政府は「経済財政運営と改革の基本方針2018」いわゆる「骨太の方針」を閣議決定した。政府はこの「骨太の方針」に基づいて来年度予算案の編成に当たることになる。主なポイントは以下の通り。

財政再建:黒字化目標を5年間先送り

財政再建をめぐっては、基礎的財政収支を黒字化する目標の達成時期について、2020年度としてきた従来の目標を5年間先送りし、2025年度とした。
この目標達成にむけて、2019年度〜2021年度を、医療や介護などの社会保障制度の改革を進める「基盤強化期間」と位置づけたが、具体的な数値目標は盛り込まれなかった。
また、黒字化目標の達成にむけた進捗状況を確認するために2021年度に以下の3つの「中間指標」を設定した。

  • 基礎的財政収支の赤字の対GDP比:2017年度から半減(1.5%程度)
  • 債務残高の対GDP比:180%台前半
  • 財政収支赤字の対GDP比:3%以下

ただ、この財政再建目標が前提にしているのは「実質2%、名目3%」の経済成長で、潜在成長率が1%程度とされる日本経済にとっては高すぎ、非現実的だと批判されている。

消費増税:2019年10月の消費税率引き上げを明記

来年10月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げについては「実現する必要がある」として、引き上げる方針を明記した。その上で、消費増税に伴う消費の落ち込みを抑えるため、「臨時・特別の措置を2019・2020年度当初予算において講ずる」として、財政出動を行う方針を示している。

外国人材の受け入れ拡大:新たな在留資格を創設

深刻化する人手不足の克服のため「外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある」として、最長で5年の在留を可能とする「就労を目的とした新たな在留資格」を創設することを盛り込んだ。
建設、造船、宿泊、農業、介護の5つの分野の人手不足が深刻だと指摘されていて、政府は今後、業種ごとにヒアリングなどを行った上で外国人材を受け入れる業種を正式に決め、受け入れ方針を決めていくことになる。

人づくり革命:幼児教育の無償化

消費税率の引き上げが実施される来年10月から、幼児教育の無償化の実施を目指す。
具体的には、0歳から2歳までは、住民税が非課税の低所得世帯を対象に無償化する。
3歳から5歳までは、幼稚園・保育所・認定こども園の費用を無償化するとともに、認可外保育についても、一定額を上限に保育料を補助する。