先週の政治振り返り

天皇陛下の退位をめぐって与野党が合意に至りました。与党側が主張してきた特例法での対応を結論とする一方で、皇室典範の中に規定を設けることや、今回のことが将来の先例になりうる、などとすることで野党側の主張にも一定の配慮をした形です。今後、この与野党合意を踏まえて政府が法案をゴールデンウィーク前後に国会に提出し、今の国会で成立する見通しとなりました。天皇陛下の退位をめぐる主要な論争は実質的に終了し、政府が恐れた「政争の具になること」は回避されました。

3月14日(火)

稲田防衛相、森友学園の代理人として出廷記録。これまでの答弁を謝罪し訂正

大阪の学校法人・森友学園の籠池理事長との関係について、稲田大臣はこれまで「裁判を行ったことも、顧問弁護士であったこともない」などと答弁してきた。しかし、森友学園が起こした訴訟に関する裁判記録に、2004年12月に稲田氏が訴訟代理人として出廷した記録が残されていることがわかった。稲田大臣はこれまでの答弁を「私の全くの記憶に基づき答弁したものだ」とした上で、答弁を訂正し謝罪したが、野党が求める大臣の辞任は否定した。

3月15日(水)

アメリカの連邦地裁、大統領令の執行停止を命じる仮処分

ハワイ州の連邦地方裁判所は、中東・アフリカ6か国の人の入国を制限する大統領令について、信教の自由などを定めた憲法に違反する恐れがあるとして、全米で執行の停止を命じる仮処分を決定した。この大統領令は、今年1月に出した大統領令(その後執行停止)よりも対象を絞っていたものだが、再び裁判所によって執行停止の判断が下された形。トランプ大統領は裁判所で争う姿勢を示している。

4年連続の賃上げも、勢いにかげり

経営側が労働組合に一斉に回答を示す集中回答日となった。4年連続での賃上げとなったが、去年に比べて低い水準にとどまった。中小企業の交渉はこれから本格化する。

3月16日(木)

稲田防衛相、南スーダンPKO部隊の日報めぐり調査を指示

南スーダンのPKO部隊の活動を記録した「日報」のデータをめぐり、防衛省はこれまで陸上自衛隊は破棄し、その後別の部署で見つかったとして公開した経緯がある。しかし、実際には日報のデータが陸上自衛隊によって保管されていた、と報じられた。稲田大臣は徹底した調査を指示するとともに、自らの責任で改善したいと述べ、野党が求める辞任を否定した。

森友学園「安倍総理夫人から100万円の寄付」23日に国会で証人喚問へ

森友学園の籠池氏は「2015年9月に安倍昭恵首相夫人に講演してもらった時に寄付金100万円を頂いた」などと話した。これに対し菅官房長官は会見で「安倍首相は自分でも昭恵夫人や事務所など第三者を通じても寄付をしていない」などと否定した。
また、自民党・公明党の国会対策委員長は、来週23日に国会で籠池氏の証人喚問を行うことで一致した。

公明党「テロ等準備罪」法案を了承

公明党は会合で「テロ等準備罪」について、処罰対象を「組織的犯罪集団」に絞るなど要件が厳格化されたことや、対象となる犯罪を減らしたことなどから国民の理解が得られるとして、法案を了承した。

3月17日(金)

天皇陛下の退位「特例法制定」で与野党歩み寄り

「特例法」での対応を求める与党側と、「皇室典範の改正」を求める野党側の間に立って調整を行ってきた衆議院・参議院の議長・副議長が国会の考え方を取りまとめ公表した。与党側が主張している「特例法の制定」を結論とする一方で、皇室典範の中に規定を設けることや、今回のことが将来の先例になりうる、などとし野党側の主張にも配慮した。また、安定的な皇位継承のための「女性宮家」創設などを検討するように政府に求めている。

政労使、繁忙期の長時間労働の上限を「月100時間未満」で合意

働き方改革」の目玉である長時間労働の是正をめぐり、政府・経団連・連合は時間外労働の上限規制について、繁忙期の上限を「月100時間未満」とすることを確認した。退社時間と翌日の勤務開始までの休憩時間を設ける「インターバル規制」の導入は努力義務とする。安倍首相は、建設・運輸などの業界は規制適用まで猶予期間を設ける考えを示した。

3月18日(土)

G20声明で「保護主義に対抗」の文言なし。アメリカ新政権への配慮か

アメリカのトランプ政権発足後初めてのG20(主要20か国、財務相・中央銀行総裁会議)が閉幕した。G20が発表した声明には、過去の声明で盛り込んできた「保護主義に対抗する」という文言がなかった。また、地球温暖化対策をめぐっても、これまで明確に支持してきた国際的枠組み「パリ協定」への言及がなかった。いずれも「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権への配慮とみられる。

今週の見通し

大阪の学校法人「森友学園」が国有地を鑑定価格より格安で取得していた問題をめぐり、23日(木)に森友学園の籠池理事長に対する証人喚問が国会で行われます。籠池氏は安部首相から昭恵夫人を通じて100万円の寄付金を受け取ったなどと証言していますが、安部首相側はこれを否定し言い分が食い違っています。事実と異なる証言をすれば偽証罪にも問われる証人喚問の場で籠池氏からどんな説明があるのか、政策議論とは懸け離れた話題ですが焦点となっています。