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賛否両論

2018年6月15日から住宅宿泊事業法が施行され、いよいよ日本でも全国的に民泊が解禁されます。政府は2020年までに訪日外国人数4,000万人という目標を掲げており、目標の実現に向けた宿泊施設不足解消策の一つとして民泊に期待を寄せています。一方で、民泊に対する姿勢は自治体によってもばらつきがあり、一部の自治体では主に住宅エリアにおいて民泊を制限する上乗せ規制の条例も続々と可決されています。

反対派の主張

  • 地域住民の生活環境が悪化する
  • ゴミや騒音をめぐるトラブルが多い
  • テロや犯罪に利用されるリスクがある
  • 旅館業との公平な競争環境が重要
  • 地方では宿泊施設は十分足りている

賛成派の主張

  • 宿泊施設の解消につながる
  • 空き家対策に活用できる
  • 地方創生の切り札となる
  • 日本の文化や魅力を海外に発信できる
  • 外国人との草の根交流が増える

議論のポイント

民泊に反対をしている主なステークホルダーは、地域住民と旅館事業者です。地域で暮らす人々は見知らぬ外国人が住宅街に増えることによる治安の悪化、騒音やゴミなどのトラブルを懸念しており、閑静な住宅環境を守りたいという住民の意志が強い自治体では住居専用地域の民泊を全面禁止したり休日のみに制限する動きが進んでいます。

また、旅館事業者は、消防設備や衛生設備での規制ハードルが高く設備維持コストがかかる旅館業と、規制が少ない民泊とでは公平な競争環境(イコールフッティング)が実現できていないという観点で民泊に反対しています。この旅館業者の主張も踏まえ、現在住宅宿泊事業法の施行と合わせて旅館業法の改正も進められています。

逆に、民泊を推進している主なステークホルダーは不動産事業者や個人投資家です。全国的に人口減少が進むなか、空室対策に悩む不動産会社や管理会社にとって民泊は通常の賃貸に代わる新たな収益源となりうるため、注目を集めています。また個人の投資家にとっても民泊は通常の不動産投資よりも高い利回りが期待できる新たな投資手法として期待されています。

民泊をめぐる「安全・安心」を確保しつつ、世界に発信できる「日本ならではの民泊」スタイルを確立し、観光立国の推進や地方創生など社会全体に利益を生み出せる形へと発展させていくことが重要だと言えます。

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