先週の政治振り返り
北朝鮮が4週連続となるミサイル発射を行いましたが、今回は国連安保理決議に違反する弾道ミサイルではなく、短距離の地対艦ミサイルでした。日本海に空母2隻を派遣するなど北朝鮮への圧力を強化してきたアメリカに対する反発とみられ、今後も警戒が続きます。
国内政治では、天皇陛下の退位を実現する特例法案が成立しました。政府は今後、具体的な退位の期日や新しい元号などの検討を進めることになります。
6月6日(火)
高浜原発3号機が再稼動
関西電力は高浜原発(福井県)の3号機を再稼動させた。全国で運転中の原発は、川内原発(鹿児島県)2基、伊方原発(愛媛県)1基、高浜原発2基の合計5基となった。
6月8日(木)
北朝鮮、地対艦巡航ミサイル数発を発射
東部のウォンサンから発射された地対艦巡航ミサイルは約200キロ離れた日本海に落下した。国連安保理の制裁決議違反である弾道ミサイルではなく、日本の安全保障に影響するものでもないことから、この発射に対して日本政府は抗議などをしていない。
1~3月期のGDP改定値、年率実質でプラス1.0%
内閣府が発表した。5期連続でプラス成長だが、先月の速報値段階のプラス2.2%から下方修正された。これで2016年度1年間では、実質経済成長率がプラス1.2%となり、プラス1.3%としていた政府の見通しを下回った。
6月9日(金)
北朝鮮、新型の地対艦巡航ミサイルの発射実験に成功と発表
朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、北朝鮮が8日に日本海に向けて発射した短距離ミサイルについて、新型の地対艦巡航ミサイルの初めての発射実験に成功したと発表した。ミサイルは4月の軍事パレードに登場したもので、キムジョンウン朝鮮労働党委員長が実験に立ち会ったという。
政府、加計学園めぐる内部文書を追加調査
学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画をめぐり「官邸の最高レベルが言っている」などと記した内部文書について、松野文部科学大臣は記者会見で追加調査することを明らかにした。
文部科学省は先月の調査の結果「文書の存在は確認できなかった」と発表し、菅官房長官も「怪文書のような文書だ」などとしていた。ところが、当時の事務次官だった前川氏の他、現役職員も報道各社の取材に対して文書の存在を証言したこともあり、野党が追加調査を求め、政府を批判する世論も高まっていた。
公職選挙法改正案が成立、衆院「1票の格差」是正
改正案は参議院本会議で、自民、公明、民進、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県は小選挙区が1つずつ減り、北海道、宮城、福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、愛媛、福岡、長崎の13都道府県で区割りの線引きが変更される。区割り見直しの対象は19都道府県の97選挙区。
比例代表の定数も4人減り、衆議院の議席数は小選挙区289、比例代表が176の合計456人で戦後最少となる。新たな区割りは来月中旬にも施行され、それ以降に公示される衆議院選挙から適用される。
天皇「退位」特例法案、参院で可決、成立
参議院本会議で天皇陛下の退位を可能する特例法案の採決が行われ、退席した自由党を除く全会一致で可決され成立した。特例法は天皇陛下の退位と皇太子さまの即位を明記し、陛下の退位する日は法律の公布から3年を超えない範囲内で政令で定めるとしている。天皇の退位は江戸時代の光格天皇以来、約200年ぶり。天皇陛下の退位後の称号は「上皇」となる。
政府「骨太の方針」を閣議決定
政府は「経済財政運営と改革の基本方針2017」いわゆる「骨太の方針」を閣議決定した。政府はこの「骨太の方針」に基づいて来年度予算案の編成に当たることになる。
「経済財政運営と改革の基本方針2017」
「人材への投資を通じた生産性向上」を改革の中心と位置づけ、幼児教育や保育の無償化、待機児童の解消を目指して安定的な財源を確保する方法を検討するとし、財政面での効率化や増税、新たな社会保険方式の活用などを含めて年内に結論を得るとしている。
財政健全化については、基礎的財政収支(プラーマリーバランス)を2020年度までに黒字化するという従来の目標を維持すると共に「債務残高対GDP比の安定的な引下け?を目指す 」とした。GDPを拡大すれば債務残高の対GDP比は引き下げることが可能なため、この新たな目標は、従来の財政健全化目標の達成が難しい中で今後、政府が財政健全化への取り組みの軌道修正を図る布石とも見られている。
政府、新たな成長戦略を閣議決定
政府は新たな成長戦略「未来投資戦略2017」を閣議決定した。
「未来投資戦略2017」
長期にわたる生産性の伸び悩みや新たな需要創出の欠如という「長期停滞」を打破するカギは、ビッグデータや人工知能、ロボットなどのイノベーションをあらゆる産業や社会に取り入れることで社会の課題を解決する「Society5.0」の実現だとしている。健康寿命の促進、移動革命の実現などを戦略分野と位置付けている。
今週の見通し
国会は6月18日に会期末を迎えますが、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐって与野党が激しく対立しており、国会の会期は延長される可能性が高くなっています。
そんな中、学校法人「加計学園」の獣医学部設置をめぐり「官邸の最高レベルが言っている」などと記した文科省の内部文書について、政府はこれまで文書の存在を認めてこなかった姿勢を一変し、文部科学省が追加調査を行うと発表しました。調査結果の公表時期などは示されていません。政府への批判をひとまず避ける狙いがあるとみられます。この問題をめぐる新たな事実が出てくるのかや、世論の動向などが焦点となります。
コメント