先週の政治振り返り
北朝鮮の核・ミサイル開発に対して武力行使の可能性も否定しないアメリカのトランプ政権が、アフガニスタンでIS(イスラミックステート)に対して核兵器以外では最大の破壊力を持つ爆弾を使用するなど、安全保障をめぐる緊迫の度合いが高まりました。最大の焦点だった北朝鮮による核実験は、今までのところありません。しかし北朝鮮は弾道ミサイルを再び発射(失敗)するなど挑発行為を続けていて、状況は予断を許しません。
4月11日(火)
外務省、韓国渡航者などに対し朝鮮半島情勢に注意呼びかけ
北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返していることを背景に、外務省は韓国への渡航者などに対して、朝鮮半島情勢に注意するよう呼びかける「海外安全情報」を発表した。
4月12日(水)
米中首脳、電話会談。北朝鮮とシリアめぐり意見交換
中国の習近平国家主席とアメリカのトランプ大統領は電話で会談した。
中国国営の中国中央テレビによると、習主席は北朝鮮への対応をめぐって平和的な方法での問題解決を主張するとともに、アメリカとの意思疎通を保ちたいとの考えを伝えた。
シリアが化学兵器を使用したとしてアメリカが軍事攻撃を行ったことをめぐっては、習主席は「化学兵器を使用するいかなる行為も認められない」と述べる一方で、「国連の安全保障理事会が一致したメッセージを打ち出すことを望む」とも述べ、対立するアメリカとロシアの双方に配慮する姿勢を見せた。
4月13日(木)
国連安保理、シリア非難決議案を採択せず。ロシアが拒否権行使
国連の安全保障理事会で、シリアの化学兵器使用を非難し、シリアのアサド政権に調査への協力を求める決議案がアメリカ・イギリス・フランスによって提出された。採決の結果、アサド政権を支援するロシアの拒否権行使により決議案は採択されなかった。中国は棄権した。アメリカ、ロシア双方への配慮とみられる。
民進党・細野氏、代表代行を辞任
細野氏は憲法改正をめぐって考え方が今の執行部と異なるとして、代表代行の辞表を野田幹事長に提出し受理された。
細野氏は「民進党が提案型政党としてやっていくには憲法改正の議論が極めて大事だが、今の執行部は憲法改正に消極的で、私が執行部の一員としてとどまるのはふさわしくないと判断した」などと述べた。
民進党からの離党は否定した。
中国、北朝鮮への制裁実行を強調
中国政府は、今年1~3月の北朝鮮からの石油の輸入量が去年と比べてほぼ半減したと発表した。国連安保理決議に基づく北朝鮮への制裁を行っている姿勢をアピールした形。
米軍、核兵器以外で最大の破壊力を持つ爆弾をIS空爆に使用
アメリカ軍はアフガニスタンでIS(イスラミックステート)の拠点を空爆した。使用した爆弾は、核兵器を除く兵器の中で最大の破壊力があるとされる「大規模爆風爆弾」で、実戦の使われるのは初めて。
4月14日(金)
日経平均株価の終値、3日連続で最安値を更新
北朝鮮をめぐる情勢への不安などから幅広い銘柄で売られ、東京市場の日経平均株価の終値は3日連続で今年の最安値を更新した。
4月15日(土)
北朝鮮、金日成主席の生誕105年の祝賀行事
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父にあたる、金日成(キムイルソン)主席の生誕105年にあたり、首都・平壌首都で大規模な祝賀行事が行われた。軍事パレードでは新型のICBM(大陸間弾道ミサイル:射程がアメリカ本土に達する)とみられるミサイルも登場した。
チェ・リョンヘ党副委員長は「アメリカが無謀な挑発をするのであれば、わが革命武力は即時せん滅的な攻撃を加え、全面戦争には全面戦争で、核戦争には核攻撃戦で対応する」と述べ、アメリカのトランプ政権をけん制した。
4月16日(日)
北朝鮮、ミサイル発射に失敗か
米軍および韓国軍によると、北朝鮮が東部シンポ付近から弾道ミサイル1発を発射したものの直後に爆発し失敗したとみられる。発射したのはICBM(大陸間弾道ミサイル)ではなく、中距離弾道ミサイルと分析されている。
今週の見通し
北朝鮮をめぐっては引き続き緊迫した情勢が続きます。北朝鮮が核実験を行うのか、もし行った場合にアメリカが武力行使に踏み切るのか、北朝鮮に影響力を持つ中国がどのような行動をするのか否か、などが引き続き注目です。
国内政治では、与野党が激しく対立する「テロ等準備罪」新設法案の実質的な審議がスタートします。
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