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先週の政治振り返り

北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、G7サミット(主要7か国首脳会議)が開催され、首脳宣言では北朝鮮の核・ミサイル開発を放棄させるための圧力強化を記しました。G7の足並みはそろった形ですが、北朝鮮に影響力を持つ中国やロシを含め、国際社会がどこまで連携し北朝鮮に対応できるかが引き続きポイントとなります。

5月22日(月)

北朝鮮、21日に中距離弾道ミサイルを発射と発表

北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、北朝鮮が21日に発射した弾道ミサイルについて、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を地上配備型に改良した中距離弾道ミサイル「北極星2型」であり、発射実験に成功したと発表した。また、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長がこのミサイルの実戦配備を承認して量産を指示したと報じている。

5月23日(火)

国連安保理、北朝鮮のミサイル発射を非難する声明を発表。北朝鮮は反発

国連の安全保障理事会は、北朝鮮による21日の中距離弾道ミサイル発射をめぐり、厳しく非難する報道機関むけの声明を発表した。
これに対し北朝鮮は外務省報道官の談話を発表し、ミサイル発射は「自衛的な国防力を強化するための正常な活動だ」とし、「国連安保理の声明を全面的に排撃する」と強く反発した。また、「核武力の多様化、高度化をさらに推し進める」として核・ミサイル開発を加速する姿勢を示した。

政府、日韓合意の改善勧告に対する抗議文書を国連に提出

慰安婦問題をめぐる日韓合意をめぐり、被害者への補償や被害回復などが十分ではない懸念があるとして、国連の拷問禁止委員会が韓国政府に対して日韓合意の改善を求める勧告を出したことについて、日本政府は抗議する文書を5月19日付で国連に提出した。政府が記者会見で明らかにした。
文書では、「日韓両国間で合意し、国際社会からも評価される合意を、引き続き着実に実施することが重要だ」として、勧告は受け入れられないこと、日本政府に説明の機会を与えないまま勧告を出したことは公正さを欠き不適切だとしている。

「テロ等準備罪」新設法案、衆院を通過

衆院本会議で採決が行われ、自民・公明と日本維新の会などの賛成多数で可決され、法案は参院に送られた。

5月24日(水)

大飯原発3・4号機、早ければ冬以降に再稼動へ

原子力規制委員会は、関西電力の大飯原発3・4号機(福井県)について、規制基準の審査に合格したことを示す審査書を正式に決定した。大飯原発3・4号機は地元の合意などを得て、早ければ今年の冬以降に再稼動される見通し。

5月25日(木)

文科省の事務方の前トップ「加計学園」めぐり「行政ゆがめられた」と主張

文部科学省の前の事務次官を務めた前川喜平氏が記者会見を開いた。
国家戦略特区に指定された愛媛県今治市に学校法人「加計学園」が獣医学部を設置する計画をめぐり、前川氏は「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平・公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」と主張した。

5月27日(土)

G7サミット首脳宣言を発表し閉幕

イタリア・シチリア島で行われたG7サミット(主要7か国首脳会議)は首脳宣言を発表し閉幕した。
貿易の分野では「不公正な貿易慣行に断固たる立場を取りつつ開かれた市場を維持するとともに、保護主義と闘うというわれわれの誓約を再確認した」などと記した。
北朝鮮問題では、北朝鮮の核・ミサイル開発を放棄させるために制裁などの圧力を強化する決意を盛り込んだ。
中国の海洋進出をめぐっては、名指しはしないものの「緊張を高めるあらゆる一方的な行動に対し強く反対する」と記した。
また、地球温暖化対策をめぐっては、アメリカを除く6か国で迅速に実施することを再確認した。

南スーダンPKO部隊が帰国

国連のPKO(平和維持活動)のため南スーダンに派遣されていた陸上自衛隊の部隊で最後まで現地に残っていた約40人の隊員が帰国した。安全保障関連法に基づいて付与された「駆けつけ警護」任務を実施する機会はなかった。

今週の見通し

「テロ等準備罪」を新たに設ける法案は先週衆議院を通過し、国会論戦の舞台が参院に移ります。6月18日までの国会会期の延長幅を念頭におきながら、与野党の論戦が続くことになります。
学校法人「加計学園」の獣医学部設置をめぐっては、文科省の前の事務方トップ・前川氏が記者会見で「行政がゆがめられた」と証言し波紋が広がっています。野党は前川氏を国会に証人として呼ぶことを求めており、与党は拒否しているものの、この問題への政府・与党の対応や野党側がどこまで追及できるかが当面の焦点となります。