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与党推薦の憲法学者も法案を「違憲」と発言

「憲法審査会」は国会(衆院・参院それぞれ)に2007年に設置された機関で、
憲法や憲法に関連する法案を調査したり、憲法改正の原案を審査したりするところです。

2015年6月4日の衆議院・憲法審査会の場で、民主党の中川正春議員から、新たな安保法制が「憲法違反だと思うか」との質問に対して、参考人として呼ばれていた3人の憲法学者が次のように答えたのです。

長谷部恭男氏(推薦:自民党・公明党・次世代の党)

「集団的自衛権の行使が許されるというその点について、私は憲法違反であるというふうに考えております。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつきませんし、法的な安定性を大きく揺るがすものであるというふうに考えております」

小林節氏(推薦:民主党)

「私も違憲と考えます。憲法9条に違反します」

笹田栄司氏(推薦:維新の党)

「違憲の考え方に立っているところでございます」

自民・公明が推薦した長谷部氏が「憲法違反」と述べたことで、「与党が推薦した学者ですら法案は違憲と言っているではないか」と、法案に反対する野党側が一気に勢いづくことになりました。

菅官房長官はこの件について問われ、「違憲でないという学者もたくさんいる」と述べましたが、憲法学者の多数は、今回の安保法案を違憲だと指摘しています。

自民党の谷垣幹事長は「憲法学会には、自衛隊の存在は違憲だと言っている方が多い」と述べ、憲法学者の論理が現実社会と大きくズレていることを指摘しました。

そして、政府・与党側は、憲法解釈の最高権威は憲法学者ではなく最高裁判所であるとして、最高裁が「固有の自衛権」を認めた「砂川事件判決」を根拠に反論します。
高村副総裁が自民党内の議論をまとめた根拠であるこの最高裁判決が、ふたたび注目されることになりました。