アメリカのトランプ政権は、中長期の新たな核戦略を示した「核態勢の見直し」を発表した。核戦略の見直しは8年ぶりで、核なき世界を目指すとしたオバマ前政権からの方針転換を打ち出した。
新たな戦略では、ロシアや中国の核戦力の増強や北朝鮮による核開発などで脅威が増していると指摘し、核による抑止力強化の必要性を強調した。
具体的には、威力を抑えた核弾頭を搭載したSLBM(=潜水艦発射弾道ミサイル)を導入するほか、潜水艦や艦艇から発射可能な核巡航ミサイルの再開発にも着手するなどとしている。
また、アメリカによる核兵器使用の可能性については、通常兵器による攻撃であっても核兵器で報復する余地を残した。
新たな戦略についてトランプ大統領は声明で「世界の安全保障環境の現実的な評価に基づく結論だ」「この戦略は21世紀のさまざまな脅威に対処できるものだ。アメリカや同盟国に対する攻撃への抑止力を高める」としている。背景にはロシアへの警戒感があるが、核軍縮の流れに逆行すると懸念の声もあがっている。