先週の政治振り返り
内閣改造が行われ、新しい顔ぶれのもとで新内閣がスタートしました。菅官房長官や麻生副総理など政権の骨格が留任する一方で、安倍首相と一定の距離を持ってきた野田聖子氏を総務相に起用するなど「挙党体制」をアピールする狙いもあると指摘されています。大臣経験者の再登板も多く、世論調査での内閣支持率が下落する中で「安定感」を重視した人選となりました。
北朝鮮をめぐっては、国連の安全保障理事会で新たな制裁決議が全会一致で採択されました。北朝鮮の主な収入源である石炭・鉄・鉄鉱石・海産物の輸出を一切禁止する厳しい内容で、中国とロシアも賛成し、北朝鮮に対する国際社会の足並みがそろった形です。ただ、中国・ロシアは北朝鮮と対話を行う重要性も強調していて、今後も事態の推移が注目されます。
8月3日(木)
安倍新内閣が発足。自民党役員も新体制スタート
安倍首相は内閣改造を行い、第3次安倍再々改造内閣が発足した。菅官房長官や麻生副首相らは留任し、加計学園の獣医学部新設問題を抱える文科相には林芳正氏が、日報問題からの組織立て直しや信頼回復が求められる防衛相には小野寺五典氏が就任した。
ポスト安倍の1人として注目される岸田外相の後任には河野太郎氏が就任した。
大臣経験者を多く起用する手堅い人選であると同時に、安倍首相と一定の距離を置いてきた野田聖子氏を総務相に起用することで挙党体制をアピールする狙いがあると指摘されている。
同時に行った自民党役員人事では、二階幹事長が続投。外相から外れた岸田氏は政務調査会長として初めて「党三役」入りを果たした。
安倍首相、会見で国民におわび。経済再生を強調
安部首相は、新内閣発足を受けて行った記者会見の冒頭で、森友学園への国有地売却問題、加計学園の獣医学部の新設問題、南スーダンの自衛隊部隊の日報問題などについて「さまざまな問題が指摘され、国民から大きな不信を招く結果となった。改めて深く反省して、国民におわび申し上げたい」と陳謝した。新内閣については「結果本位の『仕事人内閣』だ」と評した上で、「最優先すべき仕事は経済の再生だ」と強調した。
8月5日(土)
米軍オスプレイ、オーストラリア沖合で訓練中に墜落
アメリカ海兵隊によると、沖縄のアメリカ軍・普天間基地に配備されている輸送機オスプレイがオーストラリア沖合で訓練中に着水する事故を起こした。乗組員26人のうち23人は救助されたが、3人が行方不明となっている。
8月6日(月)
国連安保理、北朝鮮への新たな制裁決議を全会一致で採択
北朝鮮がICBM(=大陸間弾道ミサイル)の発射実験を7月4日と28日に実施したことを受けて、国連の安全保障理事会の会合が開かれ、北朝鮮に対する新たな制裁決議が全会一致で採択された。
新たな制裁決議では、北朝鮮の主な収入源である石炭・鉄・鉄鉱石・海産物の輸出について、上限や例外を設けず一切禁止としている。
制裁決議案を主導したアメリカは「北朝鮮に対する過去最大の経済制裁だ」として各国に着実な実行を求めた。
北朝鮮に影響力を持つ中国とロシアはともに賛成したが、制裁とともに「6か国協議」を通じて北朝鮮と対話を行う重要性を強調している。
小野寺防衛相、米軍にオスプレイ飛行自粛を要請
沖縄のアメリカ軍普天間基地に所属する輸送機オスプレイがオーストラリアの沖合で訓練中に着水し3名が行方不明になっている事故を踏まえ、小野寺防衛相はアメリカ軍に対し、日本国内でのオスプレイの飛行を自粛するよう要請した。
安倍首相「防衛大綱」見直し検討。「敵基地攻撃能力」検討予定なし
安倍首相は記者会見で「防衛大綱」について、「あるべき防衛力の姿はいかなるものかといった観点から見直しに向けて不断の検討を行っていく。南西地域の防衛強化や、弾道ミサイル防衛の強化、宇宙、サイバーといった新たな防衛も検討課題になる」と述べた。
「防衛大綱」は10年程度の安全保障政策の指針で、現在の大綱は2013年12月に定められた。策定からまだ4年も経過していないが、弾道ミサイルや核兵器の開発を進める北朝鮮の脅威が高まっていることなどを背景に見直しの検討を指示した形。
一方で安倍首相は、「敵基地攻撃能力」については「現時点で保有に向けた具体的な検討を行う予定はない」と述べた。
今週の見通し
南スーダンのPKOに派遣されていた自衛隊部隊の日報問題をめぐり、10日(木)には国会で「閉会中審査」が開かれ議論される予定です。野党側は稲田全防衛大臣の出席を求めていますが与党側はこれを拒んでおり、稲田氏が不在の中での議論となる可能性が高くなっています。
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