森友学園に対する国有地売却の決裁文書を財務省が改ざんした問題をめぐっては、改ざんが行われた当時に財務省理財局長だった佐川氏など38人が虚偽公文書作成などの疑いで告発されていた。
大阪地検特捜部は、刑事責任を問うのは難しいと判断し、佐川氏をはじめ38人全員を不起訴にした。
佐川氏の文書改ざんへの関与について、大阪地検特捜部は会見で、「関与がなければ『嫌疑なし』になる。『嫌疑なし』とする証拠はない」とする一方で、「文書の改変によってうその文書を作ったと認めるのは困難と判断した」などと述べ、嫌疑不十分で不起訴としたことを説明した。改ざんの前後で森友学園側との契約の経緯や金額などに大きな変更はなく、虚偽の内容に変えたとまでは言えないと判断したものとみられる。

また、国有地がごみの撤去費用などとして鑑定価格から約8億円値引きされて売却された問題についても、背任容疑で告発された財務省・近畿財務局・大阪航空局の当時の幹部らを不起訴とした。
大阪地検特捜部は会見で、「売却によって国は相当額の損害賠償義務を免れた可能性を否定できず、ごみの撤去費用の見積もり額が不適正と認めるのは困難」「国に財産上の損害を生じさせたとは認められない」などと説明した。小学校の開校が遅れた場合、学園側から損害賠償を請求される可能性があったことなどから、8億円の値引きによって国に損害を与えたとは言い切れないと判断したとみられる。

なお、国有地売却に対する政治家や首相官邸の関与については、大阪地検特捜部は「政治家の関与があったかどうかは捜査結果の具体的な内容に関わる」として回答を避けた。

麻生財務大臣は記者団に対し、「地検から財務省関係者の不起訴を公表したとうかがった。私どもとしては文書の改ざんがいちばんの問題でゆゆしきことだと申し上げてきた」とした上で、文書の改ざんについて、「調査を尽くしたうえで関与した職員への処分を含め週明け早々に取りまとめるよう指示した」などと述べた。

立憲民主党など野党は、佐川氏の証人喚問を改めて行うよう求める方針。佐川氏は2018年3月27日の証人喚問で、改ざんの関与などについて「自らが捜査の対象で刑事訴追を受けるおそれがあるので答弁を差し控える」などと答弁を避けていた。