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第2ステージ「一億総活躍社会」って、従来のアベノミクスと違うの?

    「一億総活躍社会」実現のために打ち出された新・3本の矢のうちの1本目「希望を生み出す強い経済」の中に、元祖3本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)が集約された形です。
    つまり、アベノミクスに新たに追加されたのは新・第2の矢「夢をつむぐ子育て支援」と新・第3の矢「安心につながる社会保障」です。これに沿って保育士や介護職員の待遇改善、同一労働同一賃金の推進など『分配』重視の施策が打ち出されています。
    元祖アベノミクスが経済「成長」重視だったとすれば、第2ステージ「一億総活躍社会」は「分配も重視」する姿勢を強調したのが特徴と言えます。

「一億総活躍社会」ってなに?

2015年9月24日の記者会見で、安倍総理はこう述べています。

目指すは「一億総活躍」社会であります。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も、人口1億人を維持する。その国家としての意志を明確にしたいと思います。

人口減少局面に入っている日本の社会構造を正面から捉え、子育てや社会基盤の強化を図りつつ経済成長を目指す姿勢を示したのです。そして新・3本の矢とその目標が打ち出されました。

    新・第1の矢:「希望を生み出す強い経済」→ GDP600兆円の達成
    新・第2の矢:「夢をつむぐ子育て支援」 → 希望出生率1.8の達成
    新・第3の矢:「安心につながる社会保障」→ 介護離職ゼロを目指す

この「一億総活躍社会」を実現するための「工程表」が「ニッポン一億総活躍プラン」で、2016年6月2日に閣議決定されました。「成長と分配の好循環」を創ると訴えています。

強い経済、「成長」の果実なくして、「分配」を続けることはできない。成長か分配か、どちらを重視するのかという長年の論争に終止符を打ち、「成 長と分配の好循環」を創り上げる。これは、日本が他の先進国に先駆けて示 す新たな「日本型モデル」と呼ぶべきメカニズムである

また、新たな3つの目標を達成するための合計43項目の対応策を提示。
GDP600兆円達成に向けた施策については6年間、
「出生率1.8」および「介護離職ゼロ」に向けた施策については10年間、
それぞれ年次を設定してどんな施策を展開していくかのロードマップとなっています。

名目GDP600兆円をどうやって達成する?

戦後最大となる名目GDP600兆円の達成に向けて、「ニッポン一億総活躍プラン」の中では、

    ・人工知能などを駆使した第4次産業革命の実現を目指す
    ・農林水産物の輸出促進
    ・地方創生
    ・外国人旅行者の増加

など多岐にわたる施策が並んでいます。

ただし、名目GDP成長率3%を続けてようやく達成できるのが「名目GDP600兆円」です。
物価上昇率2%+実質GDP成長率1%の組み合わせでも名目3%となりますが、物価上昇率も思うように上がらない現状では、かなり高いハードルといえます。

「希望出生率1.8」の達成って?

安倍総理は

多くの方が「子どもを持ちたい」と願いながらも、経済的な理由などで実現できない残念な現実があります

として、「希望出生率1.8」を目標としました。待機児童対策など子育て支援を通じて子育てに関する不安を取り除くことで、1.8人の子どもを持ちたいと希望している「希望出生率1.8」を実現するという目標です。

なお、人口を維持するのには「出生率2.08」が必要であり、もしも出生率1.8を達成しても、日本の人口減少は(移民による人口増加などがなければ)止まらないことになります。

「ニッポン一億総活躍プラン」の中では、子育て支援策として

    ・保育士の処遇改善:2%相当
    ・経験を積んだ保育士の処遇改善:全産業の女性労働者との賃金差をなくす(月額4万円)

などのメニューが並んでいます。

「介護離職ゼロ」って?

家族の介護のために仕事を辞める人をなくす、ということで、介護をしながら仕事を続けられる社会を目指すという目標です。

「ニッポン一億総活躍プラン」の中では、
「介護離職ゼロ」に向けて

    ・介護職員の処遇改善:月額平均1万円

などが示されています。

同一労働同一賃金

上記の保育士や介護職員の処遇改善に加えて大きなトピックとしては「同一労働同一賃金」があります。
その実現い向けて

    ・どのような待遇差が合理的である かまたは不合理であるかを事例等で示すガイドラインを策定する
    ・ガイドラインの策定等を通じ、不合理な待遇差として是正すべきものを明らかにする。その是正が円滑に行われるよう
    ・労働契約法、パートタイム労働法及び労働者派遣法の一括改正等を検討し、関連法案を国会に提出する

として、現在4割ほどの差がある正社員と非正規労働者の賃金格差について、2割程度に縮小することを目指すとしています。