概要
国会における質問時間は野党側に多く配分されてきましたが、自民党は議席数に応じた比率に改めるよう要求しています。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設について質疑する衆議院の文部科学委員会の開催をめぐっては、野党が「野党8:与党2」を求めたのに対して自民党は「野党5:与党5」を主張。結局「野党2:与党1」で折り合い、委員会は実施されました。
今後も、国会における質問時間の配分をめぐる与党と野党の間の綱引きが続きそうです。
毎日・朝日が批判
この問題について、まず社説で批判したのは毎日新聞でした。
国会の大きな役目は政府をチェックすることだ。従来、与党の質問は自画自賛型に陥りがちで、その役割を果たしているようには思えない。そうした与党の質問時間を増やすというのも、国会を軽んじる安倍首相や自民党の姿勢の表れだろう(20171029毎日新聞社説)
続いて、朝日新聞も安倍政権を批判。
「数の力」を振り回す安倍政権の立法府軽視である(20171101朝日新聞社説)
行政府をチェックし、疑惑をただす立法府の機能が弱まる。数の横暴にほかならない(20171102朝日新聞社説)
毎日新聞は、野党の質問時間を削減するのは安倍首相への「そんたく」ではないかと非難します。
「森友・加計」問題で野党から追及される場面を減らしたい首相へのそんたくがあったと考えざるを得ない(20171102毎日新聞社説)
日経も自民党を批判
日経新聞も、自民党の主張を「ご都合主義」と批判しました。
民主党政権時代の野党・自民党はそれまでよりも野党への割り振りを増やすよう求め、実現させた。与野党が入れ替わると言い分が変わるのは、ご都合主義というものだ(20171102日経新聞社説)
読売は野党をけん制
読売新聞は、
「民主党政権時代も野党が8割前後の質問時間を得ていた経緯がある」と指摘する一方で、野党に対し「不毛な質疑の姿勢」を改めるべきだとクギを刺します。
野党は、質問時間の確保を求める以上、森友・加計学園問題の追及ばかりに偏向した不毛な質疑の姿勢を改めて、より建設的な論戦を挑まねばなるまい(20171102読売新聞社説)
朝日も野党に注文
朝日新聞も、野党に対して「現状を改める工夫」を求めます。
野党の側も各党が似た質問を繰り返しがちな現状を改める工夫をすべきだ。そのためにも、森友・加計問題で、各党のプロジェクトチームのうえに野党合同のチームをつくってはどうか。その場を通じて各党の質問を調整し、党派を超えて二の矢三の矢を放つような質問ができないか。そうなれば国会審議は活性化するはずだ(20171111朝日新聞社説)
そして11月15日に「野党2:与党1」の質問時間配分で衆議院・文部科学委員会が開催され、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる質疑が行われました。
読売は野党の姿勢を批判
読売新聞は翌日(11月16日)の社説で、委員会で野党側の政府に対する追及について「具体的証拠は挙げていない。実のある議論からは程遠かったと言わざるを得ない」と批判した上で、次のように主張しています。
今回の委員会審議をみる限り、野党が質問時間を有効に使ったとは到底言えまい。国会審議で重要なのは、行政の問題点をきちんとチェックし、法案・予算案について建設的な議論を行うことだ。その前提で、各党が相応の質問時間を確保できるよう、与野党は歩み寄るべきだ(20171116読売新聞社説)
朝日は与党を批判
一方の朝日新聞(11月16日社説)は、質疑を通じて「際だったのは政府と与党の一体性である」と指摘。「与党に行政監視の役割を期待できないなら、野党の役割はいっそう重要だ」として、質問時間の見直しを「撤回すべきだ」と訴えています。
野党による政府追及の場を少しでも減らしたい与党の狙いは明らかだ。これでは国会による行政監視そのものが弱体化しかねない。数におごった自民党の慢心にほかならない。これが衆院選で首相が国民に誓った「謙虚」で「真摯(しんし)」な政治のあり方なのか。直ちに撤回すべきだ(20171116朝日新聞社説)
産経は社説で取り上げず
2017年11月16日時点で、産経新聞は社説で「国会における質問時間の配分見直し」について取り上げていません。
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