が一蹴し、公明党も最後は従った。民主主義の危機を強く印象づける与党の暴走である

と与党を強く非難しています。

毎日新聞『「合区救済」法案が成立へ 参院は主権者を遠ざけた』
も、

投票価値の平等を目指す抜本改革にはほど遠く、自民党の身勝手な都合で参院を私物化するのに等しいと私たちは反対してきたが、与党が数の力で押し切った

と批判。比例区に設ける「特定枠」については

合区制度の本来の目的を否定する「裏口入学」にほかならない

と指摘しています。この「特定枠」をやめて、対案を出した野党の主張をとりいれる選択肢もあったと主張。

国民と国会をつなぐのが選挙制度だ。それを党利党略でもてあそび、主権者を遠ざけた参院の罪は重い

と非難しています。
その他の3紙は社説では取り上げていませんが、産経新聞の記事『抜本改革と合区救済で自民苦渋の策 定数増は野党に利点』では、

「一票の格差」是正に向けた選挙制度の抜本的見直しを迫られ、憲法改正による「合区」解消のめどが立たない中、次善策として格差是正と合区対象県救済を両立する改正案に踏み切った

として、自民党にとって「苦渋の策だった」と解説しています。その上で、定数増は「野党の方が恩恵を受けやすい」と指摘しています。
この点については 毎日新聞『定数改正案、参院通過 「6増」本質議論乏しく 「議席増」期待、野党弱腰』でも、

公明党や野党は安易な議員増への批判を懸念して対案を提出したが、「定数増であわよくば我が党の議席増を」という思惑もちらつき、追及は終始迫力を欠いた

と指摘されています。

今日の社説

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