法案が衆議院を通過して「60日ルール」で成立確実って?
法案は2015年7月16日に衆議院を通過し、議論の場は参議院に移りました。憲法59条(いわゆる60日ルール)によって、参院が衆院から法案を受け取ってから60日が経っても結論を出せない場合に衆院で法案を再可決させることもできるので、「平和安全法制」が今の国会で成立する見通しとなりました。
しかし参院の存在意義を損なうことにもなるこのルールは規定は結局は使われず、参院は9月17日に委員会で、19日で法案を採決、可決。野党やデモ等が強く反発する中、法案は成立しました。
政府は今の国会で安保法案を成立させることを目指して、「戦後最大の会期の延長」を行いました。
「会期の延長」とは何か。そもそもこの国会(通常国会)の会期は150日と定められていて、その会期を「1回だけ」延長することができるのです。
自民党の谷垣幹事長は6月22日、法案の十分な審議時間を確保するために、9月27日までの「戦後最大の会期延長」を決めました。
そのうえで政府与党は、
- 法案審議時間が116時間と、過去と比べても長い審議を行った
- 論点はほぼ出尽くし、審議は十分つくされた
として、法案を採決。7月16日に衆院を通過させました。
これに対して野党側は、
- 審議時間が長いといっても、多数の法律改正を一つにまとめた法案であり、十分とはいえない
- 議論を進めるほどに問題点が明らかになっている
などとし、法案採決に反発しました。
こうして衆院での法案審議が終わり、舞台は参院へとうつりました。参院で法案が可決されれば法案は成立するのですが、ここでポイントになるのが「60日ルール」です。
「60日ルール」とは、憲法59条に規定されているもので、衆院から法案を受け取った参院が60日以内に議決しないと、参院でその法案を「否決したものとみなすことができる」というものです。
参院で法案が否決されたら、どうなるのか。同じく憲法59条によると、参院で否決された法案は、衆院の3分の2以上の賛成で再び可決すれば、法案が成立する、としています。
自民・公明の与党は衆院で3分の2を超える議席数をもっているため、衆院通過から60日がたてば、このルールを適用して、法案を成立させることが手続き上できるのです。
ただし、この「60日ルール」はいざという時のものであって、これに最初から頼るようでは、参院の存在意義を否定することにもつながります。
よって、政府与党も「60日ルール」を使うことに対しては慎重な姿勢でした。とはいえ、政府与党が「戦後最大の会期延長」を行った現実的な背景には、この「60日ルール」を使える余地を残す狙いがあったとみられています。
参院審議の最後の局面まで60日ルールが取りざたされましたが、結局は適用することなく、参院として9月17日に委員会で採決、可決し、19日に本会議で可決、法律が成立しました。
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