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先週の政治振り返り

学校法人「加計学園」の獣医学部設置をめぐる問題がくすぶり続けています。安倍首相が記者会見で国会での自らの答弁姿勢を反省し、指摘があれば丁寧に対応する、と述べた翌日に、安倍首相の側近である萩生田官房副長官が文部科学省に対して獣医学部設置を認めるよう求めたとされる新たな文書が見つかりました。萩生田副長官は文書にある事実関係を否定しましたが、政権が「丁寧な対応」をしているようには見えません。
野党4党は真相を解明するために臨時国会を召集することを求めていて、野党の追及は続きます。

6月19日(月)

安倍首相、国会答弁での自らの姿勢を反省

通常国会の閉会を受けて安倍首相は記者会見し、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題について「印象操作のような議論に対してつい強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」「何か指摘があれば、そのつど真摯に説明責任を果たしていく。国民から信頼が得られるように、冷静に一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならないという決意を新たにしている」などと述べ、自らの国会答弁を反省するとともに、丁寧に説明していく考えを示した。

6月20日(火)

加計学園の獣医学部新設をめぐる萩生田官房副長官の発言文書、文科省で新たに見つかる

松野文部科学大臣が記者会見で明らかにした。
新たに見つかった文書は、加計学園が獣医学部新設の事業者に選定される3か月前にあたる2016年10月に、萩生田官房副長官が文部科学省の高等教育局長と面会した際の発言をまとめたとされるもの。
文書によると、萩生田官房副長官はこの際「官邸は絶対やると言っている」「総理は平成30年4月開学とおしりを切っていた」などと述べ、文科省に対して加計学園の獣医学部新設を認めるよう求めたとされている。
文書の内容について松野文科大臣は、萩生田副長官と高等教育局長が面会した事実は認める一方で、担当者が萩生田副長官の発言ではない情報も補足して取りまとめたもので、萩生田副長官の発言ではないことも含まれていると述べた。
萩生田副長官は「全く心当たりのない発言を『私の発言』とする文書やメールが、文部科学省の職員により作成されている意図はわからないが、私の名前が難しい政策課題について省内の調整を進めるために使われているとすれば極めて遺憾だ」などとコメントし、自身の発言とされる内容を否定している。

6月21日(水)

韓国大統領、日韓合意めぐり日本の公式な謝罪が核心だと言及

韓国のムンジェイン大統領はアメリカの新聞「ワシントン・ポスト」電子版に20日に掲載されたインタビューで、慰安婦問題をについて「最終的かつ不可逆的な解決」とした2015年12月の「日韓合意」をめぐり、「わが国民は情緒的に受け入れることができていない」「問題解決の核心は日本が法的責任を認めて公式な謝罪をすることだ」などと述べた。一方で、「慰安婦問題にだけこだわることによって両国関係の発展を妨げてはならない」とも述べた。
ムン氏が大統領に就任してから、慰安婦問題に関する日本の法的責任や謝罪について言及したのは初めて。
菅官房長官は記者会見で、「あらゆる機会を捉えて、合意の着実な実施を求めていきたい」「一昨年の日韓合意で政府としては心からのおわびと反省の気持ちを表明している」などと述べた。

6月22日(木)

野党4党、国会召集を要求

民進党、共産党、自由党、社民党の野党4党は、衆議院の川端副議長に対して臨時国会の召集書を提出した。学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題で真相を解明するのが目的。
憲法53条の規定は、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば内閣は国会の召集を決めなければいけないとしているが、具体的な召集の時期については言及がない。実際には国会の召集は内閣の判断に委ねられており、安倍政権の対応が注目される。

米中、北朝鮮問題をめぐる方針の違い明白に

アメリカ・ワシントンで、アメリカと中国が北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐり協議した。
終了後の記者会見でアメリカのティラーソン国務長官は「中国には北朝鮮に対し外交的・経済的に一層の圧力を強める責任がある」などと述べ、北朝鮮に対する圧力の強化を求めた。
トランプ大統領も「北朝鮮に関しては中国からの協力がもう少しほしいが、結果が出ていないように見られる」などと述べた。
一方の中国側は外務省の発表したコメントで「北朝鮮問題に関係するすべての国が国連安保理決議を厳格に履行するべきであり、同時に、早期に対話を始めるべきだ」とし、北朝鮮との対話の重要性も訴えた。
アメリカと中国の、北朝鮮をめぐる方針の違いが改めて明らかになった。

政府、景気判断を6か月ぶりに上方修正

政府の「月例経済報告」で、個人消費について「緩やかに持ち直している」と判断を引き上げた。企業の設備投資も「持ち直している」とした。景気全体の判断についても、6か月ぶりに引き上げ「緩やかな回復基調が続いている」とした。

6月23日(金)

東京都議会議員選挙が告示。7月2日に投開票

小池都知事が就任後初めてとなる都議会議員選挙が告示され9日間の選挙戦が始まった。投票および開票は7月2日。
小池知事が率いる「都民ファーストの会」や公明党など小池知事を支持する勢力が議会の過半数を獲得するのか、小池都知事と対立する自民党が第1党を維持するのかが焦点となる。

6月24日(土)

安倍首相、憲法改正の自民党案を秋の国会に示す意向

安倍首相は意欲を示している憲法改正をめぐり講演で、「現在の自衛隊を憲法にしっかりと位置づけ『合憲か、違憲か』といった議論は終わりにしなければならない」「発議を怠ることは国会議員として責任放棄のそしりを免れない。目標は2020年、新しい憲法が施行される年にしたい」「来たるべき臨時国会が終わる前に衆参の憲法審査会に自民党の案を提出したい」などと述べ、秋の臨時国会に自民党の憲法改正案を示し、2020年の施行を目指す考えを明らかにした。

今週の見通し

6月23日に告示された東京都議会議員選挙は7月2日に投開票されます。
小池都知事が率いる都民ファーストの会や公明党などの小池知事を支持する勢力が都議会で過半数を獲得して小池知事が都政運営の大きな推進力を得るのか、小池知事と対決姿勢を強める自民党が都議会第1党の座を維持できるのかなどが焦点となります。
また、都議選はその次の国政選挙の行方も占うため、安倍政権の政権基盤に影響を与える結果になるか、民進党や共産党などその他の政党がどれほど党勢を拡大できるのかも注目されます。