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「サプライズ緩和」があったって?2%目標は達成できそうなの?

黒田総裁は2%目標に向かって順調に進んでいるという姿勢を示し続け、日銀が追加緩和を実施するのではないかという予測は下火になっていました。そんな中、2014年10月31日に黒田日銀は「追加緩和」を打ち出します。市場は「サプライズ緩和」に反応し、株価上昇と円安が進みました。ただ、市場関係者には2%目標達成を疑問視する見方が根強くあります。

黒田緩和によって物価上昇は進みましたが、民間予測では「2年で2%」は難しいという見方が主流です。

また、黒田総裁は「必要であれば追加緩和を実施する」と表明しているため、日銀はどこかのタイミングで追加緩和を実施するものとみられてきました。

一方で、黒田総裁は目標達成に向けた強気の姿勢を示し続けてきました。「物価上昇シナリオは順調に進んでおり、追加緩和は当面必要ない」と述べてきたため、市場では追加緩和の実施予想時期は遠のいていました。

そんな中、日銀は市場の予想の裏をかく形で、2014年10月31日の金融政策決定会合で追加緩和を決定します。9人の政策委員の中で賛否は5対4というぎりぎりの採決でした。

追加緩和の主な内容
  • 長期国債の買い増し:年間30兆円増加し、年間80兆円へ
  • ETF(上場投資信託)の買い増し:3倍し、年間3兆円へ
  • J-REIT(不動産投資信託)の買い増し:3倍し、年間900億円へ

追加緩和を行う意図については次のように記されています。

わが国経済は、基調的には緩やかな回復を続けており、先行きも潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。ただし、物価面では、このところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が、物価の下押し要因として働いている。
このうち、需要の一時的な弱さはすでに和らぎはじめているほか、原油価格の下落は、やや長い目でみれば経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用する。
しかし、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある。
日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここで、「量的・質的金融緩和」を拡大することが適当と判断した。
(※2014年10月31日・日銀の金融政策決定会合より一部抜粋)

このサプライズ緩和に市場は反応し、株価は上昇しました。また、追加緩和でさらに金利低下が促されることで、円安ドル高が進みました。

一方で、同じ日に発表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2015年度の消費者物価の見通しが1.7%(中央値)と、7月時点の1.9%から下方修正されています。

黒田総裁は「2年で2%」の物価目標を達成する強気な姿勢を維持していますが、市場には今回の追加緩和をふまえても2%目標を達成できない見方が根強くあります。

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