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先週の政治振り返り

北朝鮮とアメリカの挑発合戦が、やや沈静化しました。北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長は、アメリカのグアム島周辺に弾道ミサイルを発射する計画をめぐって「アメリカの行動をもう少し見守る」と述べ、トランプ大統領はこの発言について「とても賢い、よく考えた決断を行った」とツイッターで反応したものです。
そんな中、日本とアメリカの外務・防衛の大臣同士の会談、いわゆる日米2+2がトランプ政権下で初めて開催され、北朝鮮に圧力をかけていくことや、日米同盟を強化していく方針を改めて確認しました。

8月14日(月)

4~6月のGDP実質成長率、年率換算でプラス4.0%

内閣府が発表した速報値。今年4月~6月のGDP(=国内総生産)は実質成長率が前の3か月と比べプラス1.0%、年率換算でプラス4.0%となった。GDPがプラスとなるのは6期連続。6期連続のプラス成長は11年ぶり。GDPの半分以上を占める「個人消費」の伸びが全体を押し上げた。

8月15日(火)

キムジョンウン氏、グアム島周辺へのミサイル発射めぐり「アメリカの行動をもう少し見守る」

北朝鮮の国営メディアによると、キムジョンウン朝鮮労働党委員長は14日に軍を視察し、グアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画について報告を受けた。
キム委員長は「決心さえすればいつでも実戦に突入できるよう常に発射態勢を整えておくべきだ」と述べる一方で、「朝鮮半島での軍事的衝突を防ぐためには、アメリカが先に正しい選択をして行動で示すべきだ」「悲惨な運命のつらい時間を過ごしているアメリカの行動をもう少し見守る」などと述べたとされ、アメリカの出方を見極める姿勢を示している。

日米首脳、北朝鮮めぐり電話会談

安倍首相はアメリカのトランプ大統領と約30分の電話会談を行い、北朝鮮にミサイル発射を強行させないことが重要であるとの認識で一致し、中国・ロシアを含め国際社会が国連安全保障理事会の決議を厳格に履行することの重要性を確認した。

終戦の日、閣僚は1人も靖国神社を参拝せず

安倍首相は「終戦の日」にあたり、自民党の柴山総裁特別補佐を通じて「自民党総裁・安倍晋三」として私費で靖国神社に玉串料を納めた。安倍首相は、第2次安倍内閣が発足して1年後となる4年前の平成25年12月に靖国神社に参拝して以降は参拝していない。
今年は閣僚が誰も靖国神社を参拝しなかった。終戦の日に閣僚が1人も靖国神社に参拝しなかったのは第2次安倍内閣が発足してから初めてで、平成23年(菅内閣)以来6年ぶり。自民党政権下では、昭和60年に中曽根首相(当時)が公式参拝して以降初めて。

8月16日(水)

トランプ大統領「キムジョンウンは賢い決断を行った」

北朝鮮のキムジョンウン氏がグアム島周辺に向けた弾道ミサイル発射計画について「アメリカの行動をもう少し見守る」と発表したことをめぐり、アメリカのトランプ大統領はツイッターで「北朝鮮のキムジョンウン委員長はとても賢い、よく考えた決断を行った。別の選択は、壊滅的で受け入れられないものになっただろう」と評価した。

8月18日(金)

日米2+2で北朝鮮への圧力で一致。日本はイージス・アショア導入へ

日本とアメリカ双方の外務・防衛の閣僚同士による協議、いわゆる「2+2」がトランプ政権発足後初めてワシントンで開かれた。日本から河野外務大臣と小野寺防衛大臣が、アメリカからティラーソン国務長官とマティス国防長官が会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して各国と協力して圧力をかけ続けることで一致した。
また、アメリカは「核戦力を含むあらゆる能力を通じて日本の安全を守る」とし、尖閣諸島がアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であることも改めて確認した。
会談後の共同発表では「同盟における日本の役割を拡大し、アメリカは最新鋭の能力を日本に展開する」とした上で、「平成27年に合意した日米ガイドラインの実施を加速し、安全保障関連法のもとでさらなる協力の形態を追求する」「情報収集や警戒監視、共同使用などさまざまな分野で新たな拡大した行動を探求する」などと明記した。
また、日米2+2の後に行われた日米防衛大臣会談で、小野寺防衛大臣はマティス国防長官に対し、日本がアメリカの持つ弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を導入する方針を伝え、アメリカ側の協力を要請したのに対し、マティス国防長官は歓迎する意向を示した。「イージス・アショア」は、イージス艦の弾道ミサイル迎撃システムを地上に配備した施設。

8月19日(土)

トランプ政権、対中国で「通商法301条」に基づく調査開始を発表

アメリカのトランプ政権は、中国に対して関税の引き上げなど一方的な制裁措置を発動できる「通商法301条」に基づく調査を正式に始めると発表した。中国による特許などの知的財産の侵害や、中国で事業を行う外国の企業に対する技術移転の要求などについて調査する方針。
アメリカのこの動きに対して中国側は「中国は知的財産権を重視し、法律の改善を続けるとともに、知的財産権をめぐる国際的な協力も積極的に展開している」などと反論し、仮にアメリカ側が制裁措置を発動すれば「中国側もあらゆる措置をとり、断固として中国の合法的な権利を守る」と対抗措置を取る構えを見せている。

今週の見通し

北朝鮮とアメリカの対立はやや和らいだとはいえ、21日からアメリカと韓国の定例の合同軍事演習が始まるため、緊張が再び高まることが予想されます。演習は31日までの予定ですが、この時期に北朝鮮が軍事的挑発を行う可能性が指摘されています。
国内政治では、民進党の代表選挙が21日に告示され、9月1日の党大会にむけて選挙戦が始まります。前原元外務大臣と枝野元官房長官が既に立候補を表明しています。