先週の政治振り返り
憲法記念日にあたる5月3日、安倍首相が憲法改正をめぐり、自衛隊の存在を憲法9条に明記し、2020年の施行を目指す考えを明らかにしました。これまでも安部首相は憲法改正に意欲を示してきましたが、具体的な中身や改正の時期にここまで踏み込んで発言したのは初めてです。自民、公明の与党や、憲法改正に前向きな日本維新の会、日本のこころ、は今回の発言を前向きに受け止めていますが、民進党、共産党、社民党、自由党の野党各党は「安部首相は立憲主義を踏みにじっている」などと反発しています。憲法改正をめぐる議論が今後活発になり、次の選挙でも争点になっていくものとみられます。
5月1日(月)
自衛隊、安保関連法で可能となった「米韓防護」初任務
海上自衛隊の護衛艦「いずも」とアメリカ軍の補給艦が千葉県の房総半島の沖合で合流し、「いずも」は「米韓防護」を実施した。「米韓防護」は去年3月に施行された安全保障関連法で可能となった任務で、実施は今回が初めて。
トランプ大統領、北朝鮮めぐり中国の影響力行使を促す
アメリカのトランプ大統領はアメリカCBSテレビのインタビューで、北朝鮮の核・ミサイル問題について「貿易よりも重要だ」としたうえで、「もし中国が協力し問題を解決するなら、アメリカにとってよくない貿易協定にする価値がある」と述べ、中国が対北朝鮮をめぐり協力すれば貿易面で譲歩する考えを示し、中国に北朝鮮への影響力を行使するよう促した。
トランプ大統領「正しい状況なら金正恩と会う」核開発の放棄を促す
アメリカのトランプ大統領はアメリカメディア・ブルームバーグのインタビューで「正しい状況のもとでなら、金正恩朝鮮労働党委員長と会うだろう」と述べ、北朝鮮に対して核・ミサイル開発の放棄促した。
5月2日(火)
北朝鮮メディア、アメリカと連携深める日本を強くけん制
北朝鮮の国営メディアである「労働新聞」は、海上自衛隊がアメリカ軍の空母・カール・ビンソンと共同訓練を行ったことを非難した上で、「アメリカに追従して無事でいられると思うのは愚かなことだ」「朝鮮半島で戦争が起きれば、最も大きな被害を受けるのは日本だ」などと論評し、アメリカとの連携を深める日本を強くけん制した。
米ロ首脳、電話会談で北朝鮮問題の解決へ協力で合意
アメリカのトランプ大統領と、ロシアのプーチン大統領が電話で会談し、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて協力することで合意した。
5月3日(水)
安倍首相、憲法を改正し2020年施行を目指す意欲を表明
安倍首相は、憲法改正を目指す会合にビデオメッセージで参加した。
メッセージの中で安倍首相は「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っている」と述べた。
具体的な憲法改正の項目については、「少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考える」「もちろん9条の平和主義の理念は未来に向けてしっかりと堅持していかなければならない。そこで『9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む』という考え方は、国民的な議論に値するのだろうと思う」と述べ、自衛隊の存在を明記する条文を憲法9条に追加する考えを示した。
その他、「高等教育についても全ての国民に真に開かれたものとしなければならない」として、教育無償化にも言及した。
安倍首相はこれまでも憲法改正に意欲を示してきたが、具体的な改憲項目や時期まで踏み込んで発言するのは今回が初めて。
自民党の二階幹事長は「積極的に支持し、協力していくことが当然だ」と述べた。
連立政権を組む公明党の山口代表は「これから国会の中で十分深く議論され、国民の理解を伴って、合意が作られていくことが望ましい」と述べた。
その他、憲法改正に賛成の立場の日本維新の会、日本のこころ、は安倍首相の発言を評価している。
一方、民進党、共産党、社民党、自由党は反発している。
民進党の蓮舫代表は「総理大臣が『憲法を変える。テーマはこれだ』と言うこと自体が、国民主権、立憲主義に反している」「安倍総理大臣は立憲主義を踏みにじって、自分のレガシーのために改憲したいのではないのかと疑ってしまう」と述べた。
共産党の志位委員長は「2020年と年限も含めて9条改定を表明したのは極めて重大で、絶対許さないという思いで戦いを強めたい」「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対している野党4党は一致してこの点を押し出して選挙を戦うことになる」と述べた。
社民党の吉田党首は「社民党は、いま憲法を変える必要はないと思っており、そのことを一貫して訴えたい」と述べた。
北朝鮮メディア、中国を名指しでけん制
北朝鮮の国営メディア・朝鮮中央通信は、中国メディアが北朝鮮の核・ミサイル開発を批判していることを非難するとともに、中国がアメリカとともに北朝鮮に圧力をかけているとして「親善の伝統を抹殺しようとする許しがたい妄動にほかならない」「中国は両国関係の柱を折る無謀な妄動がもたらす重大な結果についてよく考えたほうがよい」などとした。北朝鮮が中国を名指しで批判するのは異例。
5月4日(木)
韓国政府、慰安婦問題めぐる報告書を発刊
韓国政府は、慰安婦問題をめぐる報告書を発刊した。民間の研究機関によるもので、韓国政府の公式見解ではないとしている。報告書では、2015年12月の「日韓合意」を評価する一方で、ソウルの日本大使館前に設置された少女像については「日本が10億円を拠出したことで少女像の移転について圧迫する態度をとることは合意を曲解したものだ」と主張している。
今週の見通し
ゴールデンウィーク明けで、国会の審議が再開され、「テロ等準備罪」新設法案を軸に与野党が対立する構図が続きます。法案審議の進捗次第では国会会期の延長も現実味を増すことになり、政府・与党はスケジュールも念頭に置きながら国会運営を行っていくことになります。
9日には韓国の大統領選挙の投票日をむかえます。世論調査でリードするムンジェイン候補は北朝鮮に融和的な姿勢を示していて、選挙結果を踏まえ北朝鮮をめぐる国際情勢の変化が焦点です。
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