もくじ

引き続き、7月3日の「党首討論」の内容を紹介します。きょうは「憲法改正」をめぐる質疑応答部分です。

自民・安倍総裁「維新や国民民主とも合意を形成していきたい」

安倍総裁への質問

安倍総理に対して、憲法改正を目指しているにも関わらず、参院選の勝敗ラインを「過半数」としていることの矛盾を質しました!
たしかに。憲法改正の発議のためには衆参両院で3分の2の議席が必要だわ。

安倍総裁の回答

すみません私1回もですね、我が党が3分の2をとると言ったことは今まで1度もなかった。与党でっていうことではなくて、3分の2をですね、形成する努力をしていきたいと言ってるんです。それは与野党です。与野党で。ですから与党でということも自民党でということも1回も言ってませんし、与党でということも1回も言っていません。3分の2の合意を得られる努力を国会で重ねていきたい。
ですから例えば維新の会もですね、教育の無償化ということについては我々とだいたい同じ方向を向いています。ですから、維新の党は野党ですけれども、維新の党も、野党の維新の党にもお願いをしたいと思ってますし、また、国民民主党の中にもですね、この憲法改正については前向きな方々もおられますからそういう中において、合意を形成していきたいと思ってます
そして、いま(質問者の)橋本さんが真に聞きたいことは、この目標はどこなのかということだと思いますが、目標についてはですね、まさに政策を遂行していくのに必要な、非改選議席も含めた過半数、与党、自民党・公明党で確保したい、こう考えています。
安倍総理は、自民党だけで3分の2を確保する目標を掲げたことは一度もない、と強調したで。
野党も含めて3分の2の合意を得る努力を重ねる、と訴えたネ。改憲に前向きな維新だけじゃなくて国民民主党にも言及したヨ。
挑発にも聞こえる質問には乗らず、あくまでも獲得議席の目標は与党での過半数と安全運転に徹したのう。

公明・山口代表「憲法改正の議論はまだ十分ではない」

山口代表への質問

自民党と連立を組む公明党の山口代表に対して、安倍総理の姿勢は迷惑だと思ってるんじゃないか、と尋ねました!
公明党は憲法改正に慎重な姿勢を崩していないわ。本音では迷惑だと思ってるんじゃないかしら。

山口代表の回答

公明党としては明確に整理をしております。
自民党が政党として憲法改正を主張する。これは政党の立場としてはあっていいことだと思っています。ただ、連立政権を組むということは、今の政権運営、今の国民生活、国の行方について責任を持つということでありますから、憲法が直接今の政権の行いに必要なわけではありません
その上で憲法改正については、もっと与野党を超えて議論をしっかり深めて、国民の認識を広めるということが大事なのでありまして、そのことを強く主張しているということであります。まだまだ議論が十分ではないという、そういう冷静な現実認識を持った上で議論を深める努力が必要だと思います
自民党がいち政党として憲法改正を主張するのはいいが、今の政権運営には必要ではない、と指摘したのう。
自民党との温度差を隠そうとしないネ。与党内の「ブレーキ役」を自認する公明党らしいヨ。
公明党は、憲法改正に前向きな「改憲勢力」にカウントされとるけど、あまり期待できなさそうやな・・。

立憲・枝野代表「結論ありきで議論を進めようとしている」

立憲・枝野代表と国民・玉木代表への質問

野党の、まずは立憲民主党と国民民主党に対して、憲法改正の議論に対する方針を尋ねました!
質問者が指摘したように、世論調査では憲法改正への国民の期待はあまり高くないわ。

