もくじ

賛否両論

「女系天皇」をめぐる賛否それぞれの立場からの主な主張は以下の通りです。

主な反対意見

  • 男系で皇位継承してきた伝統を守るべき
  • 国民の多くは「女系天皇」の意味を理解していない
  • 旧皇族の「男系男子」を皇室に復帰させればよい
  • 悠仁さまが男子に恵まれれば必要ないので見守るべき

主な賛成意見

  • 男女平等の時代に皇室制度も柔軟に対応すべき
  • 国民の多くが「女系天皇」の即位を容認している
  • 民間人だった人を皇室に復帰させることに違和感がある
  • 安定した皇位継承のために早く議論すべき
今日の話の中には、「女系天皇」や「女性天皇」「女性宮家」など、普段なじみがない用語がたくさん出てきて難しいニャ。
用語の意味がよくわからない人は、こちらの解説記事も参照してほしいニャ!
【ニュース用語解説】女性天皇・女系天皇って?
【ニュース用語解説】「女性宮家」ってなに?

これまでの経緯

小泉政権の有識者会議、「女系天皇」を容認

この議論の出発点は2004年12月、当時の小泉総理大臣のもとに「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、安定的な皇位の継承に関する議論が行われました。
この時まで、男性の皇族が生まれない状況が40年も続いていてのう。
皇太子さまの次の世代に皇位継承者がおらず、危機感が強まっていたんじゃ。
歴代天皇の半数近くは「非嫡系」つまり側室の子供だったんだヨ。
側室の制度がなくなった現代社会において、皇位継承をめぐる制度が行き詰まったということだネ。
有識者会議が2005年11月にまとめた報告書には、こんなシミュレーションが示されたわ。

仮に現世代に5人の男系男子が存在するとして、現在の社会の 平均的な出生率(平成16年合計特殊出生率1.29)を前提に、将来世代 の男系男子の数を確率的に計算してみると、男子・女子の出生の確率をそれ ぞれ2分の1とすれば、子の世代では3.23人、孫の世代では2.08人、 曾孫の世代では1.34人と、急速な減少が見込まれる

ってね。衝撃の事実だわ。

実際には男子が偶然たくさん産まれる可能性もありますけど、逆に1人も生まれない可能性だってありますよね!報告書は皇位継承について、

偶然性に左右される制度は、安定的なものということはできない

と指摘しています!

報告書は男系継承の維持は極めて困難と結論づけ、

女性天皇や女系の天皇を可能とすることは、社会の変化に対応しながら、多くの国民が支持する象徴天皇の制度の安定的継続を可能とする上で、大きな意義を有するものである。
このような意義に照らし、今後における皇位継承資格については、女子や女系の皇族に拡大することが適当である

と提言したんじゃ。

ほかにも皇位継承の順位について、

国民が、将来の天皇として、幼少時から、 期待をこめてそのご成長を見守ることのできるような、分かりやすく安定した制度であることが求められる

として、男女を区別せずに第一子を優先させることを提案したニャ。

さらに、女性皇族が民間人と結婚した場合でも皇族にとどまり、夫や子孫も皇族にする必要がある、としているヨ。「女性宮家」創設の提案だネ。

「女系天皇」への反対論が上がる中、悠仁さま誕生

この有識者報告書をふまえて、小泉総理は2006年1月、皇室典範の改正案を通常国会で成立させたいという考えを表明しました!
これに対しては保守派を中心に「女系天皇の容認は男系継承という皇室の伝統を破壊する」といった反対の声があがったんだニャ!
当たり前やで!「女性天皇」は歴史上8人いたから認めても仕方ないけどな、過去に「女系天皇」は1人もいないんやで。
神武天皇以来ずっと続いてきた王朝が変わってしまうくらいの衝撃やで!「女系天皇」には断固反対や!
こうした中、2006年2月に紀子さまのご懐妊が明らかになったんじゃ。
その年の9月には悠仁さまが誕生されて、皇室をめぐる議論は立ち消えになったんだわ。

野田政権、「女性宮家」創設盛り込む論点整理を公表

議論が再び浮上したのは、民主党の野田政権の時です。
2012年2月から7月まで「皇室制度に関する有識者ヒアリング」が行われました。
このヒアリングは、議論が紛糾する皇位継承問題ではなくて、「皇室活動の維持と女性皇族の問題」にしぼって行われたんだネ。
女性皇族はいまのルールのもとでは結婚すると皇室を離れて民間人になってしまうから、皇室の活動の担い手がいなくなってしまうという問題だニャ。
この有識者ヒアリングをもとに、政府は2012年10月に「論点整理」を公表したんじゃ。その中には、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設案や、結婚して皇室を離れても国家公務員として皇室活動に参加できる案などが記されておる。
政府は国民の意見も聞いた上で、皇室典範の改正に取り組む方針も示したんです。
だけど、2012年12月の衆議院で民主党は敗北し政権交代しました。
女性宮家の創設に慎重なスタンスの安倍総理が政権を担うようになると、再び議論はストップしてしまったわ。

