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先週の政治振り返り

政府の有識者会議は、天皇陛下の退位をめぐる論点整理を公表しました。退位について「将来の全ての天皇を対象とする場合」と「今の天皇陛下に限る場合」について賛否両論を示していますが、「今の天皇陛下に限る場合」が望ましいという考えがにじむ内容となっています。この論点整理を参考にしつつ、今後国会の衆参両院の議長の下で各党への意見聴取が行われます。
TPP協定について、トランプ氏は大統領令で離脱方針を正式に打ち出しました。TPPは発効のメドが立たなくなり、日本政府は戦略の練り直しを迫られています。そんな中、安倍総理とトランプ大統領は電話会談。2月10日にワシントンで首脳会談を行うことで合意しました。

1月23日(月)

政府の有識者会議、陛下の退位めぐる論点整理公表

政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が、論点整理を公表した。この中で天皇の退位については、「将来の全ての天皇を対象とする場合」と「今の天皇陛下に限る場合」について、それぞれ「積極的に進めるべきとの意見」と「課題」を示している。
「将来の全ての天皇を対象とする場合」については、「憲法において皇位継承は皇室典範で定めることとされており、皇室典範に恒久的な制度が定められている。このため、新たな制度を作る場合は皇室典範を改正し恒久的な制度とすることが憲法の趣旨に沿う」などの意見が挙げられている。これに対し「今の天皇陛下に限る場合」については、「将来の天皇については、皇位継承者との年齢差、その時の政治経済状況、その代の天皇の考え方や世論は変化する。状況がよく分かっている今の状況下で判断するのはよいが、将来の全ての天皇を対象とするような制度にしないほうがよいのではないか」などの意見が挙げられている。
「将来の全ての天皇を対象とする場合」に対する課題が多く列挙され、「今の天皇陛下に限る場合」が望ましいという考え方がにじむ内容となっている。
安倍総理大臣は「論点整理の公表で、国民の理解が一層深まると期待している」と述べた。

有識者会議による論点整理「今後の検討に向けた論点の整理」(官邸HP資料

1月24日(火)

トランプ氏、TPP離脱の大統領令に署名

TPP協定はアメリカの承認を発効の条件としており、発効のメドが立たなくなった。

トランプ大統領、対日赤字を問題視

トランプ大統領は「われわれが日本で自動車を販売する場合、日本は販売を難しくさせている。しかし日本はアメリカでたくさんの自動車を売っている。この問題は協議しなければならない。これは公平ではない」と述べた。

1月25日(水)

安倍首相、経済界に「少なくとも昨年並みの水準の賃上げ」要請

政府の経済財政諮問会議で安倍総理が「少なくとも昨年並みの水準の賃上げなど、前向きな取り組みをぜひお願いしたい」と述べた。

日本政府、財政健全化目標の達成ほぼ不可能

社会保障や公共事業など国の政策に必要な経費を税収でどれだけまかなうことができているかを示す「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」について、政府は2020年度に黒字化する目標を掲げ国際社会にも約束している。
内閣府が経済財政諮問会議で示した新たな試算では、名目3%というきわめて高い経済成長率を前提としても、2020年度のPBの赤字がこれまでより2兆円以上拡大し、8.3兆円に膨らむ結果となった。
石原経済再生担当大臣は記者会見で、目標達成について「絶対に達成するという強い意志をもって取り組んでいきたい」と述べたが、目標達成はほぼ不可能であることは明らかだ。

1月28日(土)

トランプ氏「難民受け入れ一時停止」の大統領令に署名

アメリカのトランプ大統領は「アメリカ国内にイスラム過激派のテロリストはいらない」と述べ、テロ対策強化のため、すべての国からの難民受け入れを一時的に停止することなどを命じる大統領令に署名した。大統領令には、イスラム教徒が多い中東・アフリカの7つの国(シリア、イラク、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメン)を対象に入国を一時的に停止する措置も盛り込まれている。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナルUSA」が声明で「残酷で非人道的であり国際法に違反している」とす批判するなど、反発を招いている。

安倍首相、トランプ大統領と電話会談。2月10日に首脳会談

安倍首相はアメリカのトランプ大統領と、就任後初めてとなる電話会談を行った。両政府によると、電話会談では経済や安全保障などをめぐる日米同盟の重要性を確認した。日本政府によると、会談ではTPPや在日米軍の駐留経費は話題にならなかったという。安倍首相は会談後「2月10日の日米首脳会談では、経済そして安全保障全般について率直な意見交換をしたい」と述べた。

1月29日(日)

ニューヨーク連邦地方裁判所、難民の母国送還を認めず

トランプ氏が署名した大統領令の影響で、難民がアメリカ各地の空港で入国を拒否され拘束される事例などが相次いでいる。市民団体から訴えを受けたニューヨーク連邦地方裁判所は、こうした人たちを母国に送り返すことを認めない決定を出した。大統領令によって混乱が生じ、見通しは立っていない。

今週の見通し

2016年度補正予算案は先週衆議院を通過し、国会審議の舞台は参議院になります。TPPや日米関係、文科省幹部の天下りあっせん問題、長時間労働の是正など働き方改革、天皇陛下の退位など幅広いテーマで与野党が論戦を交わします。