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先週の政治振り返り

9月3日に通算6度目の核実験を行った北朝鮮に対する国連安保理の新たな制裁決議が、日本時間12日に全会一致で採択されました。北朝鮮問題について圧力ではなく対話による解決を主張する中国・ロシアとの合意を優先したため、アメリカが当初目指した「北朝鮮への原油輸出の全面禁止」などは盛り込まれませんでしたが、「北朝鮮の繊維製品の輸出の禁止」など厳しい内容となりました。

北朝鮮はこれに反発するとともに、15日には中距離弾道ミサイル「火星12型」を発射し、北海道上空を通過して太平洋に落下させました。飛距離は約3700キロで、北朝鮮から約3400キロに位置するグアムを攻撃できる能力を示し、アメリカをけん制した形です。

9月12日(火)

国連安保理、北朝鮮への新たな制裁決議を採択

今月3日に6度目の核実験を行った北朝鮮に対して、国連の安全保障理事会は新たな制裁決議案を全会一致で採択した。北朝鮮の繊維製品の輸出を禁止し、北朝鮮の労働者に対して就労許可を新規で与えることを禁ずるなど制裁が強化された。なお、北朝鮮への原油輸出量は過去1年分の量を上限とすることとされ、事実上の現状維持にとどまった。アメリカが作成した制裁決議の原案には「北朝鮮への原油輸出の全面禁止」や「キムジョンウン朝鮮労働党委員長の資産凍結」が盛り込まれていたが、中国やロシアの合意を得るために削除された。

中国の国連大使は北朝鮮の核実験を非難した上で、朝鮮半島の非核化は対話で実現すべきと主張した。またアメリカに対し「北朝鮮の体制の交代や政権崩壊を求めず、半島の統一を急がず、軍隊が軍事境界線を越えることがあってはならない」とけん制した。

9月13日(水)

北朝鮮、新たな制裁決議に反発

北朝鮮の外務省は国連安保理で新たな制裁決議が採択されたことに対し「わが国の正々堂々たる自衛権を奪い、経済封鎖によって完全に窒息させることを狙った極悪非道な挑発行為の産物であり、全面的に排撃する」などと強く反発し、核・ミサイル開発を続ける姿勢を示した。

9月15日(金)

北朝鮮、弾道ミサイルを発射。北海道上空を通過し太平洋に落下

日本政府によると、午前6時57分ごろ北朝鮮西岸のスナンから弾道ミサイル1発が東北東方向に向けて発射され、北海道の渡島半島や襟裳岬付近の上空を通過し、午前7時16分ごろ、襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下したと推定される。

ミサイルの飛行距離は約3700キロで、北朝鮮がこれまで発射したミサイルの中で最長の飛距離。北朝鮮からグアムまでの距離約3400キロを上回っており、グアムを攻撃できる能力を示した形。小野寺防衛大臣は「先月29日に発射された、北朝鮮が『火星12型』と称するミサイルと同様の中距離弾道ミサイルだった可能性がある」などと述べた。

9月16日(土)

北朝鮮「火星12型」発射試験と発表

15日のミサイル発射について、中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射試験をキムジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと実施したと発表した。キム委員長は「われわれの最終目標はアメリカと力の均衡を成し遂げることだ」「核武力の完成目標はほぼ終着点に至った」などと述べたと伝えた。

今週の見通し

ニューヨークで国連総会が開催され、安倍首相も含め各国の首脳が集まります。北朝鮮の核・ミサイル開発も議題となり、情勢の行方が注目されます。

その翌週、9月28日には臨時国会が召集される見通しですが、その冒頭で安倍首相が衆議院の解散・総選挙に踏み切る可能性が急浮上しています。森友学園や加計学園を巡る疑惑などで落下した内閣支持率が回復傾向にある中で、野党第1党である民進党は離党者が相次ぐ逆境にある上、小池都知事に近い議員による新党結成が本格化する前に選挙を行うことが有利だと判断しているとみられます。解散を念頭に、野党の選挙協力や新党結成などの動きが加速する見通しです。