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先週の政治振り返り

衆議院が解散され、10月10日に告示、22日に投票の選挙戦が事実上スタートしました。安倍首相は「国難突破解散」と名付け、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる増収分を子育て世代への投資拡充にあてるとする判断や、北朝鮮への対応について国民の信を問うと強調しました。
これに対し、東京都の小池知事は安倍首相が解散を発表したのと同じ9月25日に記者会見を開き、自らが代表を務める新党「希望の党」を立ち上げると発表しました。自らは選挙に立候補しない考えを示しています。
民進党の前原代表はこの新党に事実上合流する考えを表明、党の了承を得ました。衆院解散を引き金に、あわただしく野党再編の動きが始まりました。

9月25日(月)

小池都知事「希望の党」立ち上げ、代表に就任

東京都の小池知事は記者会見で、側近の若狭衆院議員や民進党を離党した細野元環境相らと新党「希望の党」を立ち上げ、代表に就任すると発表した。「改革、保守、これらを満たす方々が新しい勢力をつくり、都政にとってもプラスだ」などと述べ、都知事として都政運営を続けつつ国政にも関わっていく考えを示した。

安倍首相「人づくり革命」「生産性革命」の具体的政策の年内策定を指示

安倍首相が経済財政諮問会議で「内閣の経済政策の最大の柱は『人づくり革命』であり、一億総活躍社会を作り上げるうえでの本丸だ。もう1つの柱は『生産性革命』であり、力強い賃金アップと投資を後押しするため、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づける」などと述べた。
「人づくり革命」については、消費税率を2019年10月に10%に引き上げることによる増収分を財源とし、幼児教育と高等教育の無償化、待機児童解消などに取り組む考えを示した。
高等教育の無償化については、所得の低い家庭の子どもに限定し、給付型奨学金や授業料の減免措置の拡充を図る考えを示した。
幼児教育の無償化は、3歳から5歳までのすべての子どもを対象とし、0歳から2歳までは所得が低い家庭の子どもに限り実施する方針を示した。
また、2020年度末までに新たに整備する保育の受け皿を22万人分から32万人分に増やすとしている。

9月26日(火)

日本政府、韓国政府の慰安婦追悼碑の設置に反発

韓国政府は25日、慰安婦を追悼する碑を国立墓地に設置すると発表した。
これに対し菅官房長官は記者会見で「こうした動きは、最終的で不可逆的な解決だと確認した慰安婦問題をめぐる日韓合意の趣旨・精神に反するものだ」「韓国側に対してはわが国のこうした懸念を強く申し入れている」などと述べた。
韓国政府は「慰安婦問題を歴史の教訓としていく努力は日韓合意とは関係なく続けていく」などと反論している。

最高裁、参院選の1票の格差「合憲」判決

2016年7月に行われた参議院選挙の「1票の格差」が最大で3.08倍だったことについて、最高裁は「投票価値の不均衡は憲法上の問題が生じるほど著しい不平等状態だったとはいえない」「数十年間にもわたり5倍前後で推移してきた格差が縮小し、次回の選挙に向けて抜本的な見直しを検討して必ず結論を得るとされている」などとして、憲法違反ではないという判決を下した。判決では「合区」の是非には触れず、定数是正で格差が縮小したことなどを評価した。

9月28日(木)

衆議院解散。10月10日告示、22日投票

臨時国会が召集されたが、衆議院が解散され、政府は10月10日告示、22日投票の日程を正式に決定し、事実上の選挙戦がスタートした。今度の衆院選は改正公職選挙法に基づいて行われる初めての選挙で、議席数はこれまでの475から10減って465となり、過半数は233となる。

民進党、希望の党との事実上の合流を了承

民進党は両院議員総会を開き、執行部が提案した希望の党との事実上の合流を了承した。
前原代表は「どんな手段を使っても安倍政権を止めなければならない。政権交代を実現して政治をゆがめる安倍政権を退場に追い込みたい」「理想の社会を作るため名を捨てて実をとる」などと述べた。具体的には、衆院選で民進党の候補者は立てず、立候補予定者は希望の党に公認を申請することとし、希望の党との交渉などは前原代表に一任された。

小池知事、民進党との「合流」否定。外交・安保政策で候補者を個別判断へ

希望の党の代表である小池都知事は記者会見を開き、民進党との合流について「私どもは(民進党との)合流という考えは持っていない」「安全保障関連法の採決の際に全く賛成しないという人はそもそもアプライ(応募)しないだろう」などと述べ、民進党との合流を否定するとともに、安全保障政策へのスタンスなどを考慮して、民進党出身の候補者を希望の党から出馬させるかどうかについて、個別に判断する考えを示した。

9月30日(土)

「希望」と「維新」選挙での連携で一致

希望の党の小池代表(東京都知事)と日本維新の会の松井代表(大阪都知事)は記者会見し、衆議院選挙での連携で一致した。小選挙区での候補者の競合を避ける。

今週の見通し

選挙に向けて、希望の党や民進党の議員らの行動が注目です。
希望の党は綱領で「寛容な改革保守政党を目指す」としており、保守からリベラルまで様々な考え方の議員を抱える民進党の議員を丸ごと受け入れると「選挙に勝つための数合わせ」という批判を浴びることは必至です。
小池氏は民進党出身者の公認について「安全保障や憲法観で一致することが必要最低限で、一致しなければ排除する」と述べており、民進党内のリベラル派は希望の党に合流できないとみられ、リベラル勢力だけで新党を作る可能性が浮上しています。
この政界再編の動きが、選挙戦の構図を決める最大の焦点となります。