先週の政治振り返り
北朝鮮が核・ミサイル開発を強行しました。
8月29日(火)には中距離弾道ミサイル「火星12型」を発射し、北海道の上空を通過し太平洋に落下させました。日本上空を通過したため日本政府はJアラート(全国瞬時警報システム)を通じて当該地域の国民に避難を呼びかけました。
そして9月3日(日)には6度目となる核実験を行い、北朝鮮は国営メディアを通じて「大陸間弾道ミサイルに搭載するための水爆の爆発実験を行い成功した」と発表しました。
安倍総理はアメリカのトランプ大統領やロシアのプーチン大統領と相次いで電話で会談し、北朝鮮への対応について連携を強めていくことを確認しましたが、国際社会の警告に耳を傾けない北朝鮮に対して有効な手段を見出すことができるのか不透明で緊迫した情勢が続きます。
8月29日(火)
日本政府によると、午前5時58分ごろ北朝鮮西岸のスナンから東に向けて発射された弾道ミサイル1発は、北海道の上空を通過し、午前6時12分ごろ北海道の襟裳岬から東に約1180キロの太平洋上に落下したと推定されている。また、ミサイルの飛行距離は約2700キロ、最高地点の高度は襟裳岬付近の上空の約550キロと推定され、飛行距離などから今年5月14日に北朝鮮が発射し日本海に落下した中距離弾道ミサイル「火星12型」の可能性がある。
北朝鮮が国際機関などに事前に通告せずに日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射するのは、1998年8月に「テポドン1号」を発射した時以来のこと。
安倍首相はアメリカのトランプ大統領と電話で会談し、国連安全保障理事会の緊急会合の開催を要請し、北朝鮮に対する圧力を強化していくことで一致した。
安倍首相は記者団に「アメリカや韓国と協力し、中国やロシア、国際社会にも働きかけを行いながら、北朝鮮に強い圧力をかけ彼らの政策を変えなければならない」などと述べた。
アメリカのホワイトハウスはトランプ大統領の声明を発表し、「すべての選択肢はテーブルの上にある」として軍事的な選択肢も排除しない姿勢を示し、北朝鮮を強くけん制した。
8月30日(水)
北朝鮮、中距離弾道ミサイルの発射訓練と発表
北朝鮮の国営メディアによると、北朝鮮は29日、キムジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射訓練を行い、北太平洋の目標水域に予定通り落下した。韓国で8月31日まで行われているアメリカと韓国の合同軍事演習への対抗措置だとしている。
キム委員長は「訓練は、敵の基地があるグアム島をけん制するための前奏曲だ。今後、太平洋を目標として弾道ミサイルの発射訓練を多く実施すべきだ」「われわれはアメリカの言動を引き続き注視し、それによって今後の行動を決心する」などと述べ、アメリカをけん制した。
国連安保理、北朝鮮を非難する議長声明を全会一致で採択
声明は「安保理は北朝鮮による他の国連加盟国を脅かす暴挙を強く非難する」として北朝鮮を非難し「北朝鮮によるこうした行為の即時停止を求める」としている。
9月1日(金)
前原元外相、民進党の新代表に選出
前原元外務大臣と枝野元官房長官によって争われた民進党の代表選挙が行われ、前原元外務大臣が新しい代表に選出された。代表としての任期は、再来年9月末までの2年間。
9月3日(日)
北朝鮮、6回目の核実験を実施
北朝鮮北東部のハムギョン(咸鏡)北道プンゲリ(豊渓里)付近で3日午後0時29分ごろ、人工的な揺れが観測された。北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは午後3時半に「重大報道」として「ICBM(=大陸間弾道ミサイル)に搭載するための水爆の爆発実験を行い成功した」「核武力完成の目標を達成するのに意義ある契機となる」などと発表した。
小野寺防衛大臣「過去の核実験に比べてはるかに大きい」
北朝鮮が6回目の核実験を行ったことに対し、日本政府はNSC(=国家安全保障会議)の閣僚会合を2度開いた。
安倍首相は記者団に対し「北朝鮮の暴挙を止められるかどうかは国際社会の連携と連帯にかかっている」「アメリカ、韓国に加えて、中国、ロシアをはじめとする国際社会と連携して、断固たる対応をとっていく」などと述べた。
また、小野寺防衛大臣は記者団に対し、核実験の爆発の規模について「包括的核実験禁止条約機関(=CTBTO)の事務局の初期の分析ではマグニチュード5.8で、それをもとに試算すれば今回の核実験の推定出力はおよそ70キロトンになると考えられ、過去の核実験に比べてはるかに大きいと認識している」「今回の核実験が水爆実験だということも否定できない。これだけの出力ということは核実験が成功したと判断せざるを得ない」などと述べた。
北朝鮮のこれまでの核実験は、4回目の実験(2016年1月)が約6~7キロトン、5回目の実験(去年9月)が約11~12キロトン。広島の原爆が約15~16キロトン、長崎の原爆が約21キロトンだった。
安倍首相、アメリカ・ロシアの首脳と電話会談
安倍首相はアメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領と相次いで電話で会談した。
トランプ大統領との会談について、安倍首相は記者団に対し「今回の北朝鮮の暴挙は見過ごすことはできない。国際社会が強い決意をもって北朝鮮に対して、これまでになく強い圧力をかけていかなければならないとの認識で一致した」などと述べた。
プーチン大統領との会談については、「北朝鮮の暴挙は深刻な脅威との現状認識を完全に共有した」「ウラジオストクで今週、会談を行う予定だが、緊密に連携していこうということで完全に一致した」などと述べた。
今週の見通し
北朝鮮をめぐる国際社会の動きから目が離せません。
軍事力行使の可能性も否定していないアメリカがどのような判断をするのか。また、圧力よりも対話が重要であると主張してきた中国やロシアに変化があるのか注目されます。今週、安倍総理はロシアを訪問しプーチン大統領と会談を行うため、その行方が焦点です。
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