もくじ

【読み比べ】「テロ対策」遅れで原発が運転停止へ

原子力規制委員会はきのう、原発のテロ対策施設が期限までに設置できない場合、原発の運転停止を命じることを決めました。
原発のテロ対策施設は、福島第一原発事故の後に作られた新たな規制基準で義務づけられたものだニャ。
「特定重大事故等対処施設」と呼ばれる施設じゃ。
原発に航空機が突っ込むようなテロが発生した場合に、遠隔操作で原子炉を冷却する役割などが想定されておる。
この施設の完成期限は、当初は一律2018年までとされたのよ。
だけどその後「原発本体の工事計画の認可から5年以内」へと、期限がいちど延長された経緯があるのよね。
九州電力・関西電力・四国電力の5か所10基の原発で、テロ対策施設の完成が期限より1年〜2年半遅れる見通しんなんだ。
電力会社は原子力規制委員会に対して、期限のさらなる延長を求めていたんだよ。
この中には、すでに再稼働している4つの原発の7基が含まれているニャ。
原子力規制委員会の更田委員長はきのうの記者会見で「(電力会社の)見通しが甘かった。差し迫ってきて訴えたら何とかなると思っていたのなら、それは大間違い」と電力会社の対応を批判しました!
電力会社が求めた期限の延長は認められず、テロ対策施設の完成が間に合わなかった原発は運転停止を命じられることになるで。
再稼働にこぎつけた原発が、次々と停止していく事態になるんか・・・なにしとんねん。ほんまありえへんで。
原子力発電のすべての電源に占める割合は、2017年度で3%じゃ。
政府はこの割合を、2030年度に20〜22%までに引き上げる目標を掲げておるんじゃが・・
そもそもこの目標は達成が非現実的だと指摘されていたけど、今回の件でさらにハードルが高くなったわね。
原発が停止すると、その代わりの電源として火力発電を運転することになる。
多額の燃料費が必要になるね。
電気料金の値上げがあるかもしれませんね。

新聞各社の取り上げ方に温度差

このニュースを、今朝の朝刊1面と社説でともに取り上げたのは毎日新聞と日経新聞です。
毎日新聞は社説で、

安全確保に猶予は認められない。規制委の決定は当然のことだ

原発の安全対策に終わりはない。対策の手を抜くと、重大な事態を招く。これは福島第1原発事故の教訓だ

原発が停止しても、電力不足を心配する必要がないことは、3・11後の経験から明らかだ。むしろ、原発はテロへの備えが脆弱(ぜいじゃく)であることを見つめ直す機会とすべきだ
(毎日新聞 社説『原発のテロ対策遅れ 安全に猶予は認められぬ』より)

と指摘しているわ。

日経新聞も、

停止命令は厳しい措置だが、規制委の判断は筋を通したといえる

として、今回の判断に理解を示しているよ。
その一方で、

規制委も基準のあり方を再考する余地はあろう。テロ対策は常設の機器のほか、ポンプ車など可搬型設備も加えて多重に備えることになっている。これらを総合的に勘案し、テロ対策の有効性を判断する手法も検討すべきだ
(日経新聞 社説『原発のテロ対策に甘えは許されない』より)

とも指摘しているよ。

朝日新聞と産経新聞は、社説は掲載していないけど、1面で取り上げているニャ。
あれ、読売新聞は1面にも社説にも掲載してないニャ・・
こんな重要な話なのに・・なんでそんな扱いなんですか?
旧優生保護法の被害者救済の話と、巨大IT企業への規制についてはわかるけど・・安倍総理とイタリア首相との会談よりは、原発の話の方が大事な話じゃないかしら。
政府に都合が悪いことだから、ちょっと様子見してるんでしょうか?
失礼じゃ!きょうの朝刊がすべてではなかろう。きっと明日にでも社説を掲載するじゃろう。
産経新聞も明日にでも、社説でビシッと物申してくれることに期待や!
朝日新聞もきっと明日には社説で厳しく批判するはずです!
脱原発を主張する朝日新聞の社説は想像がつきますが、原発を活用していくスタンスの読売新聞・産経新聞がこの件についてどんな主張をするのか、注目ですね。

【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

今日の産経新聞の1面はこれやで!

社説はこれや!

※お断り
ここで紹介しているのは、東京都内で販売されている各新聞社の朝刊に基づいて、各社がウェブサイトに掲載している記事へのリンク集です。記事の見出しや本文は、朝刊と異なる場合があります。朝刊と同じ記事がウェブサイトに見つからない場合は朝刊の見出しを記載しています。
なお、コラムやイベントの宣伝記事などは割愛しています。