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先週の政治振り返り

北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射しました。これまでで最も高い高度、最も長い飛翔時間となり、ミサイル開発の進展が伺えます。安倍首相とトランプ大統領は北朝鮮への圧力強化の方針を確認しましたが、北朝鮮への影響力を持つ中国やロシアとの間には北朝鮮への対応について温度差があり、現状を打開できる見通しは立っていません。
民進党の蓮舫代表、野田幹事長が辞任する考えを示しました。近く執行部を刷新し、安倍政権への批判の受け皿になれていない現状からの脱却を目指します。

7月24日(月)

安倍首相、衆院の閉会中審査で「加計学園」疑惑を全否定

衆議院の予算委員会で、国会閉会中に審議を行う「閉会中審査」が行われ、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐり議論が行われた。加計学園の理事長が安倍首相の友人であることから、野党は加計学園が特別扱いをされたのではないかと追及したが、安倍首相は、加計理事長から獣医学部新設の話を聞いたことはないと述べ、便宜を図ったことはないことを強調した。
安倍首相はまた、加計学園が獣医学部の新設を申請していることを知ったのは2017年1月20日の国家戦略特区諮問会議でのことだと説明した。

普天間基地の辺野古めぐり、沖縄県と国が再び法廷闘争

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設工事をめぐって、沖縄県は工事の差し止めを求める裁判を那覇地方裁判所に起こした。この問題をめぐり、沖縄県と国が再び法廷で争うこととなった。

7月25日(火)

加計学園問題めぐり参議院でも閉会中審査

前日の衆議院に続いて参議院の予算委員会でも国会閉会中に審議を行う「閉会中審査」が開かれ、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐり議論が行われた。
安倍首相が加計学園が獣医学部の新設を申請していることを知ったのは2017年1月20日の国家戦略特区諮問会議でのことだと説明していることについて、野党は安倍首相の過去の国会での答弁との食い違いを追及した。それに対し安倍首相は「少し混同があった」などと述べて過去の答弁を修正し謝罪した。ただ、議論は平行線に終わり特に新たな事実は判明しなかった。

野田元総理、民進党の幹事長を辞任

“野田氏は民進党の会合で、東京都議会議員選挙で議席を減らした責任を取って幹事長を辞任する意向を表明した。
蓮舫代表は野田幹事長の後任を含めて党の役員人事を行うことになる。また、蓮舫代表は次の衆議院選挙で、東京の小選挙区から立候補する考えを明らかにした。”野田氏は民進党の会合で、東京都議会議員選挙で議席を減らした責任を取って幹事長を辞任する意向を表明した。
蓮舫代表は野田幹事長の後任を含めて党の役員人事を行うことになる。また、蓮舫代表は次の衆議院選挙で、東京の小選挙区から立候補する考えを明らかにした。”

7月27日(木)

蓮舫氏、民進党の代表を辞任の意向

蓮舫氏は記者会見で「より強い民進党を新たな執行部に率いてもらうのが最善の策だと判断した」などと述べ代表を辞任する考えを明らかにした。また、蓮舫氏は次の衆議院選挙で東京の小選挙区から立候補する考えを明らかにしていたが「立ち止まって考えたい」と述べ、再検討する考えを示した。

7月28日(金)

「日報」問題めぐる調査結果公表。大臣への事前報告は事実認定されず

南スーダンに派遣されていた自衛隊のPKO部隊の「日報」が、当初は破棄したと説明していたにも関わらず実際には陸上自衛隊で保管されていた問題で、防衛省の特別防衛監察による調査結果が公表された。
日報が保管されていたことが報道で明らかになる前に稲田大臣が報告を受けていたかどうかについては「書面による報告や非公表を了承した事実はなかった」とする一方で「日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できない」としており、大臣への報告が実際にあったかなかったのかは曖昧なままとなった。関係者の証言が食い違い、どちらが正確か解明しきれなかった。
また、一連の問題の発端は陸上自衛隊の不適切な対応だと指摘した。日報に関する情報公開請求に対して、陸上自衛隊の司令部などが意図的に不開示にしたと事実認定した。
さらに、陸上自衛隊に日報が保管されていたことを公表しないと最終的に決定したのは黒江事務次官だとした。

稲田防衛大臣「日報」問題めぐり辞任

稲田防衛大臣は、南スーダンに派遣されていた自衛隊のPKO部隊の「日報」をめぐる問題の調査結果を公表した上で「防衛省・自衛隊を指揮・監督する防衛大臣としてその責任を痛感している。防衛大臣としての職を辞することとした。先ほど、安倍総理大臣に辞表を提出し、了承された」と述べた。
防衛省の事務方トップの黒江事務次官、陸上自衛隊トップの岡部陸上幕僚長も辞職することとなった。

北朝鮮への制裁措置を拡大。中国企業を資産凍結対象に追加

政府は、北朝鮮に対する制裁措置を強化するため、中国の「丹東銀行」や海運会社「大連グローバル・ユニティー・シッピング」を含む5つの団体と9人を資産凍結の対象に新たに加えることを閣議で了解した。
中国の2つの団体はアメリカのトランプ政権も制裁を科すと発表しており、中国への働きかけについて日米で足並みをそろえた形。
これに対して中国外務省の報道官は記者会見で「中国は絶対に受け入れないし、日本に対して直ちに誤った決定を撤回するよう求める」「日本が独断専行を続けるのなら中国と日本の関係や、朝鮮半島問題における両国の協力について重大な政治的障害を作ることになる」などと強く反発した。

7月29日(土)

北朝鮮が28日夜にICBM級弾道ミサイルを発射、日本のEEZ内に落下

日本政府によると、7月28日午後11時42分に北朝鮮中部から弾道ミサイルが発射された。ミサイルは3500キロを大きく超える高度に達し、約45分、約1000キロ飛び、奥尻島の北西約150キロの日本のEEZ(=排他的経済水域)内に落下したとみられる。
3500キロを超える高度、約45分間の飛翔時間はともに過去最高、最長。飛距離などから、今回のミサイルは7月4日に引き続き、ICBM(=大陸間弾道ミサイル)級の弾道ミサイルだったとみられる。
日本の船舶などに被害は確認されていない。日本政府は北朝鮮に対して厳重に抗議した。

北朝鮮、ICBM「火星14型」の2回目の発射実験に成功と発表

28日夜に発射した弾道ミサイルについて、北朝鮮は国営メディアを通じて、キムジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、ICBM(=大陸間弾道ミサイル)「火星14型」の2回目の発射実験に成功したと発表した。
発表によると、高度は3724.9キロに達し、飛距離998キロを47分12秒で飛行したとしている。
キム委員長は「ICBMを奇襲発射できる能力が誇示され、アメリカ本土全域がわれわれの射程圏内にあることがはっきりした」と述べたと伝えている。

7月31日(月)

日米首脳、北朝鮮への圧力強化で一致

安倍首相とアメリカのトランプ大統領は北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて約50分間電話で会談し、日米の防衛体制や能力向上のため具体的行動を進めるとともに北朝鮮への圧力を強化していくことで一致した。国連安全保障理事会での新たな制裁決議の採択を目指すとともに、中国・ロシアに対して働きかけを強めることを確認した。

今週の見通し

安倍政権は3日(木)に内閣改造を行います。加計学園の獣医学部設置をめぐる疑惑などを背景に下がった内閣支持率を上昇させて政権運営の基盤を安定させることができるかが焦点です。