先週の政治振り返り

韓国のプサンに慰安婦問題を象徴する少女像が設置された問題をめぐり、日本政府は対抗措置として9日(月)に韓国に駐在する大使を一時帰国させました。韓国国内では、野党や世論の間では日本に強く反発する声も聞かれる中、韓国のユン外相はプサンの少女像が日本総領事館の前に設置されたことは不適切との認識を公言しました。この問題の行方が注目されます。

1月9日(月)

  • 長嶺大使らが韓国から一時帰国。「少女像」設置への対抗措置
  • 韓国に駐在する長嶺大使と森本プサン総領事が日本に到着。外務省で金杉アジア大洋州局長らと今後の対応を協議した。長嶺大使は韓国を出発する際「少女像が設置されたことは極めて遺憾だ。これから日本に帰国し、関係者の間で打ち合わせをすることにしている」と述べた。中国外務省の報道官は「慰安婦問題は日本の軍国主義の分子による犯罪行為だ」「日本側はいつまでたってもこの問題を乗り越えられないのはなぜなのか、深く反省する必要がある」などと日本政府を批判した。

1月12日(木)

  • 米国ケリー国務長官、韓国外相に日本との関係改善促す
  • アメリカのケリー国務長官が韓国のユン・ビョンセ外相と電話会談した。慰安婦問題を象徴する「少女像」設置をめぐり悪化している日韓関係について、「未来志向で発展することを期待している」と述べて改善を促した。ユン外相は「日韓合意の趣旨を尊重することが重要だ。今後も日韓関係の未来志向的な発展のために努力していく」と応じた。

  • 公明党・山口代表、テロ等準備罪「慎重に検討を進めるべき」
  • 山口代表(公明党)は記者会見で「東京オリンピック・パラリンピックを控えたわが国で、国内法が早期に整備され、国際社会で機能する体制を作ることが大局的に重要だ」と述べ、必要性に理解を示した。一方で、「国会で成立させるためには、どういう法案を作り、どう提出したらいいのかということも含め、政府与党間で慎重に検討を進めるべきだ」と述べ、調整の必要性も指摘した。

  • 社民党・吉田党首、テロ等準備罪「成立阻止に向けて全力」
  • 吉田党首(社民党)は記者会見で、「テロ対策という美名のもとで、名称を変えて受け入れやすい姿にして成立させたい意向のようだが、市民の民主的な活動を拘束し、規制するような法案を通すことは、断じて許されない。テロ対策は、今の法律の範囲内で、しっかり十分できる」「野党4党で結束して対応し、成立阻止に向けて全力を挙げていきたい」と述べ、反対姿勢を強調した。

  • 米国次期国務長官「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲」
  • アメリカのトランプ次期政権で国務長官となるティラーソン氏が、沖縄県の尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲との認識を示した。従来のアメリカ政府の立場を引き継いだ形。

  • 日・フィリピン首脳会談
  • 安倍総理大臣はフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。南シナ海における中国の海洋進出を念頭に、両首脳は「海洋における法の支配や紛争の平和的解決の重要性」を確認した。また、安倍総理はフィリピンのインフラ整備について今後5年間で1兆円規模の支援を行うことや、薬物問題への支援を表明した。

1月13日(金)

  • 韓国ユン外相、少女像の設置場所「望ましくない」
  • 韓国のユン・ビョンセ外相は「外国公館の前に造形物を設置するのは国際関係や儀礼上、望ましくないのが一般的だ」「設置場所の問題についてはわれわれがさらに知恵を集める必要があるのではないか」などと述べ、慰安婦問題を象徴する「少女像」が韓国・プサンの日本総領事館の前に設置されたことについて、不適切だとの認識を示した。

  • 金田法務大臣「テロ等準備罪」に理解求める
  • 金田法務大臣は記者会見で「テロ等準備罪」を新らに設ける法案について、「一般の人は処罰の対象にならない」と強調し、法案を国会に提出することに理解を求めた。

1月14日(土)

  • 日・オーストラリア首脳会談。
  • 安倍総理大臣はオーストラリアのターンブル首相と会談し、安全保障と経済の両面での協力を一層強化することなどを確認した。

1月15日(日)

  • 日、インドネシア首脳会談。
  • 安倍総理大はインドネシアのジョコ大統領と会談し、南シナ海問題について「法の支配や紛争の平和的解決の重要性」を確認した。中国による海洋進出をけん制した形。

今週の見通し

安倍総理大臣は外遊から帰国し、20日(金)から通常国会が始まります。政府が重視する予算案の早期成立の可否のほか、天皇陛下の退位を可能にするための法制度や、共謀罪の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」をめぐる与野党の対立などが今度の国会の焦点です。