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先週の政治振り返り

アメリカ・トランプ政権のマティス国防長官が来日し、安倍首相、稲田防衛大臣と会談しました。マティス国防長官は、日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることを明言したほか、在日米軍の駐留負担経費をめぐり「日本とのコスト分担の在り方は他国にも手本になる」と現状を評価しました。トランプ新大統領のもとで日米関係の先行きが懸念されてきましたが、今回のマティス国防長官の一連の発言で従来の路線を継続する方針が示されたことで、日本側としては一安心できた形です。

1月31日(火)

日銀「展望レポート」GDP伸び率予測を引き上げ

日銀は経済と物価の見通しである「展望レポート」を31日に公表した。この中で、GDP伸び率(予測)について、2016年度は実質プラス1.0%からプラス1.4%に、2017年度はプラス1.3%からプラス1.5%に上方修正した。消費者物価の上昇率(見通し)については、2016年度をマイナス0.1%からマイナス0.2%に引き下げた。2017年度はプラス1.5%、2018年度はプラス1.7%という従来の見通しを据え置いた。

物価上昇率2%の達成時期はこれまで通り「平成30年度ごろになる可能性が高い」とした。

2016年度の第3次補正予算、可決・成立

参議院本会議で自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。

2月1日(水)

トランプ大統領が日本が円安誘導と批判。安倍首相「批判は当たらない」

アメリカのトランプ大統領は1月31日の会合で、日本が「為替を操作して通貨安に誘導している」と批判した。これについて安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、日銀の金融政策は「2%の物価安定目標到達のためのものであり、円安誘導という批判はあたらない」と反論した。

2月10日に予定されている日米首脳会談で「反論すべき点があれば、しっかり反論していきたい」と述べた。

日銀の黒田総裁も「G20の場でも各国の中央銀行は物価安定のために金融緩和を進めるということを了解している」と述べ、トランプ発言に反論している。

安倍首相、トランプ大統領令めぐり「コメント控える」

トランプ大統領がテロ対策強化のために難民の受け入れの一時禁止を命じたことに対し、アメリカ国内や国際社会から批判の声が上がっている。これについて安倍首相は衆議院予算委員会で「アメリカの内政事項であり、コメントは差し控えたい」などと述べるにとどめた。

2月3日(金)

アメリカの国防長官、日米安保条約の尖閣諸島への適用を明言

トランプ政権のマティス国防長官が来日し、安倍首相と会談した。安倍首相は「トランプ政権との間においても、日米同盟は揺るぎないということを内外に示していくことができることを期待をしているし、また、確信をしている」と述べた。マティス国防長官は、アメリカの日本に対する防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の責務を果たしていく考えを示し、沖縄県の尖閣諸島がその適用範囲であることを明言した。

これに対して中国外務省の報道官はコメントを発表。尖閣諸島は中国の領土だという中国の立場を強調するとともに、「アメリカに対して、この問題をめぐる誤った発言をやめるよう求める」などと非難した。

日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されることについては、2014年4月にオバマ大統領が、アメリカの大統領として初めて明言した。今回のマティス氏の発言で、トランプ新政権もこの方針を引き継ぐことが明示され、アメリカが中国をけん制した形。

2月4日(土)

アメリカの国防長官、在日米軍駐留経費を巡り「日本は他国の手本になる」と評価

稲田防衛大臣とアメリカのマティス国防長官が会談し、日米同盟の重要性、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念、普天間基地の辺野古移設の方針などを確認した。

会談後の共同記者会見で稲田防衛大臣は「厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、日本は、防衛力を質も量もしっかり強化し、みずからが果たしうる役割の拡大をはかっていく方針を伝えた」と述べた。

マティス国防長官は在日米軍の駐留負担経費について「日本とのコスト分担の在り方は他国にも手本になる。安全保障環境がより厳しくなる中、日本はそれに従っている」と評価した。

2月5日(日)

アメリカの連邦控訴裁判所、トランプ政権の申し立てを退ける

7か国の人の入国を禁止することなどを命じたトランプ大統領令をめぐり、連邦地方裁判所は「大統領令は雇用や教育、経済活動に悪影響を与えており、被害は重大で、今も続いている」などとして、「全米で大統領令の即時停止」を命じる仮処分の決定を出した。トランプ政権はこれを不服として、仮処分の決定の効力を停止するように連邦控訴裁判所に申し立てていた。連邦控訴裁判所はこれを退けた形。トランプ政権は法廷で争っていく考えを示している。

今週の見通し

安倍総理はトランプ政権発足後初めてとなる日米首脳会談を行うため、9日からアメリカを訪問します。トランプ大統領が日銀の金融緩和策を「円安誘導」だと指摘したり、対日貿易赤字を問題視する発言などをしている中で、直接の会談で経済や外交をめぐりどのような内容になるのか注目されます。