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先週の政治振り返り

国連総会を舞台に北朝鮮をめぐる各国の主張がぶつかりあいました。アメリカ・日本が圧力を呼びかけ、中国・ロシアが対話を重視するという大きな対立構図は変わらない中で、韓国が北朝鮮への約9億円に相当する人道支援策を決め、国際社会の北朝鮮問題をめぐる足並みの乱れが浮き彫りとなりました。アメリカが「北朝鮮を完全に壊滅する」といえば北朝鮮は「史上最高の超強硬な対応措置の断行を慎重に検討する」と反発するなど、両国のけん制の応酬が続いています。

9月19日(火)

防衛省、PAC3を函館に配備

北朝鮮の弾道ミサイルが8月29日と9月15日に相次いで北海道の上空を通過して太平洋に落下したことを受けて、防衛省は地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」を函館駐屯地に配備した。

トランプ大統領、北朝鮮を「完全に壊滅」と強くけん制

アメリカのトランプ大統領は国連総会で演説し、「アメリカと同盟国を守らざるをえない場合、北朝鮮を完全に壊滅するほか選択肢はなくなる」などと述べ、北朝鮮を強くけん制した。
また、「工作員の日本語教師として強制的に働かせるために愛らしい日本人の13歳の少女を連れ去ったことをわれわれは知っている」と述べ、拉致被害者の横田めぐみさんに言及した。

9月21日(木)

安倍首相、国連総会演説で北朝鮮への圧力を呼びかけ

安倍首相は、これまでの対話の試みは北朝鮮の核開発の放棄につながらなかったと指摘し、「対話による問題解決の試みは無に帰した。北朝鮮にすべての核・弾道ミサイル計画を完全で検証可能かつ不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのために必要なのは対話ではない、圧力だ」「北朝鮮による挑発を止めることができるかどうかは国際社会の連帯にかかっている」などと述べ、北朝鮮に対する国連安保理決議の履行を呼びかけた。

日銀、金融緩和策の維持を決定

日銀は20日と21日に金融政策決定会合を開き、2%の物価上昇率の実現に向けて現在の大規模な金融緩和策を維持することを決めた。また、国内の景気は「緩やかに拡大している」という判断をすえ置いた。

韓国、北朝鮮へ約9億円の人道支援決定

韓国政府は、国連のWFP(=世界食糧計画)とユニセフ(=国連児童基金)を通じて、北朝鮮に対して食料や医薬品など日本円で約9億円相当の人道支援を行うことを決めた。韓国の統一相は「北朝鮮の住民への人道支援は政治状況と切り離して進める方針だ」としている。支援の実施時期は未定。

9月22日(金)

日米韓の首脳が会談、北朝鮮への圧力強化を再確認

安倍首相とトランプ大統領、ムンジェイン大統領はアメリカ・ニューヨークで会談し、北朝鮮に対して圧力の強化が必要だとして国連安保理決議の履行が重要であることと、今後も3か国が連携していくことを確認した。また、トランプ大統領は、北朝鮮と取り引きする企業などに制裁を科す新たな大統領令に署名・発表したことを明らかにした。
一方、韓国政府が北朝鮮に対して約9億円相当の人道支援を行うと決めたことに対して日米両首脳は慎重な対応を求め、3か国は今後対北朝鮮政策をすり合わせていくことで一致した。

ロシア外相、北朝鮮問題めぐりアメリカをけん制。対話重視

ロシアのラブロフ外相は国連総会で演説し、北朝鮮の核・ミサイル開発を非難する一方で、「軍事的ヒステリーの圧力は袋小路に陥り破滅的な道だ」「朝鮮半島の核問題はすべての関係国による対話に基づいた政治・外交的な方法で解決するしかない」などと述べ、北朝鮮への圧力を強めるアメリカをけん制し、北朝鮮との対話の重要性を強調した。

キムジョンウン委員長「史上最高の対抗措置」とアメリカを強くけん制

アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で「アメリカと同盟国を守らざるをえない場合、北朝鮮を完全に壊滅するほか選択肢はなくなる」と北朝鮮を強くけん制したことに対し、北朝鮮はキムジョンウン朝鮮労働党委員長の声明を発表した。
声明では「わが国をなくすという歴代で最悪の宣戦布告をしてきた以上、われわれも史上最高の超強硬な対応措置の断行を慎重に検討する。妄言に対する代価を必ず支払わせる」などと強く反発した。外国首脳の発言を受けてキム委員長がみずから声明を発表したのは今回が初めて。
この「史上最高の超強硬な対応措置」について、北朝鮮のリヨンホ外務大臣は「私の考えでは、おそらく水爆の実験を太平洋上で行うことになるのではないかと思う」と述べた。

9月23日(土)

北方領土への航空機での墓参を初実施

ことし4月の日ロ首脳会談での合意を受け、航空機を利用した初めての北方領土への墓参が実施された。ことし6月に悪天候のため中止になっていたもので、元島民や政府関係者など約70人が訪問団に参加した。

今週の見通し

安倍首相は28日に召集される臨時国会の冒頭にも衆院を解散し選挙戦に突入する見通しです。安倍首相は25日(月)に会見を開き解散の「大義」などを説明する見込みで、総理が何を訴えるのかが最大の焦点です。
この衆院の解散を目前に、野党の動きも活発です。小池都知事に近い若狭氏が、民進党を離党した細野氏らと目指す新党は今週にも正式に発足する予定です。この新党に小池都知事がどういう立場で関わるのか、新党の勢いがどこまで広がるのかが注目です。