枝野代表の回答

我々は、特に私はですね、あの中山憲法調査会の主要メンバーで一緒に今の国民投票法を作ったと自負をしています。その時には与野党で円滑な議論が進んでいたんです。
当時の社民党や共産党さんも、国民投票法の制定自体には反対だという立場でしたが、議論にしっかりと参加していただけるように、私と中山先生などでですね努力をして、そしてそういう中で物事が進んでいきました。こういう状況を作っていただければ、私たちは建設的な議論をしたいというふうに思っていますが、まず残念ながら結論ありきでものを進めようとしていると。今の憲法審査会もですね、国民民主党さんは、国民投票法の改正案をお出しになっているわけですが、与党案だけを採決すると、議論をせずに採決すると、こういう姿勢ではなかなか円滑な建設的な議論は進まないと思いますので、ぜひ中山太郎先生にもですね、調査会時代の運営をですねよく知っていただきたいなというふうに期待をしています。
枝野代表は、自民党側が「結論ありき」で進めている姿勢が問題だと主張しました。
安倍総理は野党が議論を拒んでいると強調するけど、野党には野党の言い分があるんだわ。
主張に違いがあっても与野党で議論は円滑に進む時代があったなら、大いに参考にすべきだネ。

国民・玉木代表「CM広告規制を盛り込むべき」

玉木代表の回答

国民民主党は、憲法改正の是非を問う国民投票に際して、テレビCMを規制すべきだと訴えています。
規制をしないと、資金力がある方が大量のCM広告をうつことができて、不公平だという主張だネ。
民法のテレビ局で組織する「日本民間放送連盟」は、憲法改正をめぐる賛成と反対のCM量を均衡させる自主規制は行わない方針だわ。
そらそうやで、CMの規制は「表現の自由」に抵触しかねへんで。
賛成か反対かの区別が難しいケースもありそうじゃ。難しい課題じゃな。

共産・志位委員長「安倍総理のもとでまともな改憲議論できない」

志位委員長への質問

ドイツが戦後60回も憲法を改正していることにも触れながら、共産党と社民党に対して、改憲議論は国会の責務ではないかと指摘したで。
野党の中でも特に共産党と社民党は、憲法改正の議論そのものに反対色が強いからのう。

志位委員長の回答

私達は国会でおおいに議論してます。例えば予算委員会の場で、あるいは様々な委員会の場で、憲法の擁護の議論もしてますし、憲法を活かしてどういういいものを作るかの議論も大いにやってます。
ただ、憲法審査会というのはどういう場かというと、一般的に憲法を議論する場じゃないんですね。国会法第102条で、憲法改正原案を作る場だと、こうなってる。それじゃ国民のみなさんはですね、いま憲法の改定を望んでいるかと。どんな世論調査をやってもですね、5割以上の方がいま憲法の改定望んでないですよ。そういうもとでですね、これ(憲法審査会)を動かす必要はないというふうに言っております。
そしてもう一点言いますとね、いま野党の中でこの問題について、どこで一致しているかと。安倍政権のもとでの9条改定は反対だと、ここで一致していると。
なぜそれを言うかというとね、安倍首相ほど立憲主義を壊してきた首相がいない。安保法制しかり、あるいは共謀罪、あるいは秘密法、憲法違反の立法をやってきた。ですから、憲法をそもそも守らない総理のもとで、まともな議論ができませんというところで野党が一致してやってるということです。
多くの国民が憲法改正を望んでいない中で、憲法審査会を動かす必要はないと訴えました!
安倍政権が成立させてきた安保法制や共謀罪などを「憲法違反」と改めて主張して、そんな安倍総理のもとでは改憲議論に応じられないと強調したわ。
この2党は憲法改正に徹底して反対する姿勢だネ。志位委員長との間では、追加で以下のやりとりもあったヨ。

