先週の政治振り返り
北朝鮮は弾道ミサイルでグアム周辺を包囲射撃する作戦を「慎重に検討している」と発表し、アメリカを強くけん制しました。島根県・広島県・高知県の上空を通過させる、などミサイル発射計画の詳細にも言及しています。一方のアメリカもトランプ大統領が北朝鮮への警告を強めるなど、両国のつばぜり合いがエスカレートしています。
日本政府は、北朝鮮が言及した3県に愛媛県を加えた4県に地上配備型迎撃ミサイルPAC3を展開し、北朝鮮からのミサイルが落下する場合に備えるなど緊張感が高まっています。
8月7日(月)
小池都知事側近「日本ファーストの会」設立
小池都知事の側近である若狭勝衆議院議員は記者会見を開き、自らを代表とする政治団体「日本ファーストの会」を設立したことや、政治塾を発足させ、来月16日に開く初会合に小池知事を講師に招くことを明らかにした。
これについて小池都知事は「国政については若狭氏にお任せしている。改革の思いや志を共有しているので国政で活躍することを大いに願っている」などと述べた。
8月8日(火)
米軍、オスプレイ事故を「クラスA」に分類
沖縄・普天間基地所属するアメリカ軍の輸送機オスプレイがオーストラリア沖合で墜落した事故について、米軍は4段階ある事故の評価のうち最も重大な「クラスA」に分類した。
8月9日(水)
北朝鮮「弾道ミサイルによるグアム周辺への包囲射撃作戦を検討」
北朝鮮で弾道ミサイルの運用を担う「戦略軍」の報道官は「アメリカに厳重な警告信号を送るために中距離弾道ミサイル『火星12型』でグアム島周辺への包囲射撃を断行するための作戦を慎重に検討している」などとする声明を国営メディアを通じて発表した。
声明では、アメリカ軍が先月グアムの基地から爆撃機を朝鮮半島周辺に派遣したことや、今月ICBM(=大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行ったことなどを非難している。
8月10日(木)
北朝鮮ミサイル発射計画「島根県、広島県、高知県の上空を通過」
北朝鮮で弾道ミサイルの運用を担う戦略軍の司令官は、9日に発表したグアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画について、詳細を発表した。
検討しているのは弾道ミサイル「火星12型」4発の同時発射で、「日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過し、3356.7キロの距離を1065秒間飛行した後、グアム島の周辺30から40キロの海上に落ちるだろう」とした。今月中旬までに計画を完成させて、キムジョンウン委員長に報告し命令を待つとしている。
日報問題めぐり閉会中審査。稲田氏不在のまま
衆参それぞれで国会閉会中に審議を行う「閉会中審査」が行われ、南スーダンに派遣された自衛隊のPKO部隊の日報をめぐる問題について議論が行われた。
焦点となっている当時の稲田防衛大臣の関与の有無について、小野寺防衛大臣は「『(大臣への報告が)ない』という人は明確に終始一貫しており、『(大臣へ報告)したかもしれない』という人は、二転三転し曖昧なこところもあった」などと説明した。
民進党など野党側は、審議への稲田元大臣の出席を求めたが、与党側が認めず、稲田氏が不在の中での審議となった。
8月11日(金)
アメリカ大統領、北朝鮮を強く警告。国防長官は外交での解決を強調
北朝鮮が検討しているグアム周辺に向けた弾道ミサイル発射について、アメリカのトランプ大統領は「彼(キムジョンウン朝鮮労働党委員長)がグアムに何かしたら、誰も見たことのないようなことが北朝鮮で起きる。これは挑発ではない」と北朝鮮に対し強く警告した。
一方で、アメリカのマティス国防長官は記者会見で「私の任務と責任は軍事的な選択肢を持つことだが、現在のアメリカの取り組みは外交が主導していて私はそこにとどまりたい」と述べ、外交による問題解決を優先する考えを示した。
防衛省、米軍オスプレイの飛行を容認
沖縄の普天間基地に所属する米軍の輸送機オスプレイが5日にオーストラリア沖合で訓練中に墜落し乗員3人が死亡する事故を起こしたことをめぐり、防衛省は国内でのオスプレイの飛行を自粛するよう米側に求めてきた。
そんな中で防衛省は見解を発表し、オスプレイの飛行を容認する考えを示した。
発表では、事故が陸上への着陸よりもはるかに複雑な海上を移動中の艦船への着艦の最中に発生したものであることや、オスプレイに安全な飛行を妨げるような機械的・構造的な欠陥がないと米軍が認識していることなどから、「米軍が、安全な飛行は可能だと説明していることは理解できる」などとしている。
8月12日(土)
北朝鮮ミサイルに備え、PAC3が4県に展開
北朝鮮によるグアム周辺への弾道ミサイル発射計画において、上空をミサイルが通過すると名指しされた島根県、広島県、高知県に愛媛県を加えた4つの県の陸上自衛隊の駐屯地に、地上配備型迎撃ミサイルPAC3が展開した。
今週の見通し
17日(木)にはアメリカ・ワシントンで、いわゆる「2プラス2」が行われます。日本側は外務大臣・防衛大臣が、アメリカ側は国務長官・国防長官が参加する協議で、トランプ政権が発足してから初めでの開催となります。核・弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮への対応などについて意見交換する予定です。
一方、21日からはアメリカ軍と韓国軍による定例の合同軍事演習が朝鮮半島で行われる予定で、反発を強める北朝鮮が弾道ミサイル発射などの挑発行為に出る可能性が懸念されます。
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