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先週の政治振り返り

東京都議会議員選挙では小池知事が率いる「都民ファーストの会」が大勝、自民党は大敗しました。年内にも都民ファーストの会が国政政党を立ち上げる動きがあり、国政レベルでの動きが今後注目されます。
国際情勢では、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功した」と発表しました。北朝鮮が射程の長い大陸間弾道ミサイルを持てばアメリカ本土が攻撃範囲に入ってくるため、アメリカはさっそく韓国で爆弾投下訓練を行うなど、北朝鮮を強くけん制しています。
ただ、アメリカや日本、韓国などが北朝鮮への圧力強化を訴えているのに対し、北朝鮮に影響力をもつ中国は対話を重視する姿勢を崩していません。国際社会の足並みがそろわず、問題解決の有効な糸口が見つからない状態が続いています。

7月3日(月)

東京都議議選、小池知事の支持勢力が過半数を獲得。自民党は大敗

小池知事が率いる「都民ファーストの会」が大勝で第1党となり、公明党などを加えた小池知事を支持する勢力が過半数を大きく上回った。選挙前に第1党だった自民党は議席数を半分以上減らしす大敗となった。
都民ファーストの会の国政への進出が注目されるが、小池知事は記者団に対し「今はそういう状況にはない」と否定的な考えを示した。一方で、「いろんな動きが国政において出てくると思う。情報公開や『都民ファースト』ならぬ『国民ファースト』をベースに考える方が増えていけば国民にとっていいのではないか」などと述べ今後の展開に含みを持たせた。
自民党の大敗について安倍首相は記者団に対し「自民党に対する厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」「今後、党一丸となってしっかりと体制を整え、結果を出していくことによって国民の信頼を回復していきたいと決意している」などと述べた。

7月4日(火)

北朝鮮、弾道ミサイルを発射。ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功と発表

北朝鮮が西岸から発射した弾道ミサイル1発は約40分間、約900キロ飛行し、秋田県の男鹿半島から西に約300キロの日本のEEZ(排他的経済水域)に落下した。北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは5回目。
ミサイルの高度は2500キロを大きく超えた。約40分間と言う飛行時間の長さも、2500キロを超えた高度も過去最高となる。
安倍首相は記者団に対し「今回のミサイル発射は、さらに脅威が増したことを明確に示すものだ」と述べた。国連の安保理決議違反であり、日本政府は北朝鮮に対し抗議した。
その後、北朝鮮は国営・朝鮮中央テレビを通じて「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功した」と発表した。北朝鮮がICBMの発射実験を行ったと発表したのは初めて。
発表によると、発射したのは、新たに開発した弾道ミサイル「火星14型」で、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射し、933キロ飛んだ。高度は2802キロに達した。
発表ではまた、「わが国は核兵器とともにICBMを保有した、堂々たる核保有国として、アメリカの核戦争の脅しを終わらせるだろう」と主張した。

7月5日(水)

米韓両軍、合同軍事演習を実施。北朝鮮ミサイルへの対抗措置

北朝鮮の弾道ミサイル発射への対抗措置として、米軍と韓国軍のミサイル部隊による合同の軍事演習を韓国の東海岸で実施した。

7月6日(木)

日・EUのEPA、大枠合意

安倍首相はEUのトゥスク大統領らとの首脳会談で、日本とEU(ヨーロッパ連合)との間のEPA(経済連携協定)が大枠合意に至ったことを確認した。GDP(国内総生産)合計で世界の約30%の、日本にとって最大規模の貿易協定が結ばれる。
EU側が2019年を目指したいとしている協定の発行後、ワインの関税が即時に撤廃されるなど、日本とEUは貿易品目の90%以上で関税を撤廃することになる。
日本国内の農業関係者からは安い輸入品の増加への懸念もあり、安倍首相は「ニーズにあった国内対策を進めることによって農家の不安を払拭していきたい」と述べた。

日米韓首脳会談、北朝鮮への圧力強化を確認

安倍首相は、アメリカのトランプ大統領、韓国のムンジェイン大統領と会談を行った。3か国は、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射に成功したと発表したことを非難し、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の新たな制裁決議の採択を目指すこと、中国やロシアに対して北朝鮮への働きかけを強めるよう求めることなどで一致した。

7月7日(金)

日韓、首脳の相互訪問の再開を確認

安倍首相は韓国のムンジェイン大統領と会談を行い、未来志向で協力を進展させていくために両国の首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開することを確認した。
慰安婦問題をめぐる2015年12月の「日韓合意」については、ムン大統領は「韓国国民の大多数が情緒的に受け入れられずにいる現実を認めて、両国がともに努力して賢明に解決していきたい。この問題が両国の関係発展の障害になってはならない」と述べた。

7月8日(土)

核兵器禁止条約、国連の交渉会議で採択

核兵器禁止条約は、核兵器の開発や保有、使用などを禁止する初めての国際条約で、国連の交渉会議で賛成多数で採択された。
核兵器禁止条約の採択を受けて、核保有国のアメリカ、イギリス、フランスは共同で声明を出した。
声明では、「国際的な安全保障の環境を無視したイニシアチブだ。条約は北朝鮮による核開発の深刻な脅威に対してなんの解決策も示していない」などとして、条約に参加する考えがないことを強調した。
条約には100を超える国が参加する見通しだが、核兵器保有国や、その「核の傘」に守られる日本などは参加しない見通し。

米軍の爆撃機が韓国で爆弾の投下訓練。北朝鮮をけん制

米軍によると、グアムを飛び立ったB1爆撃機2機が韓国軍の戦闘機と合流して朝鮮半島の周辺を飛行し、韓国内の訓練場で爆弾の投下訓練などを実施した。北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験への対抗措置。
一方でアメリカのマティス国防長官は、ICBMの発射実験について「われわれを戦争に近づけるとは思わない。完全に外交主導だ」と述べて、外交で事態の打開を目指す考えを示した。

7月9日(日)

米中首脳会談、北朝鮮問題めぐる温度差が明らかに

アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が会談を行った。
トランプ大統領が中国に対して北朝鮮への圧力強化を求めたのに対し、習主席は圧力よりも緊張の緩和が優先だという考えを示し、両国間の温度差が改めて浮き彫りになった。

安部首相、8月に内閣改造。麻生副総理と菅官房長官を続投

安部首相は記者団に対し、8月の早い時期に内閣改造を行う考えを示した。安部首相は「骨格はころころと変えるべきではない」などと述べ、麻生副総理と菅官房長官を続投させる考えを明らかにした。

都民ファーストの会、年内に国政政党を設置へ

小池知事に近く、自民党を離党した若狭勝衆議院議員が記者団に対し、都民ファーストの会が訴えていたことをきちんと国民レベルにも訴えていく必要がある。2大政党制の受け皿になれる団体が作られていくべきだ」「年内には少なくとも何らかの動きがあるのではないか」などと述べ、年内には都民ファーストの会の主張を反映した国政政党を設立したい考えを示した。

今週の見通し

国会の閉会中に審議を行う「閉会中審査」が10日(月)に行われ、文部科学省の前川前事務次官が参考人として招致されます。前川氏は、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり「公平・公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」などと訴えてきたため、政府の対応に問題があったかどうか、どこまで議論が深まるかが注目されます。なお、安部首相は海外出張中でこの審議の場には不在です。