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新党「国民民主党」62人で設立大会。衆院では第2党にとどまる

民進党と希望の党が合併して結成した新党「国民民主党」の設立大会が開かれ、民進党の大塚代表と希望の党の玉木代表が共同代表に選出されました。
ただ、民進党の岡田元代表や野田前首相、希望の党の細野元環境大臣など、両党の議員のうち約40人は新党に参加せず、無所属での活動や立憲民主党への参加を選びました。
結局、国民民主党への参加者は衆参両院で62人で、衆議院では立憲民主党に次ぐ野党第2党にとどまりました。

これまでの経緯

衆院選挙を機に民進党が分裂

2017年9月、衆議院選挙の直前に、東京都の小池都知事は、民進党を離党した細野議員らと共に新党「希望の党」を立ち上げます。
民進党の前原代表は希望の党に合流する方針を決め、党の了承を得ましたが、希望の党は民進党の議員全員は受け入れませんでした。希望の党の公認を得られなかった民進党の議員は、無所属で立候補することになりました。
こうした混乱の中、民進党の枝野氏らは「立憲民主党」を結成します。
この結果、民進党は、民進党・希望の党・立憲民主党の3つに分裂し、立憲民主党が野党第1党となりました。

希望の党が民進党に合流し「国民民主党」結成

民進党は、最大の支持団体である「連合」が旧民進党勢力の連携を促していることも踏まえ、立憲民主党と希望の党に新党の結成を働きかけます。
結局、立憲民主党は参加せず、希望の党が民進党に合流する形で「国民民主党」が結成されることになりました。
基本政策については、安全保障政策をめぐっては、集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法について「違憲と指摘される部分を白紙撤回することを含め、必要な見直しを行う」とし、エネルギー政策をめぐっては、「2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入する」としました。
希望の党は、衆院選で掲げた公約では安全保障関連法を認める立場でしたが、新党結成にあたって反対姿勢にカジを切った形です。

賛否両論

新党への否定的な見方

  • 軸となる政策の議論が深まっていない
  • 選挙目当ての離合集散ではないのか

新党への肯定的な見方

  • 政策の間口を広げ様々な人を入りやすくした
  • 政権交代を目指す野党勢力の結集には意義がある

新聞各社の主張

朝日新聞(2018年5月8日社説否定的

自公政権に代わる政治勢力の結集に向けた一歩という意義自体は否定しない

と前置きしつつも、新党の基本政策について

どこまで詰めたすり合わせをしたのか。寄り合い所帯を解消できず、分裂に至った旧民進党の失敗を重く受け止めるべきだ

と指摘。さらに、

そもそも新党は、個々の選挙事情を抱えた議員が生き残るための離合集散ではないのか、との疑いがぬぐえない

選挙の足場を早く整えたいという連合の意向への配慮があったとすれば、内向きの論理と言わざるを得ない

などと指摘し、新党を否定的に受け止めています。

毎日新聞(2018年5月8日社説否定的

民進党系の勢力は立憲民主党、希望、民進に3分裂した。半年以上を経て、混乱状態の整理を進める動きであろう

と指摘した上で、新党に立憲民主党が参加しなかったことについて

希望と民進は立憲に参加を呼びかけたが、それは国民に支持されなかった元のさやに収まることを意味する。排除されたことで一定の支持を得た立憲が応じる理由はないだろう

と解説。

このままでは立憲と共産党に主導権を握られるとの危機感が性急な合流につながった。そんな内向きの思惑も国民から見透かされているのではないか

国会の行政監視機能を回復させるためにも「強い野党」が必要だ。ただし、現在の野党勢力にはそこに至る大きな戦略が欠けている

と、新党に厳しい見方を示しています。

日経新聞(2018年5月8日社説否定的

選挙目当ての離合集散に有権者は飽き飽きしている。信頼を取り戻すには政策を通じて、何をめざす政党なのかを明示していく努力が不可欠だ

と指摘した上で、

大塚、玉木両共同代表は7日の設立大会で(1)技術革新(2)長寿時代に安心できる社会保障(3)自立型の分権社会――を柱に位置づける考えを示した。それならば予算の効率化や増税論議からも逃げない総合的な政策を一刻も早くまとめる必要がある

と具体的な政策を示すよう促しています。

新党が自らの政策を軽んじたまま政権への対決姿勢だけを鮮明にするようなら、過渡的な政党の一つとして今度も終わってしまうだろう

と厳しくハッパをかけています。

読売新聞(2018年5月8日社説否定的

野党再編の中途段階とはいえ、拙速の感は否めない。政府と渡り合える政策立案能力を高め、国民の信頼を得る努力を続けることが肝要だ

として、新党に否定的な立場です。

「多弱」と呼ばれる野党の状況を変え、軸を作る発想は理解できる。問題なのは、政策の方向性があいまいになったことだ

と指摘。希望の党は安全保障関連法を容認する姿勢だったにも関わらず、新党では見直す方針を掲げていることについて、

左派路線にすり寄ることで活路を見いだそうとする姿勢は、安易と言わざるを得ない。かつての民主党を復活させるようでは、未来は開けないだろう

と批判しています。

産経新聞(2018年5月9日社説否定的

有権者に大きな共感が広がるとは思えない。むしろ、この「新党」がいつまでもつのか、を考える方が現実的だ。これほど厳しい船出も珍しいのではないか

政策本位の活動を積み重ね、国民の理解を得る正攻法をとる。特別なこととは思えないが、この新党の将来にそうした道筋を見いだすことは難しい

などとして、新党に否定的な立場です。
希望の党が、衆院選では憲法改正や現実的な安全保障政策を掲げたにも関わらず、新党の基本政策に引き継がれていないことについて

政策の位置づけはその程度、ということである

と指摘した上で、

集団的自衛権の限定行使の容認を違憲として認めない立憲民主、共産の左派路線に傾斜すれば、日米同盟の強化を妨げ、北朝鮮危機の下で弊害をもたらす。「第2立憲民主党」への道を突き進んではならない

と新党をけん制しています。

社説読み比べ

安倍政権に批判的な朝日・毎日も含めて、5紙全てが新党「国民民主党」の船出に厳しい見方を示しています。

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