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先週の政治振り返り

大阪の学校法人「森友学園」の国有地取得と、その背景に政治的圧力があったかどうかをめぐり、国会で森友学園の籠池理事長の証人喚問が行われました。籠池氏は刑事訴追の対象になりそうな点についてはは証言を避けつつ、昭恵夫人と2人きりの時に100万円の寄付金を受け取った、昭恵夫人の留守電にメッセージを残したのに対して夫人付きの職員から回答を得た、などと証言しました。これらの点については政府の説明と食い違っています。
政府・与党側は、昭恵夫人付きの職員の出したFAXや、昭恵夫人と籠池氏の妻との間のメールのやりとりを公表するなど、異例の対応に追われています。

3月21日(火)

政府「テロ等準備罪」を閣議決定

政府は組織犯罪処罰法の改正案を閣議決定した。改正案によって新たに設けられる「テロ等準備罪」は、これまで3回国会で廃案となった「共謀罪」の構成要件を厳格にしたもの。テロ組織などの「組織的犯罪集団」が重大な犯罪(対象は277の罪)を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、犯罪計画に合意した全員が処罰の対象になる。政府は、国際的な組織犯罪の捜査協力などを規定した「国際組織犯罪防止条約」を締結するためには「テロ等準備罪」が必要だと位置付けて、今の国会での法案成立を目指している。

これに対し民進党など野党側や日弁連(日本弁護士連合会)などは、「テロ等準備罪」は憲法が保障する内心の自由を侵害する可能性が高く、捜査機関の恣意的な判断で一般市民が処罰の対象になりかねない、現行法制度でも国際組織犯罪防止条約を締結できると主張し、法案に反対している。

3月22日(水)

北朝鮮、ミサイル発射失敗

韓国国防省とアメリカ太平洋軍によると、北朝鮮が22日午前にミサイル1発を発射したものの失敗したとみられる。

3月23日(木)

森友学園の理事長、国会で証人喚問

大阪・豊中市の国有地が鑑定価格よりも格安で学校法人「森友学園」に売却された件で、衆議院・参議院の予算委員会で証人喚問が行われ、森友学園の籠池理事長が証言した。主な論点についての籠池氏の証言と、政府側の説明は以下の通り。

<森友学園が、金額が異なる3通の契約書を提出していた件>
籠池氏は刑事訴追を受ける可能性がある」として証言を拒否した。

<国有地の売却や小学校の認可に政治家の働きかけがあったか>
籠池氏は「政治的な関与はあったのだろうと認識している」「大幅な値引きにびっくりした」と証言したが、詳細は語られなかった。また、複数の政治家(自民党の北川イッセイ元国交副大臣、柳本卓治参院議員、日本維新の会の東徹参院議員)に対して依頼したと証言した。
これに対し菅官房長官は会見で、「撤去費用等を踏まえ売却価格を算定したものであり、法令等に基づいている」と説明した。また、名前を挙げられた3人の政治家はいずれも関与を否定した。

<国有地に関連して、昭恵夫人付きの職員から籠池氏へのFAXについて>
籠池氏は、昭恵夫人の助けを得ようと留守電にメッセージを残したのに対して昭恵夫人付きの職員からFAXで回答を得た、と証言した。
これに対し菅官房長官は会見で、籠池氏から昭恵夫人ではなく、夫人付きの職員に送られた書面に対して、職員が要望に沿えないとする回答をしたものだと説明し、昭恵氏の関与を否定した。また、職員によるFAXの内容は一般的な内容であり籠池氏への「ゼロ回答」であり、昭恵夫人への忖度はないと説明した。

<昭恵夫人から森友学園へ100万円の寄付があったか>
籠池氏は昭恵夫人と2人きりになった時に渡されたと証言した。
これに対し菅官房長官は会見で、当日は付き添い人2人が昭恵夫人とずっと一緒にいたし、寄付金も渡していないと説明した。

また、昭恵夫人ははフェイスブックにコメントし、寄付金を渡したことも講演料をもらったこともないとし、夫人付きの職員がFAXで回答した件についても関与を否定した。

3月24日(金)

安倍昭恵夫人と籠池理事長妻のメールやりとり公表

自民党の西田昌司参院議員が公表した。
籠池氏側が昭恵夫人から受け取ったと主張している100万円の寄付金について、昭恵夫人は「100万円の記憶がないのですが」とメールを送っている。
また講演料については「私は講演の謝礼を頂いた記憶がなく、いただいていたのなら教えて頂けますでしょうか」「本当に記憶から飛んでしまって、他の講演等は全て振込みか、銀行に入れて税理士事務所に管理してもらっているのですみません」などとしている。
菅官房長官は記者会見で「このメールを公開することによって1つの物的証拠にもなる。特に、籠池氏が講演料だとか口止めだとか寄付と言われる中で、客観的な1つの証拠になるだろう」と述べた。

3月25日(土)

沖縄県知事、辺野古沖の埋め立て承認「撤回」を明言

アメリカ軍普天間基地の辺野古への移設をめぐり、翁長知事は前任者の仲井真知事による「辺野古沖の埋め立て承認」の「取り消し」を行ったものの、国と争った裁判で敗れたため、去年12月に「取り消しを撤回」をし、政府は工事を進めている。
翁長知事は新たに、辺野古沖の埋め立て承認の「撤回」をすると明言した。時期については言及をさけた。
翁長知事は「撤回」は、裁判で認められなかった「取り消し」とは異なり、承認した後に新たに撤回する理由が出てきた場合に行えるとしている。

今週の見通し

森友学園をめぐる一連の疑惑について、野党側は安倍昭恵総理夫人の証人喚問や参考人招致を求めており、応じない与党側との対立が続いています。27日にも2017年度予算案は成立する見込みですが、国会での議論は予算の中身そのものの議論は乏しく、森友学園をめぐる審議が当分続きそうです。