この1週間で、安倍政権の7年8ヶ月を検証・論評した社説(タイトル)は、以下の通りです。
朝日新聞
・最長政権 突然の幕へ 「安倍政治」の弊害 清算の時(8月29日朝刊)
・アベノミクス 「道半ば」で行き詰まり(8月30日朝刊)
・安倍改憲 首相が自ら招いた頓挫(9月1日朝刊)
・安倍外交 「価値」を実践したのか(9月3日朝刊)
・菅氏正式表明 総括なき継承許されぬ(9月3日朝刊)
毎日新聞
・安倍首相が辞任表明 行き詰まった末の幕引き(8月29日朝刊)
・「安倍政治」の弊害 民主主義ゆがめた深い罪(8月30日朝刊)
・アベノミクスの終幕 重くのしかかる負の遺産(8月31日朝刊)
・安倍外交の功罪 同盟強化も総決算ならず(9月3日朝刊)
日経新聞
・コロナ禍に政治空白は許されない(8月29日朝刊)
・成長の礎築き損ねたアベノミクス(9月3日朝刊)
読売新聞
・首相退陣表明 危機対処へ政治空白を避けよ(8月29日朝刊)
・後継選び本格化 総裁候補は明確に所信を語れ(8月30日朝刊)
産経新聞
・首相の退陣表明 速やかに自民党総裁選を 「安倍政治」を発射台にせよ(8月29日朝刊)
・ポスト安倍の課題 拉致解決へ熱情継承せよ(8月31日朝刊)
朝日・毎日vs読売・産経の基本的な構図
集団的自衛権の行使を可能にした安保関連法や、安倍政権が目指した憲法改正などに反対スタンスの朝日・毎日は、連日「安倍政治」を批判的に論評。
一方で、安保関連法や憲法改正などに賛成スタンスの読売・産経は、安倍政権の論評にあまり紙面を割いていません。
そんな中で、主要5新聞の中でも「是々非々」的な立場の日経新聞が、アベノミクスを批判的に総括しているのが目を引きます。
日経新聞がアベノミクスを批判的に総括
日経新聞は9月3日の朝刊に掲載した社説「成長の礎築き損ねたアベノミクス」において、アベノミクスは「日本経済の復元に一定の成果をあげた。しかし民間需要が主導する力強い成長の礎を築いたとは言い難い」と指摘。
その理由として、金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」で構成されたアベノミクスの方向性は「避けて通れない」妥当な政策だったものの、「カギを握るのは、民需を喚起する成長戦略のはずだった。にもかかわらず技術革新などを促す十分な施策を講じられず、潜在成長率の底上げにつながらない痛み止めの金融・財政政策に頼りすぎた点に問題がある」と分析しています。
具体的には、
・混合診療の全面的な解禁
・保育士と介護士の基礎資格の共通化
・認可と認可外の保育所の競争条件をそろえること
などの規制改革ができなかったことを指摘しています。
その上で、
・財政状況が悪化したこと
・金融緩和の出口戦略が困難であること
・社会保障制度の長期的な改革案を示していないこと
などの「ツケはあまりにも大きい」と批判しています。
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