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政府、カジノ含む「IR」整備法案を閣議決定

IR(=統合型リゾート施設)とは、カジノや会議場、ホテル、商業施設などが一体的に整備された区域です。
2018年4月27日に政府が閣議決定した法案では、
・IRの整備区域は全国で当面3か所(7年後に見直す)
・カジノ面積は、IR全体の延べ床面積の3%以下
・事業者は、カジノの収益の30%を納付
・日本人利用客のカジノの入場料は6000円
・入場回数は1週間で最大3回、4週間で10回までに制限
などの内容となっています。
安倍首相は「ギャンブル依存症などのIRに対するさまざまな懸念に万全の対策を講じ、法案の成立に全力で取り組み、観光先進国の実現を目指す」などと法案の意義を強調。政府は、この法案を今の国会で成立させる方針です。

これまでの経緯

「カジノ解禁」法案が成立。各地で誘致に意欲

諸外国に存在する「カジノ」は刑法が禁じる賭博にあたり、日本では認められてきませんでしたが、2016年12月に成立した「カジノ解禁」法案は、政府に対してカジノを解禁しIRを整備するよう促しました。カジノがもたらす経済効果を狙い、各地で誘致に向けた動きがみられます。
北海道では3市(苫小牧市、釧路市、留寿都市)が誘致を表明。
大阪府(大阪市)は大阪湾の人工島・夢島を予定地として誘致を目指しています。
長崎県は佐世保市の「ハウステンボス」との相乗効果を狙っています。その他、神奈川県(横浜市)、愛知県(常滑市)、和歌山県(和歌山市)などに誘致の動きがあります。

賛否両論

カジノ反対派の主張

  • ギャンブルを観光の目玉とすることに疑問
  • ギャンブル依存症者の増加につながりかねない

カジノ賛成派の主張

  • 観光客を誘致し経済活性化につながる
  • 競馬やパチンコ等を含めたギャンブル依存症対策を講じる

新聞各社の主張(抜粋)

朝日新聞(2018年4月5日社説反対

ギャンブル依存症が増える不安は消えない(略)政府は今国会での成立をめざすが、到底受け入れられるものではない

毎日新聞(2018年4月29日社説反対

自然や文化資源にめぐまれた日本でなぜ観光の目玉が賭博なのか。根本的な疑問として残る(略)国民の理解がないまま、解禁ありきで進めてはならない

日経新聞(2018年4月28日社説やや反対

この法案で、国民が抱くカジノへの不安や懸念が払拭されるとは思えない(略)今度こそカジノのマイナス面も含めていねいに説明し、十分な時間をかけて審議をすべきだ

読売新聞(2018年4月6日社説)やや反対

ギャンブルにはまった人の散財をあてこむ施設が、政府を挙げて推進するリゾート構想にふさわしいのか。いったん立ち止まって、議論すべきだろう

産経新聞(2018年3月5日社説やや反対

地方がアピールする観光振興の手段が、本当にカジノであるべきなのか。日本に求められる姿を、常に考えていくことが重要である

社説読み比べ

カジノ解禁をめぐっては世論調査でも反対意見が根強く、安倍政権の進める政策に賛成することが多い読売・産経も含めて5紙全てが否定的です。
産経を除く4紙は、ギャンブル依存症対策に関する法案の審議を優先した上で、カジノの必要性を改めて議論すべき、という論調でも一致しています。

オピニオンリーダーの声

反対派の意見

賛成派の意見