森友学園に対する国有地売却について財務省が決裁文書を書き換えていた問題をめぐり、書き換えが行われた当時に国有財産を管理する理財局のトップだった佐川前国税庁長官の証人喚問が、衆・参両院の予算委員会で行われた。
佐川氏は「国会において大きな混乱を招き、行政の信頼を揺るがすような事態になったことは誠に申し訳ないと思っている。当時の担当局長として責任はひとえに私にある。深くおわび申し上げたい」と謝罪した。一方で、書き換えは誰の指示でなぜ行われたのかなどについては、刑事訴追を受けるおそれがあるとして証言を避けた。
また、証人喚問で真相が明らかになったと思うかと聞かれたのに対し「どういう経緯で誰が具体的に指示をしたかは答えていないので、その点は明らかになっていない。それは司法になると思う」と述べた。
論点ごとのポイントは以下の通り。
<文書改ざん問題について>
・政府の指示はあったか
佐川氏は、安倍首相や昭恵夫人、首相官邸関係者の指示はなかったと証言した。また、理財局の外の財務省や首相官邸に報告することはなく、理財局の中で対応した、と証言した。

・書き換えに関与したか、知っていたか、書き換えの経緯は
佐川氏は、自らが捜査の対象で刑事訴追を受けるおそれがあるので答弁を差し控える、としていずれも証言しなかった。

・安倍首相の国会答弁の影響はあったか
安倍首相が去年2月に国会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したことについて、佐川氏は、自らの答弁などに影響は与えていないという認識を示した。

<佐川氏のこれまでの国会答弁について>
・「学園側との交渉記録は全て廃棄した」との答弁について
佐川氏は「丁寧さを欠いていたのは間違いない。当時、理財局内は国会対応で連日連夜朝まで国会対応する日々で、休むことができない中で、全くそういう余裕がなかったのが実態だ。申し訳ない」と謝罪した。

・「学園側との事前の価格交渉はなかった」との答弁について
佐川氏は「『不動産鑑定価格は申し上げたことはない』と答弁した。土地の売却を行うときに価格は関心事なので、価格の話をすることはあるが、私自身の答弁は正しかったと認識している」と述べた。

・「学園への国有地売却は適切に行われた」との答弁について
佐川氏は売却手続きは適切だったと主張した。