共産・志位委員長への質問

私たちは設置そのものに反対しました。ただ、だからといって全ての議論に参加してないわけじゃない。例えばCM規制の問題でも。この問題について私たちも議論してます。

社民・吉川幹事長「安保法制が憲法に合致しているか議論すべき」

吉川幹事長の回答

我々は憲法審査会について、本来規則の中にいろいろ書いてありますけれども、もう一方で今の法律や制度と憲法の関係について、これを議論するというそういう目的も入っております。それについては我々多いにやるべきだという立場です。
とりわけ安保法制については、参考人3人の方すべてが違憲であると、集団的自衛権の行使については、というふうな発言もございました。これについてやっぱり、先ほど言いましたけれども、非常に日本がいま危機的な状況に、我々はそれほど自覚はないですけれども、トランプ大統領が10分前に攻撃を立ち止まったというのは、もしかしたら日本の平和、日本が海外で戦争する10分前だった可能性だってあるわけです。
この間のいろんな海外での戦争において、アメリカは常に日本に参加を求めてきましたし、それを止めてきたのも集団的自衛権の行使は違憲である、それがあっさりと閣議決定でひっくり返されてしまったと。だとすれば、これ本当に憲法と合致しているのかということについて、これは議論をすべきだというふうに考えます
それ以外の問題についても、憲法との関係で議論していくことは必要だというふうに思います。
社民党の吉川幹事長は、安保法制が憲法に違反していないのかを議論すべきだと訴えました。
安保法制を国会で議論していた当時、与党が国会に推薦した憲法学者もでさえも「違憲だ」と批判したわ。
あれは野党の批判を勢いづかせたよネ。「護憲」を訴える社民党としては当然の主張だネ。

維新・松井代表「改憲の議論しない立憲や共産は無責任」

松井代表への質問

憲法改正に前向きな維新に対して、9条改正への考え方を質したで。
維新は「改憲勢力」にカウントされておるが、安倍総理や自民党がめざす9条改正についてはどう考えているのか、重要なポイントじゃのう。

松井代表の回答

憲法改正については、これは国民の皆さんが究極の民主主義、国民投票で是非を問うものですよ、変えるかどうか。要は、それはあの憲法審査会というのは、発議をする場所なんで、さきほどから話がある、これは安倍総理であろうと誰であろうと、議論するのは政治家の衆参両議院の仕事じゃないですか。それをやらない志位さん、枝野さん、もう無責任極まりないと思ってます。
僕らは9条は、自民党さんが出してきますから、その出してきたものに真正面から議論します。
我々がやりたいのは、教育無償化、憲法裁判所、それから地方分権ですから、これはもう党内で条文案を作ってますから。これは自民党さんが出す9条と横に並べて、要は(憲法)審査会を開いてもらったら、まともな議論をやりたいと。誰が総理だからとか、誰がやるから審査会に参加しないとか、もうこれこそね無責任極まりない話だと僕はそう思います。
9条改正に関しては「真正面から議論する」と述べただけで、賛否など詳しく語りませんでした。
松井代表は、憲法改正の議論に後ろ向きな共産党の志位委員長と立憲民主党の枝野代表を名指しして「無責任極まりない」と批判したヨ。
こうした態度から、維新は与党でも野党でもない「ゆ党」と言われるんだわ。

立憲・枝野代表「安保法制『違憲』棚上げの方が無責任だ」

枝野代表への質問

私は安倍総理のもとでという言い方はしていません。私が申し上げているのは、いま憲法違反の安保法制が強行採決をされて、現に存在をしていると。この憲法適合性をしっかりと結論付けなければ、9条についてまっとうな議論ができようがない。私どもはこれは明確に違憲だと思っていますし、実際に憲法審査会で自民党推薦の参考人も含めてですね、憲法違反だというのを押し切って作られていると。
これをまず現在の憲法に適合した形に戻した上でないと議論をしようがない、ということを申し上げているのであって、いまの違憲の状況を棚上げしておいて、その条文を変えますと。これこそ無責任な議論の仕方だというふうに思っています。
松井代表に「無責任」と批判された枝野代表は、憲法違反の法律を作っておいて、それに関する9条を変える方が無責任だと反論しました!
憲法9条をめぐる与野党の対立は、今回の参院選が終わってからも続きそうじゃのう。
憲法改正をめぐる質疑応答は以上です。2時間におよぶ党首討論、この後は女性の政治参加や天皇制、夫婦別姓などをめぐる議論でした。明日にもラスト1回ご紹介します。

【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

朝日新聞

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