財務省の事務方トップである福田淳一事務次官が複数の女性記者に対してセクハラと受けとられる発言を繰り返していたと週刊新潮に報じられたことについて、財務省は、福田次官が否定していること、事実関係を解明するため弁護士に委託して調査することを発表した。
財務省によると、福田次官は聞き取りに対して「報道は事実と異なるものであり、名誉毀損に当たることから提訴すべく準備を進めている」などと述べている。ただ、この聞き取りを行ったのは福田次官の部下のため、財務省は客観性を担保するため弁護士に委託して福田次官への調査を続けると発表した。
また、福田次官への聞き取りだけでは事実関係の解明は困難だとして、財務省の記者クラブに加盟する報道各社の中で、福田次官と報道にあるようなやり取りをとした女性記者がいれば調査に協力してほしいと要請した。
しかし被害者の女性記者はなかなか名乗りづらく、野党からはこの財務省の対応について「財務省による組織ぐるみのセクハラ隠しだ」などと批判の声が上がっている。

財務省が公表した福田次官への聞き取り調査結果全文は以下の通り。
(1)週刊誌報道・音声データにある女性記者とのやりとりの真偽
週刊誌報道では、真面目に質問をする「財務省担当の女性記者」に対して私(福田事務次官)が悪ふざけの回答をするやりとりが詳細に記載されているが、私(福田事務次官)は女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない。音声データによればかなり賑やかな店のようであるが、そのような店で女性記者と会食をした覚えもない。音声データからは、発言の相手がどのような人であるか、本当に女性記者なのかも全く分からない。また、冒頭からの会話の流れがどうだったか、相手の反応がどうだったのかも全く分からない。
(2)週刊誌報道・音声データにある女性記者の心当たり
業務時間終了後、男性・女性を問わず記者と会食に行くことはあるが、そもそも私(福田事務次官)は、女性記者との間で、週刊誌報道で詳細に記載されているようなやりとり(また、音声データ及び女性記者の発言として画面に表示されたテロップで構成されるやりとり)をしたことはなく、心当たりを問われても答えようがない。
(3)普段から音声データのような発言をしているのか
お恥ずかしい話だが、業務時間終了後、時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある。また、仲間内の会話で、相手から話題を振られたりすれば、そのような反応をするかもしれない。しかしながら、女性記者に対して、その相手が不快に感じるようなセクシャル・ハラスメントに該当する発言をしたという認識はない。
(4)週刊誌報道の4月6日の会食に関する記載の真偽
週刊誌報道は全体的に確認しようがない部分が多いが、4月6日の会食について「同席した民間企業の女性が赤面してしまうような卑猥な発言を連発」とされている点については、当該女性とともに同席していたその上司から、「そのような事実はなかったし、当該女性も同様の見解である」との連絡をいただいている。
(5)所感
上記のとおり週刊誌報道は事実と異なるものであり、私(福田事務次官)への名誉毀損に当たることから、現在、株式会社新潮社を提訴すべく、準備を進めている。他方で、財務省が厳しい状況に陥っている中で、更に私(福田事務次官)のことでこのような報道が出てしまったこと自体が、不徳のいたすところである。国民の皆様から不信を招き、麻生財務大臣・政務二役・職員をはじめとする関係者の皆様にご迷惑をおかけしていることは、誠に申し訳なく感じている。反省の上で、麻生財務大臣からも注意いただいたように、緊張感を持って職務に取り組んでまいりたい。