天皇陛下の退位を実現する特例法が成立

皇室をめぐる議論が深まらない中、天皇陛下が2016年8月、退位の意向を表明されました。
ビデオメッセージの中で、

次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています

と述べられたんです。

あのお言葉には驚いたで。日本国憲法にも皇室典範にも、天皇の退位の規定はないんや。
天皇は終身制やねん。生きてるうちに退位されることは、そもそも想定してないんやで。
だから、陛下のお気持ちに沿って退位を実現するためには、法律を整備する必要がありますね。
だけど憲法4条は、

天皇は国政に関する権能を有しない

と定めています。

陛下のお気持ちを実現させてさしあげたいわ。
でも、天皇のお言葉を直接のきっかけに法律を整備すると、陛下の行った行為が憲法違反になってしまう恐れがあるわ。
ここは慎重に議論しないと危ないのう。
そこで政府は2016年9月、天皇の公務の負担軽減という名目で有識者会議を設置したんじゃ。
国民代表の意見を聞く中で、退位についても議論する、という形をとったんじゃよ。
そして、1代限りの特例法という形で、陛下の退位を実現させたんじゃ。
特例法は2017年6月に成立しました。
そしてその付帯決議には、

政府は安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること

が盛り込まれたんです。

「令和」時代スタート。秋以降、女性宮家などの議論へ

そして2019年5月、新しい天皇陛下が即位されて「令和」の時代が始まったネ!
ということは、特例法の付帯決議に沿って、政府は「女性宮家」の創設を本格的に検討していくことになるのかニャ?
菅官房長官は2019年5月1日の記者会見で

安定的な皇位の継承を維持することは国家の基本に関わる極めて重要な問題だ

としつつも、

男系継承が古来例外なく維持されたことの重みなどを踏まえ慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある

と述べておる。

「女性宮家」の議論を本当に前に進めるつもりがあるのか、なんだか怪しいですね。
安倍総理は女系天皇には反対で、女性宮家に慎重みたいですし!
ええか、勘違いがないように念押ししておくけど、皇室活動の維持の問題と、皇位継承の問題は別やからな。
「女性宮家」を仮に創設するとしても、「女系天皇」を容認する議論につながることには断固反対やからな!
でも、多くの人が「女系天皇」を認めているわ。
最近の産経新聞の世論調査でもそういう結果が出たじゃない。
伝統も大切だけど、時代の変化とともに柔軟に対応してもいいんじゃないかしら。
「男系男子」による皇位継承を重視する保守派は、「旧宮家の血を引く男系男子孫の皇籍復帰」を主張しているみたいだニャ。
それって、ずっと民間人だった人をいきなり皇族にひっぱってくるってことですよね。そんなの、国民の理解が得られませんよ!
僕は正直「女系天皇」ってなんのことか知らなかったヨ。
この話、よくわかってない国民も多いんじゃないかナ。
女系天皇をめぐる議論は、賛否がわかれるところじゃ。
悠仁さまがお若いうちは、皇位継承の議論は深まらないかもしれんのう。
まずは皇室活動の維持の観点から、「女性宮家」の創設などの議論を慎重に進めていくんじゃろうな。
政府は、天皇陛下の即位に伴う1連の式典が終わる秋以降に、具体的な検討を進めていくものとみられます。

主要5紙のスタンス

朝日新聞やや賛成

朝日新聞の過去3年分の社説を振り返ってみました。
皇室制度をめぐる議論に消極的な安倍総理について、

安倍氏は首相就任前、女性・女系天皇の誕生につながるおそれがあるとして、女性宮家に慎重な論考を発表している。その中で民主党政権を「拙速、お気軽」と批判したが、内閣を率いた後、自らは考えを示すことなく手をこまぬいてきた。
首相が皇室制度を大切だと思うのなら、4年間に及ぶ不作為を反省したうえで、この課題から逃げずに、真摯にとり組む姿勢を示す必要がある
(朝日新聞 2016年10月16日 社説『有識者会議 掘りさげた天皇制論を』より)

と批判しています!
また、

安倍政権がかたくなな態度をとり続けるのは、女性宮家が女性・女系天皇に道を開くことになりかねないと見るからだ。そうやって手をこまぬいているうちに、事態は抜き差しならないところに進みつつある。
約700年前に天皇家から分かれ、戦後、皇籍を離れた旧宮家の男性を皇族に復帰させる案を唱える人もいる。だが国民が素直に受け入れ、これまで皇族に寄せてきたのと同じような思いを抱くことができるか、大いに疑問がある。国民の支持なしに皇室制度は存立しない
(朝日新聞 2017年5月18日 社説『皇室の将来 議論の先送り許されぬ』より)

と指摘しています!
「女系天皇」について明確に賛成の言葉はありませんが、このように安倍総理の姿勢を批判したり、保守派の対案に疑問を呈しています。総じて、女系天皇に「やや賛成」のスタンスですね!

