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先週の政治振り返り

3週連続の弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対し、アメリカは北朝鮮が保有を目指す大陸間弾道ミサイルの迎撃実験に成功したと発表。自衛隊は米軍の空母2隻と日本海で共同訓練を行い、日米両国で連携して北朝鮮に圧力をかける姿勢を強調しました。さらに国連の安保理は北朝鮮への新たな制裁決議を採択しました。決議には北朝鮮に影響力をもつ中国・ロシアも賛成しており、北朝鮮への対応で国際社会が連携する姿を示すことができた形です。これに対し、北朝鮮はアメリカに加え中国も名指しで批判しました。北朝鮮をめぐる緊迫した情勢が続いています。

5月29日(月)

北朝鮮、弾道ミサイルを発射。日本海のEEZ内に落下

東部ウォンサン付近から発射された弾道ミサイルは約450キロ飛行し、日本海の日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下した。落下地点は島根県隠岐諸島から約300キロ。日本のEEZ内への落下は今回で4回目。
安倍首相は参議院本会議で「北朝鮮に対する圧力を強化するため、アメリカや韓国と協力していく」「現時点で具体的な内容は控えるが、北朝鮮を抑止するため、アメリカとともに具体的行動を取っていく」などと述べた。

5月30日(火)

北朝鮮「新しい弾道ミサイルの発射実験に成功」と発表

北朝鮮が29日に発射した弾道ミサイルについて、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、写真つきで報じた。ミサイルは先月15日の大規模軍事パレードで初めて登場したもので「精密操縦誘導システムを導入した新しい弾道ミサイル」で、「予定された目標に7メートルの誤差で正確に命中した」と報じている。

日韓両首脳、電話会談で北朝鮮への圧力強化の方針で一致

安倍首相は韓国のムンジェイン大統領と約15分間電話で会談した。北朝鮮への対応をめぐり、安部首相が「対話のための対話では意味がない。今は北朝鮮に圧力をかけていくことが必要だ」と述べたのに対し、ムン大統領は「北朝鮮の弾道ミサイルの影響を最も受けるのは韓国と日本だ。今は北朝鮮と対話する時期ではない」と応じ、連携して圧力を強化する方針で一致した。

5月31日(水)

米軍、ICBM迎撃実験に成功

アメリカ国防総省の発表によると、アメリカ軍は、太平洋のマーシャル諸島からアメリカ本土に向かうICBM(大陸間弾道ミサイル)をカルフォルニア州・バンデンバーグ基地に配備する迎撃ミサイルで撃ち落とす実験を行い、迎撃に成功した。ICBMを想定した迎撃実験は初めて。

安倍首相「待機児童ゼロ」達成の3年先送りを発表

安倍首相が経団連の会合での挨拶の中で明らかにした。2018年度からの3年間で新たに22万人分の保育の受け皿を整備し、2020年度末までに「待機児童ゼロ」を達成する方針。「待機児童ゼロ」をめぐっては、これまで政府は今年度末までに達成する目標を掲げていたため、3年先送りすることになる。

6月1日(木)

自衛隊、米軍空母2隻と日本海で共同訓練を実施

防衛省の発表によると、海上自衛隊の護衛艦2隻と米軍の空母2隻などが共同訓練を開始した。日米両国が連携して北朝鮮に圧力をかける姿勢を強調する狙いがあるとみられる。

6月2日(金)

トランプ大統領「パリ協定」から脱退方針を発表

「パリ協定」は地球温暖化対策の国霊的な枠組みで、2050年以降に世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標に掲げている。協定からの脱退を大統領選挙で公約に掲げていたトランプ大統領は「国民との約束を守る」として脱退方針を決めたと発表した。国際社会はトランプ大統領に翻意を促してきたが、トランプ大統領は環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先したとみられる。アメリカは中国に次ぐ世界2位の温室効果ガス排出国で、地球温暖化対策の機運に影響が出ることが予想される。

天皇「退位」特例法案、衆院を通過

衆議院本会議で天皇陛下の退位を可能する特例法案の採決が行われ、与野党6党(自民党、民進党、公明党、共産党、日本維新の会、社民党)の賛成多数で可決された。一部の無所属議員は反対し、自由党は採決を棄権した。
法案の付帯決議には「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設などは先延ばしできない重要な課題だ」として、政府に「法の施行後速やかに検討を行い、その結果を速やかに国会に報告すること」を求めている。

6月3日(土)

国連安保理、北朝鮮への新たな制裁決議を全会一致で採択

国連の安全保障理事会は、北朝鮮の核・ミサイル開発に関わる個人や団体を制裁対象に追加する新たな制裁決議を全会一致で採択した。核・ミサイル開発の資金を断ち切るため、新たに北朝鮮の14の個人と4つの団体について、海外への渡航禁止や資産凍結を定めている。
北朝鮮に影響力をもつ中国・ロシアも決議に賛成したことで、北朝鮮へ圧力をかける国際社会の姿勢を示した形。

6月4日(日)

北朝鮮、制裁決議に強く反発。中国も名指しで批判

国連の安全保障理事会が北朝鮮への新たな制裁決議を採択したことに対し、北朝鮮外務省は談話を発表した。談話では「全面的に排撃する」と強く反発した上、制裁決議は「アメリカと中国が長い間協議して仕立て上げた」として、アメリカだけでなく中国も名指しで批判した。さらに「誰が制裁や圧迫を加えようとも核武力強化の道を少しも退かない」アメリカと追従勢力らが正しい選択をするときまで、高度に精密化・多様化された弾道ミサイルの雷鳴が多発的かつ連続的に絶えずとどろくだろう」などとして、核・ミサイル開発を続ける姿勢を示している。

今週の見通し

国内政治では、学校法人「加計学園」の獣医学部設置をめぐり議論が過熱しています。加計学園の理事長が安部首相の友人であることから「行政がゆがめられたのではないか」との指摘がある中、文科省の前の事務方トップ・前川氏が政府を批判する証言を積極的に行うなど発信を続けています。引き続き「安倍首相の指示はあったのか」「安部首相への忖度があったのか」などを焦点に、政府・与党と野党の対立が続く見通しです。
なお、天皇陛下の退位を可能にする特例法案は今週にも成立する見通しです。