辺野古の「埋め立て」が承認されたって?問題は解決したの?

    2013年3月、第2次安倍政権は辺野古の沿岸部埋め立て許可を沖縄県に要請。
    2013年12月には沖縄の負担軽減策や経済振興策を打ち出し、
    これを評価した仲井真知事は辺野古埋め立てを承認しました。
    これをもって政府は移設計画を進める方針ですが、
    その後、地元・名護市では計画に反対する市長が再選を果たしました。
    移設先の「民意」を得られていない状態が続いています。

沖縄・仲井真知事、辺野古埋め立てを承認

2012年12月、安倍政権が発足します。
2013年2月の日米首脳会談では、普天間基地の辺野古移設を早期に実現することで一致。

政府は3月、基地移設のために辺野古を埋め立てることを沖縄県に申請し、
仲井真知事が承認するのか承認しないのかが、普天間移設をめぐる最大の焦点となりました。
安倍政権は、仲井真知事が埋め立て申請を承認する環境作りに取り組みます。

7月に行われた参院選挙では、自民党の選挙公約では辺野古移設を推進とする一方で、
地元・自民党沖縄県連は「県外・国外への移設」を主張し、
自民党内の「ねじれ」状態が続いていました(沖縄のローカルマニフェスト参照)。

石破幹事長を中心に自民党・沖縄県連の説得にあたり、
沖縄県連は12月1日、「辺野古移設を含むあらゆる選択肢を排除しない」として、
辺野古移設の容認を決定します。

そして12月25日、安倍首相と仲井真知事が会談。
安倍首相は、沖縄の基地負担軽減策・経済振興策を打ち出します。

    <政府の示した主な内容>

  • 2021年度まで、毎年3000億円台の沖縄振興予算の確保を約束
  • 2021年度まで、毎年3000億円台の沖縄振興予算の確保を約束
  • 日米地位協定を補足する、環境に関する新たな協定を作るべく日米交渉を開始
  • 米軍オスプレイの訓練の約半分を県外で行うべく米軍と交渉
  • 牧港補給地区の返還期間の短縮を目指す

仲井真知事はこれを「驚くべき立派な内容」と高く評価。
 ※会談時の安倍首相・仲井間知事のやり取りはこちら
そして2日後の12月27日、知事は記者会見で辺野古の埋め立て申請の承認を発表しました。
 ※仲井間知事の記者会見・全文はこちら

仲井真氏自身が知事選挙で掲げた「県外移設」公約の撤回ではないかとの指摘に対しては、
「県外移設が(普天間基地をなくす方策として)最も早いとの考えは変わらない」と述べました。

県外移設であれば辺野古への代替基地建設は必要がないため、
基地建設のための辺野古埋め立てを承認したことは公約の立場と矛盾する点については、
「埋め立ての承認という手続きと県外移設の要求は並行して存在しうる」と説明しました。

埋め立て承認は、法令に従って国からの申請を「事務処理」したにすぎず、
県外移設という「政治要求」は変わらずに掲げており、公約違反ではない、という理屈です。

なお、同じ27日にアメリカ国防総省は声明を発表し、仲井真知事の埋め立て承認を歓迎しました。

名護市長選挙、移設に反対する稲嶺市長が再選

2014年1月19日の名護市長選挙では、
移設反対派の現職・稲嶺進市長と、移設推進派の末松文信氏が対決。
稲嶺市長が再選を果たし、辺野古移設に地元がノーを突きつける結果となりました。

稲嶺市長は、市長が持つ以下のような権限を使って移設計画に抵抗していく姿勢を示しています。

    <移設工事に関連し、市長権限が関係する主な内容>

  • 燃料タンク設置に対する許可
  • 漁港周辺への資材置き場設置への許可
  • 施設への上水道の整備への承認
  • 付近を流れる川の付け替え工事への同意

しかし、安倍政権は、移設計画は既に決まったものとして進めていく方針です。