先週の政治振り返り
政府の新たな試算が公表され、日本が国際公約としている2020年度の「基礎的財政収支の黒字化」は達成が困難であることが改めて浮き彫りになりました。また、日銀は2%の物価上昇率目標の達成時期の見通しについて、通算で6度目となる先延ばしを発表しました。難しい経済・財政運営が続いています。
南スーダンに派遣されていた自衛隊部隊の「日報」が、廃棄したと当初説明していたにもかかわらず実際には保管されていた問題で、稲田防衛大臣の関与の有無が焦点として急浮上しました。
7月18日(火)
2020年度の財政健全化目標達成は困難、政府が新たに試算
内閣府が公表した最新の試算によると、名目で3%程度の高い経済成長が続くとともに2019年10月に消費税率を10%に引き上げた場合でも、2020年度の「基礎的財政収支」は8兆2000億円程度の赤字が見込まれる。
政府はこれまで、2020年度の基礎的財政収支を黒字化することを国際公約としてきたが、達成は非常に困難であることが改めて浮き彫りとなった。
7月20日(木)
日銀、金融緩和策を維持。2%物価上昇率の達成時期は6度目の先延ばし
日銀は19日・20日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策を含む今の大規模な金融緩和策を維持することを決めた。
また、経済と物価の最新の見通し「展望レポート」では、日銀が目標としている2%の物価上昇率の達成時期の見通しについて「再来年度・2019年度ごろになる可能性が高い」とした。これまでの「来年度・2018年度ごろになる可能性が高い」から1年先延ばしにした形。日銀が目標達成時期の先延ばしをするのは6度目。
政府、概算要求基準を決定。人材投資などに約4兆円の特別枠
「概算要求基準」は、各省庁がこれから来年度予算案を編成していく上でのルールにあたる。
それによると、年金・医療などの社会保障費や待機児童の解消など子育て支援については今年度当初予算から上積みして要求することを認める。一方で、社会保障以外については、各省庁に一律で要求額を10%減らすよう求める。
そのうえで、人材投資や企業の生産性向上にかかる政策に充てる費用として約4兆円の特別枠を設けるとしている。
日印原子力協定が発効。インドへの原発輸出が可能に
日印原子力協定は、平和利用の目的に限って日本の原子力関連技術などをインドに輸出できるようにするもので、2016年11月に両政府が署名していた。この協定が正式に発効し、日本はインドへの原発輸出を推進したい考え。
7月21日(金)
「南スーダン日報問題」で稲田防衛相に聞き取り調査。大臣は事前報告を否定
この問題は、南スーダンに派遣されていた自衛隊の部隊の日々の活動などを記した「日報」が、情報公開請求に対して「破棄したため陸上自衛隊には存在しない」として不開示とされていたものの、実際には電子データが保管されていたもの。
日報はその後、陸上自衛隊とは別の組織である「統合幕僚監部」に見つかったとして、2017年2月7日に公開されている。
陸上自衛隊の内部に実際には保管されていた事実を防衛省幹部が把握した後にも非公表としてきたことについて、稲田大臣は「報告を受けたことはない」と述べてきたが、大臣に対して2017年2月に報告したという証言が報道されている。仮に大臣が報告を受けていた場合、大臣は国会で虚偽の答弁をしていたことになるため、報告の有無が焦点となっている。
この問題は大臣直轄の「防衛監察本部」が調査してきたが、ルール上は調査の対象外である稲田大臣への聞き取り調査が行われた。大臣は調査に対し、報告を受けたことはないとの従来の認識を説明した。
今週の見通し
国会閉会中に審議を行う「閉会中審査」を24日(月)と25日(火)に安倍首相出席のもとで行います。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設や、南スーダン日報をめぐる問題などが議論され、安倍首相や稲田大臣らが追及されます。
日報問題をめぐっては、調査結果が今週中にも公表される見通しで、稲田大臣の問題への関与がどのように認定されるかが焦点です。
一方で民進党は25日(火)に行う会議で、党の体制を一新する見通しです。
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