毎日新聞賛成

毎日新聞の過去3年間の社説をふりかえると、明言はしていないけど「女系天皇」に事実上賛成の立場だわ。
たとえば、

女性や女系天皇を認めるべきだという主張もある。男系の伝統は絶たれるが、皇室に生まれ育った女性皇族やその子どもに皇位継承資格を与えるものだ。
男女平等などの時代的背景や安定的な皇位継承という点で現実的な対応だと賛同する意見は多い
(毎日新聞 2017年6月10日 社説『転機迎える象徴天皇制 国民との共同作業は続く』より)

男系維持か女系容認かだけでなく、男系を基本とし女性・女系にも門戸を開くという案もあろう
(毎日新聞 2017年8月9日 社説『陛下のおことばから1年 議論を止めてはいけない』より)

などと、女性・女系天皇への賛成意見や、具体的な案を紹介しているわ。
ことしに入ってからも、

安定した皇位継承のためには、「女性天皇」や「女系天皇」の可能性を排除せず、できるだけ早い時期から議論を始めるべきだ
(毎日新聞 2019年1月3日 社説『次の扉へ ポスト平成の年に 象徴の意義を確かめ合う』より)

などと主張しているわ。

たしかに、「女系天皇」に賛成している印象が強いニャ。
旧皇族の復帰案には反対しているのかニャ?
もちろんだわ。

保守派には皇位が男系で継がれた伝統を継承するため、戦後に皇籍を離れた旧宮家を復活させる案がある。だが、一般国民になって70年になり、皇室とは縁遠い存在だ。
男系の血筋といっても、今の陛下と共通の祖先は約600年前にさかのぼる。とても国民の理解が得られるとは思えない
(毎日新聞 2017年6月10日 社説『転機迎える象徴天皇制 国民との共同作業は続く』より)

右派の人は男系男子でなければ天皇制の性格が根本から変わると主張する。しかし、男女のどちらを優先するかなどの問題ではなく、天皇制そのものの危機である
(毎日新聞 2019年5月2日 社説『新天皇陛下が即位 令和の象徴像に期待する』より)

などと指摘しているわ。

日経新聞やや賛成

日経新聞も、前向きな立場だヨ。
令和初日、2019年5月1日の朝刊に掲載した社説の中で、「女性・女系含め議論を」という小見出しのもとで、

小泉首相時代の報告書も踏まえ、政府は一刻も早く新たな有識者会議を開くなどして議論を前へ進めるとともに、国民各層から幅広く意見を聴くべきだろう

長い歴史と伝統を尊重しつつも、社会の変化に柔軟に対応する皇室の姿を多くの国民は待ち望んでいるのではなかろうか
(日経新聞 2019年5月1日 社説『社会の多様性によりそう皇室に  令和のニッポン(1)』より)

と指摘しているヨ。
「女系天皇」を容認した報告書をふまえた議論を促してるし、社会の変化に柔軟に対応・・ということは、「女系天皇」にやや賛成スタンスと言えるネ。

読売新聞中立

読売新聞は「女系天皇」については中立、といったところかのう。社説では、

女性宮家には、将来的に女性天皇が可能になった場合に備え、結婚による女性皇族の皇籍離脱を防ぐ役割も期待できる。創設を再検討する意義は小さくない。
女性天皇には8人10代の先例がある。いずれも男性の天皇につながる男系天皇だった。
女系天皇を認めるかどうか、は意見の分かれるところだろう。広範な議論が求められる
(読売新聞 2017年1月28日 社説『皇位安定継承 女性宮家の議論も再開したい』より)

と述べるにとどめておる。賛否は明らかにしておらんのじゃ。

産経新聞反対

産経新聞は「女系天皇」に反対や!社説では、

古代から現代まで、一度の例外もなく貫かれてきた大原則は男系による継承である。父方をさかのぼれば天皇を持つ皇族だけが皇位継承の資格がある。
この原則が非皇族による皇位の簒奪(さんだつ)を防ぎ、万世一系の皇統を守ってきた。
女系継承は別の王朝の創始に等しく、正統性や国民の尊崇の念が大きく傷つく
今も親族として皇室と交流のある旧宮家の皇籍復帰により、皇室の裾野を広げるよう検討してもらいたい。皇族はそもそも一般国民とは異なる特別な地位にある。男女平等の原則にしても、伝統に支えられた天皇の本質を損なうことは、憲法上も許されない
(産経新聞 2019年5月3日 社説『天皇陛下ご即位 新時代のご決意支えたい 伝統踏まえ安定継承の確立を』より)

とハッキリ主張しとるで!

【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

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