安倍首相は、憲法改正を目指す会合にビデオメッセージで参加した。
メッセージの中で安倍首相は「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っている」と述べた。
具体的な憲法改正の項目については、「少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考える」「もちろん9条の平和主義の理念は未来に向けてしっかりと堅持していかなければならない。そこで『9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む』という考え方は、国民的な議論に値するのだろうと思う」と述べ、自衛隊の存在を明記する条文を憲法9条に追加する考えを示した。
その他、「高等教育についても全ての国民に真に開かれたものとしなければならない」として、教育無償化にも言及した。
安倍首相はこれまでも憲法改正に意欲を示してきたが、具体的な改憲項目や時期まで踏み込んで発言するのは今回が初めて。

自民党の二階幹事長は「積極的に支持し、協力していくことが当然だ」と述べた。
連立政権を組む公明党の山口代表は「これから国会の中で十分深く議論され、国民の理解を伴って、合意が作られていくことが望ましい」と述べた。
その他、憲法改正に賛成の立場の日本維新の会、日本のこころ、は安倍首相の発言を評価している。
一方、民進党、共産党、社民党、自由党は反発している。
民進党の蓮舫代表は「総理大臣が『憲法を変える。テーマはこれだ』と言うこと自体が、国民主権、立憲主義に反している」「安倍総理大臣は立憲主義を踏みにじって、自分のレガシーのために改憲したいのではないのかと疑ってしまう」と述べた。
共産党の志位委員長は「2020年と年限も含めて9条改定を表明したのは極めて重大で、絶対許さないという思いで戦いを強めたい」「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対している野党4党は一致してこの点を押し出して選挙を戦うことになる」と述べた。
社民党の吉田党首は「社民党は、いま憲法を変える必要はないと思っており、そのことを一貫して訴えたい」と述べた。