政府は組織犯罪処罰法の改正案を閣議決定した。改正案によって新たに設けられる「テロ等準備罪」は、これまで3回国会で廃案となった「共謀罪」の構成要件を厳格にしたもの。テロ組織などの「組織的犯罪集団」が重大な犯罪(対象は277の罪)を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、犯罪計画に合意した全員が処罰の対象になる。政府は、国際的な組織犯罪の捜査協力などを規定した「国際組織犯罪防止条約」を締結するためには「テロ等準備罪」が必要だと位置付けて、今の国会での法案成立を目指している。
これに対し民進党など野党側や日弁連(日本弁護士連合会)などは、「テロ等準備罪」は憲法が保障する内心の自由を侵害する可能性が高く、捜査機関の恣意的な判断で一般市民が処罰の対象になりかねない、現行法制度でも国際組織犯罪防止条約を締結できると主張し、法案に反対している。